2018年8月3日
私がTOEIC700点台から通訳になるまでにやった勉強法10選
エバンス愛

私は、英語の本格的なやり直しをはじめた25歳のときにTOEICが780点で、27歳で980点になり、31歳のときに通訳者として採用されたのですが、今日は、私が通訳になるまでにやった勉強法をまとめます。
私は、この6年の間に5回も引っ越し、3回転職し、結婚(これは幸い1回だけw)し、人生の転換期を過ごしていました。
物件探しと荷造り・荷解き、転職活動、国際結婚の手続き(これがものすごーく面倒)、披露宴の準備、と、なんだか常にバタバタしていた感じです。英語に毎日集中して勉強できていたわけではありません。
なので、もっと安定した生活環境でじっくり取り組めれば、もっともっと時間は短縮できただろうと思います。やろうと思えば、同じことを3年でできる人もいると思います。
なお、私の場合は通訳トレーニングの経験がないまま運良く(いや、運悪くか・・・)採用されたという、どちらかと言うと一般的ではない経緯があります。
なので、「これをやって通訳の職に就けた」ではなく「通訳になるポテンシャルがあると判断されるレベルになった」という意味で、ご参考にしていただければと思います。
私がどんな勉強をしていたら、通訳としてのキャリアを何とかスタートさせられる程度の英語力になったか、ご紹介します。
コンテンツ
1.NHKラジオ英語講座
私は英語のやり直しを始めてから、ほとんどの大人は見向きもしない「基礎英語」(中学生レベル)からやり直しました。基礎英語1~3、英会話入門、ビジネス英語など、全レベルのNHKラジオ英語講座を聞きました。
その際、リスニング用、シャドーイング用、文法復習用など、目的別にそれぞれの講座のレベルに応じて複数の講座を並行して聞いていました。
で、今思えばこれが良かったのではないかと思うのですが、1回聞いたら聞きっぱなしでどんどん新しいエピソードに進むのではなく、同じものを覚えるほど繰り返し聞きました。
1日あたりの放送時間は1番組15分ですが、NHKラジオ講座にかけた一日あたりの時間は、ながら聞きやシャドーイングを含めると2時間以上でした。
つまり、同じ回を何度も聞き、前週や前月のものも繰り返し聞いたということです。
当時は、MDコンポで毎日録音してMDプレーヤーで再生していました。でも、今ならネットで無料でダウンロードする方法を探すか、もしくはどうしても無理ならダウンロード版を購入すると思います。
2019年現在、番組音声が無料でダウンロードできるサービスがあります。NHKラジオ英語講座を無料でダウンロードする方法で説明しているので、参考にしてください。
リスニング用、シャドーイング用、文法復習用など、目的別にそれぞれの講座のレベルに応じて複数の講座を並行して聞くという私のNHKラジオ活用法はこの記事に書いていますので、どうぞ。
2.シャドーイング
録音しておいたNHKラジオ講座、あるいは英会話のCDを通勤の車の中で聞き、毎日1時間はシャドーイングをしました。
シャドーイングのおかげで、リエゾンやイントネーションに強くなり、リスニング力も大幅に上がりました。また、発音も、ボロボロだった学生時代よりはずいぶんマシになりました。
シャドーイングの良いところは、「ながら勉強」ができることです。つまり、特別な勉強時間を取らなくても、日常生活の延長上で英語の発音とリスニングの訓練ができます。
「音読」も効果が高いと言われています。集中してできる時間があるなら、シャドーイングより音読の方が効果が高いでしょう。でも、音読の問題は、ながら勉強ができないため継続しにくいことです。
私は、たまたまシャドーイングという勉強法を知ったから始めただけで、音読と比較してどうこうとか考えたこともなかったのですが、結果として10年以上シャドーイングを続けられています。
(参考)音読とシャドーイングの効果の違いとメリット・デメリット
通訳トレーニング法としても非常に有効だったということも後で知り、シャドーイングを選択して本当に良かったなあと思っています。
今日ここで挙げる私が行った学習法の中で、通訳者になるために一番役に立ったのは何かと質問されたとしたら、私の答えはこのシャドーイングです。
