2023年4月4日
「通訳になる前にやっとけばよかった!」と後悔している5つのこと
エバンス愛
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「通訳になるのに、どんな勉強をしたらいいですか?」
「『こういう勉強をやっとけばよかった』ってこと、ありますか?」
というご質問を、私はよく受けます。
私は、通訳スキルがゼロの状態から、単に「ポテンシャル」を買っていただいて社内通訳者として採用された人間です。なので、採用されてからも全く仕事ができず、周りの方々に毎日とんでもない迷惑をかけながら働いてきました。
英検1級、TOEIC980点でも「 自分はこんなにも英語ができないのか・・・」と毎日絶望していました。「もっとこういう勉強をしておくべきだった」と後悔したことも、たくさんあります。
なのでこの記事では、通訳としての本格的なトレーニングを始める前段階として
「通訳者としてのスタートラインに立つために、もっとこういう勉強を早くやっとけばよかった・・・!」
と後悔していることを書いてみたいと思います。通訳者を目指す人や、さらにハイレベルな英語力の習得に向けて勉強する方のお役に立ったら幸いです。
なお、私が25歳のときに本格的に英語のやり直しをはじめ、31歳で通訳者として採用されるまでにやったこと、やらなかったことは、こちらに書いています。
▶私がTOEIC700点台から通訳になるまでにやった勉強法10選
▶私が通訳になるためにやらなかった/必要なかった勉強法10選
では、早速参りましょう!
コンテンツ
通訳になる前にやっとけばよかったと思う5つのこと
TOEIC高得点でも、英検1級に合格してもわからなかった、通訳現場に出てはじめて「私にはこういう勉強が足りなかった・・・!」「もっと早くこうしておけばよかった・・・!」と気づいたことを書いてみたいと思います。
1.「教材英語」をさっさと卒業する
私は、英語のやり直しを本格的にはじめて3年くらいの間、NHKラジオ講座ばかりやっていました。ひたすらラジオ講座を「ながら聞き」と「シャドーイング」していました。その結果、TOEICは980点になりました。
ながら聞きとシャドーイングは、この記事に書いています。
▶英語の勉強する時間がない人集合!誰でも毎日1時間確保できる方法
▶シャドーイングを5年続けて通訳になった私のやり方と継続のコツ
私はNHKラジオ講座に育ててもらいましたし、今も本当に感謝しています。NHKには、もう足を向けて寝られないレベルです。
参考:私がNHKラジオ英語講座でTOEIC900超え(リスニング満点)した勉強法
でも、NHKラジオの最上級レベルのビジネス英語講座までマスターしたとしても、通訳として通用する英語スキルは全く身につかないのです。
理由は、いくらNHKラジオ講座の英語が聞けるようになっても、ネイティブの話す容赦ない「生の英語」のリスニングの難易度は、その数十倍だからです。
私は、そんな状態でした。聞き取れないのだから、通訳などできるはずもありません。(;・∀・)
今となってはアホとしか言いようがないのですが(苦笑)、ネイティブが相手の英語レベルに配慮せずに自由に話す「生の英語」が聞き取れるようになるには、生の英語を聞き取る訓練が必要だと知らなかったんです。
だから、NHKラジオ講座などのような「アナウンサーがくっきりはっきり話す教材用英語」しか使ってこず、それで、英語が全て聞き取れるようになると勘違いしていました。
NHKラジオ講座は素晴らしい講座でしたが、さっさと見切りをつけて次の段階に進むべきだったというのが、最大の後悔。
もちろん、これはNHKラジオ講座に限らず、TOEIC教材などの教材で勉強しているケースも同じです。「アナウンサーがくっきりはっきり話す教材用英語」だけを使っていてはダメ。
発信用の英語表現を学ぶ目的で使うならアリですが、教材用英語でリスニングの訓練をいくらやっても、それだけでは通訳は全く務まりません。
生の英語を聞き取れるようになるための方法については、生の英語がバッチリ聞き取れるようになるためのリスニング勉強法も参考にしてください。
2.英語話者によるポッドキャストやYoutubeの活用
私は、通訳の仕事をはじめてから数年後に、無料で聞けるポッドキャスト(ネット上のラジオ番組)の存在を知りました。そして、これを執筆している今(2023年)は英語のネイティブによるYoutube動画もよく見ています。
今ではもうポッドキャストやYoutubeは当たり前ですが、当時(2010年頃)は、活用している人は多くありませんでした。
英語話者のポッドキャストやYoutubeを、通訳を始める前から日常的に活用しておけばよかったと後悔しています。