シャドーイングの基本的なやり方については、この記事をどうぞ。
3.ながら聞き
家事の時や移動中などの時間は、「ながら聞き」をしていました。これは、今も続けている習慣です。
たとえば、料理をしながら、食料品の買い出しをしながら、洗濯物をたたみながら、メイクをしながら、歩きながら、など。こういった、「目や手は忙しいけど耳は空いている時間」でできる限り英語を聞きました。
なお、ながら聞きを継続するには勉強を快適にするツールが重要なんですが、私がながら聞きに使っている道具については英語学習者に必須の3ツール(MP3プレーヤー、Bluetoothイヤホン、防水スピーカー)に書いてあります。
英語が早すぎて、聞き取って理解はできるけどシャドーイングではついていけないような素材は、こういう時間にながら聞きをしました。
仕事から帰るの車の中で、仕事で疲れてシャドーイングする元気がない時、声を出してシャドーイングできる環境にない時、シャドーイングほど集中できない作業をしている時も、可能な限り英語を耳に入れるようにしていました。
こういう「すきま時間」や「ながら時間」は、それぞれの時間は数分とか10分程度です。でも、何年間も積もり積もったらすごいことになります。
ながら聞きができる時間を活用して、英語学習時間を増やす方法はこの記事をどうぞ。
4.文法を中1レベルから総復習
私は、TOEIC700点台で文法を中1レベルから全てやり直しました。「普通に文法問題が解ける」を超えて、「文法を気にせずオートマチックに運用できる」という状態になるまで、徹底的に基礎をやりこみました。
今思えば、この作業が強固な土台を作るのに本当に役立ってくれました。
普通に考えると、大学受験も突破しているわけだし、TOEIC700点台だし、今さら中1レベルからやり直す必要なんかないだろうと思いがちです。
でも、多くの人はここをおろそかにするから後々伸び悩みます。私自身も、TOEIC700点台で伸び悩んだのはそれが原因でした。実は、私は22歳の時に受験したTOEICで700点ジャストを取っています。そして、25歳で780点。3年間で申し訳程度にしか伸びていないのです。
ジャパンタイムズの元編集局長で『英語は「やさしく、たくさん」』の著者の伊藤サムさんも、「プロを目指す人には、今どんなに力があっても、最初級レベルからきっちりやることをお勧めしています」とおっしゃっています。私も、その通りだと自分の経験から実感しています。
5.NHK英語ニュース
ある程度リスニングの力がついてくると、NHKラジオ講座では物足りなく感じられるようになりました。なので、テレビやラジオでNHKニュースを英語で聞くのが日課になりました。
知っている内容(日本のニュース)の英語版なので、英語が聞き取れない所があっても意味はだいたいわかりました。これで、「理解できる喜び」を実感してさらにモチベーションを上げるのに役立ちました。
当時の私は、毎日NHKのテレビ英語ニュースを夕食を食べながら副音声で聞き、夜11時からのラジオの英語ニュースをお風呂で聞いていました。
TOEIC700点台で、最初にNHKニュースの英語音声を聞いたときは、知っている単語がたまに聞こえるものの、内容はほぼ意味不明でした。
「こんな英語が、ほんとに全部聞き取れるようになるんかな・・・」と不安と疑念でいっぱいだったのを、今もはっきりと思い出します。
あ、ですが、英語ニュースとドラマの聞き流しでリスニング力がビクともしなかった件に書いてますが、レベルが合ってないのに英語ニュースを流しっぱなしにするのは、意味ないので本当に辞めたほうがいいです。
6.海外ドラマやバラエティ番組を字幕なしで観る
これはTOEIC980点を27歳の時に取った後にスタートし、今も続けている習慣です。私は、日本のドラマやバラエティ番組は見ないので、私にとってはその代わりの娯楽の一環です。
「TOEIC980点を27歳の時に取った後」と書いているのは、TOEIC980点当時のリスニング力では全く無理だったからです。
リスニングセクションは満点でも、ドラマなどの聞き取りは最後まで苦労しました。あ、ちなみに、「海外ドラマや映画が字幕なしで楽しめるようになりたい」というのを目標にしている人は多いですが、それは、TOEIC900点台や英検1級のはるか上です。