英語学習者用のポッドキャストもいいのですが、「生の英語寄り」という観点から私がお勧めするのは(そして「あの頃やっときゃよかった」と心から思うのは)、英語学習者用ではない、英語ネイティブによる一般リスナーに向けた番組です。
ポッドキャストやYoutubeでは、「アナウンサーがくっきりはっきり話す教材用英語」ではなく、ネイティブ(あるいは英語が堪能なノンネイティブ)の自然な英会話が聞けます。
でも、「人に聞かせる」ことが前提のラジオ番組または動画なので、海外ドラマや映画ほど表現がくだけていませんし、聞き取りの難易度も高くありません。
ビジネス目的で英語を使えるようになりたい場合、ポッドキャストやYoutubeを活用するのがお勧めです。教材の英語では聞くことのない、ネイティブがよく使う口語の言い回しを、私はポッドキャストを通じてたくさん学びました。
となると、「どのポッドキャストやYoutubeがお勧めですか?」という質問が出てくると思いますが、あなたが興味があるジャンルを聞くのが一番お勧めです。仕事関連でもいいし、趣味のテーマでもいいし。ほんと何でもあります。
私はChalene Johnsonというアメリカ人女性起業家のポッドキャストが好きでよく聞きます。
Youtubeは、画面に向かってひとり語りをするタイプが最初は聞き取りやすいと思います。たとえば、こういうの。
難易度は上がりますが、Vlog系の動画が私は好きで、最近はこの旅行系Youtuberさんの動画を見ています。オーストラリア人家族のYoutubeですが、映像がきれいです。
なお、自分が特にリスニング力を高めたい国の英語のYoutuberやポッドキャスターのコンテンツを聞くのがお勧めです。(※私はイギリス英語やオーストラリア英語の必要性は特にありませんが、ただ楽しいので見てる)
たとえば、職場でよくインド人と英語を話す機会があって聞き取りに苦労しているなら、インド系の英語話者のYoutubeやポッドキャストで、自分の趣味や仕事に関連したジャンルのコンテンツを視聴しましょう。
3.緊張感を持って英語を話す機会をたくさん作る
当たり前なのですが、通訳になりたいなら、少なくとも英会話に困らない状態である必要があります。
私は夫がアメリカ人なので、日常会話にはもちろん困っていませんでした。私の全く未知のポテンシャルを信じてくださった上司たちも、私が英語を日常で使っていることを買って採用してくださったと思っています。
が、しかし・・・!
夫婦の会話なんて、本当に本当に適当でも通じてしまうのです(汗)。夫も、長く私と一緒にいると、私の考えや言いたそうなことが理解できるようになります。そして、間違いをいちいち直すこともしてくれません。
だから、通訳として通用するような英会話力は全くありませんでした。論理的に話す、簡潔に話すといったことができないのはもちろん、ビジネスシーンにふさわしい表現も全く身についていませんでした。
この記事を書きながら、改めて自分が通訳として仕事をはじめた頃の英語力(英検1級&TOEIC980点)がいかにお粗末だったか、考えるだけで寒気がします・・・(苦笑)
「国際結婚だから、英語はペラペラでしょ」とよく言われますが、夫婦の緊張感のない日常会話をいくら続けても、ほんとに英会話力は伸びません。詳しくは以下の記事に書いています。
参考:国際結婚カップルの私たちの夫婦喧嘩(英語)が激しくなった理由
だから、もっと夫以外の人とたくさん英語を緊張感を持って話す機会を持てばよかった・・・と後悔しています。
この「緊張感を持って」というのがポイントで、友達とリラックスをした会話をしたり、準備ゼロで英会話レッスンを受けたりするのでは不十分です。
友達とのくだけた会話や準備なしの英会話レッスンでは、まさに私と同じように、「日常会話には困らないけど、ビジネス現場にふさわしい英会話はできない」という状態にしかなれません。
今の私が通訳を始める前に戻るとしたら、夫が英語ネイティブだということにあぐらをかかず、オンライン英会話に申し込んで、講師の先生と英会話の練習をします。
そして、レッスン内容はフリートークや先生任せではなく、「今日はこれについて話したいです」と自分から提案し、その内容についてあらかじめ準備してレッスンを受けたと思います。
その際には、「私は仕事で英語が使えるようになりたいので、ビジネスシーンにふさわしい表現を教えてください。私が話した英語で不適切な表現があれば、ぜひ指摘してください」と伝えると思います。
オンライン英会話レッスンについては、この記事に書いています。
▶英会話レッスンの効果を最大化する5つの方法
▶オンライン英会話の効果が短期間で出る人が必ずやっている3つのこと
なお、現在は私が講師をつとめる英語教材SPEEDIER READINGで、毎週夫のマイクが英会話レッスンをしています。
毎週お題を出して、それについて自分の意見とその理由を3つ、英語で伝えられるように事前に準備してもらっています。このレッスンを継続した人は、どんどん英語が論理的に簡潔に話せるスキルが身についています。
「当時、こういう英会話の練習をやっておけばよかったな・・・」と私自身が思うレッスンを今は提供しているわけですが、「しっかり準備して緊張感を持って英会話をする習慣があればよかった」というのが、私の後悔3つめです。
4.海外ドラマや映画を字幕なしで毎日見る
私は英語学習をはじめた頃(TOEIC500くらい)、アメリカのドラマを字幕なしで見ようとして意味不明で挫折しました(参考:英語ニュースとドラマの聞き流しでリスニング力がビクともしなかった件)。
それからも海外ドラマやリアリティ番組は見ていましたが、「毎日」ではありませんでした。
私は、怠け者なくせに変なところで意地を張る癖があり(苦笑)、海外ドラマや映画を見ることは、何だか怠けているような気分になって嫌だったんです。
下でも書きますが、時間の使い方が下手だったので、「私はのんびり映画を見てる暇なんてない!」と思っていて、ドラマや映画を見るのは週1回のご褒美という感じでした。
でも、今思えば、海外ドラマや映画を毎日活用して、リスニング力を鍛えておけばよかったと後悔しています。
実際、私の師匠である英語の達人の松本道弘先生が、80歳を越えてもなお、毎日映画やドラマで英語の勉強を続けていると知り、また先生とご一緒に映画道場というイベントをやらせていただくことになったので、私も映画やドラマを毎日見始めました。
そうすると、リスニング力が劇的に伸びたのです・・・!
海外ドラマや映画の聞き取りは、TOEICのリスニングセクション満点なんかよりはるか上の超難関です。多くの人が「字幕なしで映画を見られるようになりたい」と言いますが、そんな簡単なことではありません。
私の独断と偏見ですが、リスニング素材の難易度は、こんな感じです。
↑ オーディオブック
↑ ニュース
↓ 一人語り系ポッドキャスト・Youtube
↓ 対談系のポッドキャスト・Youtube
↓ リアリティ番組
難 ドラマ・映画
NHKラジオ講座やTOEICの教材英語が最も簡単なリスニング素材だとしたら、それより少し難しいのがオーディオブックや海外ニュース。その上がポッドキャストやYoutube。そして、最近Netflixなどでよくあるようなリアリティ番組があって、最難関が海外ドラマや映画です。
だからこそ、通訳として働くスタートラインに立つ時に、少なくとも海外ドラマや映画が聞き取れるレベルのリスニング力に到達しておけばよかったと思います。
私はよく、通訳の卵の方や、通訳として働きはじめたばかりの方とお話しするのですが、皆さん、「英語から日本語への通訳より、日本語から英語への通訳の方が得意です」とおっしゃいます。
知らない人からすると、「え、英語に通訳するほうが難しいんじゃないの?」と思うかもしれません。が、違うのです。
私自身も、もちろん日本語から英語への通訳の方が得意でした。まあ、得意というか「マシ」レベルですが。
それはなぜかというと、「英語から日本語への通訳」は、そもそも英語が聞き取れなければできないからです。そして、ネイティブの生の英語(必ずしも明瞭でも論理的でもない)を正確に聞き取って理解するのは、本当に難しいのです。
一方、日本語から英語への通訳は、少なくとも日本語は聞き取って理解できるから、あとは英語にするだけ。だから、英語→日本語よりも簡単だと感じる人が多いのです。
私は、通訳をはじめるまで、自分がリスニングが苦手だということすら知りませんでした(苦笑)。だってTOEICのリスニングでは、通訳を始めるずっと前から満点が取れていましたし。
今、私が当時の自分に戻れるとしたら、映画や海外ドラマを毎日字幕なしで見て、聞き取れなかったら字幕を表示して確認して、リプロダクションをするという訓練をすると思います。
参考:Netflixで英語・日本語字幕を同時に表示する方法(Chrome拡張機能)
5.時間管理術を学ぶ
これは英語ではなく心構えの問題なのですが、時間の使い方が下手だったなーと思っています。
当時は、確実に今より睡眠時間も多かったし、勤務時間も少なかったです。ブログもメルマガもやってなかったし、起業もしていませんでした。
やろうと思えばもっともっと英語時間は取れたはずで、1日4時間でも5時間でも、やろうと思えばできたと思います。
「フルタイムで働いてるから、時間ないのは仕方ない」「今は仕事を見つけるのに忙しくて、英語どころじゃない」と思っていましたが、時間を見つける工夫が足りなかっただけだと今は分かります。
今は、オーディオブックやポッドキャストで時間管理術や目標管理術のノウハウを学んでいるのですが、これをあのとき知っておけば・・・ということがたくさんあります。
オーディオブックについては、以下の記事で書いています。
・英語初級者に最適!おすすめ洋書オーディオブック15冊【ラダーシリーズ】
・【Audible×英語学習】愛用歴18年の通訳が本気でお勧めする洋書20選
・【徹底解説】オーディオブックで英語力は本当に伸びる?効果的な勉強法と注意点
・Audible聴き放題で始める洋書リスニング!おすすめオーディオブック10選
私のいろんな挫折経験と、そこで得た知識をもとに、時間管理と目標達成のオリジナル教材を販売したのですが、「忙しい忙しいと思って過ごしていたけど、勉強時間が確保できるようになった!」「自分の人生にとって大切なことをこんなに真剣に意識したことはなかった!」と嬉しいお言葉をたくさんいただきました。
現在はその教材は販売終了していますが、夫と一緒に運営しているコミュニティで時間管理やモチベーション管理についてお伝えしています。詳細はメール講座の読者さんにご案内しています。不要になればすぐ解除できますので、ご興味があればどうぞ。
↓
留学経験なし、英文科卒でもない私が外資系役員秘書、翻訳者、通訳者になった方法を今だけ無料で公開します
多くの英語初級者・中級者が知らない事実は、海外ドラマや映画の聞き取りは、TOEICのリスニングセクション満点なんかよりはるか上の超難関だということ。
単語やフレーズがたまに聞き取れる程度でいいならまだしも、字幕なしで映画や海外ドラマが理解できるようになるには、数年間の本格的なトレーニングが必要です。
通訳の専門的なトレーニングについて
ここまで読んでいただいて、「通訳のトレーニングとかテクニックの話が聞けるのかと思ったのに」と思われた方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
前述したとおり、私自身は通訳養成講座などで勉強したことがないまま、通訳になりました。私の知る限り、通訳として訓練を受けずに「通訳」として働いている人は少なくありません。もちろん、その「通訳」の仕事の難易度や内容は、会社によって様々です。
が、「通訳講座を検討していますが、受けた方がいいと思いますか?」とよく聞かれますが、もちろんやらないよりやった方がいいに決まっているので、受講できる状況なのであれば、ぜひしたらいいと思います。
とは言え、通訳学校にいったん入ってしまうと、その講座の求める通訳レベルに達して卒業できるまでに数年かかるのが一般的です。
卒業する前に通訳として仕事を始めても構いませんし、卒業できれば、たいていの通訳現場で十分な仕事ができるハイレベルな通訳者ということになります。
でも、それが全員に本当に必要かな?とも私は思います。
多くの方は、「卒業できるまで通訳になれない」と考えるでしょう。また、多くの通訳講座では、政治経済や国際情勢に関連する英単語を大量に覚えさせる課題が出ます。
でも、たとえば私が通訳として働いていた職場では、そのような用語は全く必要ありませんでした。多くのビジネスシーンの通訳では、そのようなニュース用語は不要だと思います。
つまり、人によっては、通訳学校が通訳として働くことへの遠回りになるかもしれないとも思うのです。私だったら、もしも通訳講座に入っていたら、通訳の仕事をする前に挫折して諦めていたかもしれないなと思います。
講座を受講することを検討しつつ、あるいは受講しつつも、実際に通訳として働けるチャンスがあれば、飛び込んでみたらいいと思います。
実際に仕事をしながら、自分はどんな通訳者になっていきたいか、さらに通訳としてスキルを極めるかどうかを決めてもいいと個人的には思います。
「通訳になる前にやっとけばよかった!」と後悔している5つのこと・まとめ
以上、私が「通訳者になる前にやっとけばよかった」と後悔していることをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?
私が、「やっときゃよかった・・・」と特に思っているのは、以下です。
1.「教材英語」をさっさと卒業する
2.英語話者によるポッドキャストやYoutubeの活用
3.緊張感を持って英語を話す機会をたくさん作る
4.海外ドラマや映画を字幕なしで毎日見る
5.時間管理術を学ぶ
通訳講座などを受講しなくても、今からできることばかりです。もしもご参考になれば、一つでも取り入れてみてくださいね。将来は通訳を目指したいと思っている方のお役に立ったら幸いです!
なお、通訳は、短時間で英語の資料を読み込んだりする必要があるので、英語を速く読める技術も重要です。私が英語を速く読むコツをつかんだ経験は、以下の記事に書いていますので、あわせてどうぞ。
▶翻訳者の私が英語リーディングのコツを掴んだ時にやったこと3つ