日本語字幕つきでドラマや映画を見るのでは、ストーリーに夢中になると、無意識に字幕を目で追ってしまうので、英語の勉強には残念ながらあまり意味がありません。
だから、私の場合、最初は字幕なしで見ます。楽しみのために見ているので、真剣に聞き取る姿勢に自然とります。そして、どうしても聞き取れない部分だけ、何度か巻き戻したり字幕を確認するようにしています。
海外ドラマを使った勉強法については、こちらをどうぞ。
7.英語のオーディオブック
これもTOEIC980点から数年後のスタートですが、英語のオーディオブックを今も毎日聞いています。
正確には、私が英語のオーディオブックに最初に出会ったのは、有名な『家出のドリッピー』です。当時、私は高校生でした。でも私は、その子供向けのストーリーを残念ながら楽しいとは思えませんでした。
でも、ビジネス系や自己啓発系のオーディオブックには、どハマりしました。仕事に関係のある経営・マーケティング系の本や、個人的に興味のある家計改善、資産形成、フィットネス系の本もたくさん聞きました。
TOEICでは測定不能な英語力に差し掛かってくると、だんだん、「英語教材」と言われるもののレベルが合わなくなってきます。どうせなら「英語のリスニング力を伸ばしながら、読書を通じた知識習得も一緒にできたら」と思った私には、実用書のオーディオブックはぴったりでした。
そして、「今、私は英語を聞いている(=勉強している)」という安心感もあり、勉強時間を少しでも多く確保しなければというプレッシャーを感じる必要がないという利点もありました。
オーディオブックについては、こちらをどうぞ。
・リスニング爆上げ+収入増!英語オーディオブックのメリットと効果5つ
・オーディオブック初心者向け!英語が聞き取りやすい本5選【TOEIC800以上推奨】
・500冊以上聞いた私がお勧めする、洋書オーディオブック15選
・【徹底解説】audibleで楽しみながら英語学習!洋書オーディオブックを買う方法と適したレベル
8.ヒアリングマラソンで生の英語のリスニング訓練
私は、25歳でTOEICリスニングセクション405点(合計スコアは780点)から、NHKラジオ講座などのおかげで、2年でリスニングセクションは満点(合計スコアは980点)になりました。
でも、生の英語のリスニングが苦手で、外国人同士の会話、映画やドラマの英語が全く聞き取れませんでした。
通訳の仕事をするには、生の英語が聞き取れないと話になりません。私は、1000時間ヒアリングマラソンで生の英語を聞き取るための勉強法をはじめて学び、ネイティブ同士の会話が聞き取れるようになりました。
私の場合、ヒアリングマラソンをやっていなければ、私は海外ドラマやオーディオブックも理解できるようになれなかったし、通訳の仕事も絶対にしていなかった自信があります。
(アルクのヒアリングマラソンは現在販売終了になっています)
9.翻訳(コンテスト応募含む)
私は、通訳として採用される前に翻訳の仕事をいくつか経験し、またコンテストなどにも応募していましたが、その経験が通訳の仕事をする時にとても役に立ちました。
書くか話すかという違いはありますが、同じ意味の他の言語に言いかえるというプロセスは翻訳も通訳も同じです。
言葉の表面的な直訳ではなく、いかに正しく分かりやすく意図を伝えられるかという点で、翻訳の訓練をやっていなかったら、通訳としての成長も今よりずっと遅かっただろうと思います。
また、通訳者として採用されましたが、仕事内容には翻訳も含まれていたので、翻訳のある程度のスキルと経験があったことは採用にプラスに働きました。
私が当時取り組んだ翻訳コンテストは、こちらです。
10.外国人との日常的な接触
「外国人と実際に英語でコミュニケーションを取る機会なんて、ほぼない」というのが、多くの人の現状だと思います。
私の場合は、夫がアメリカ人なので、外国人と日常的に接触することに役立っているだろうと多くの人は思うでしょう。でも、相手が身内となると緊張感が全くないので、残念ながらあまり関係ありません(笑)。
私はボランティア活動やサークル活動などで、いろんな国のいろんな外国人と会話をしながら英語で人間関係を作ってきました。その経験が通訳の仕事でも生きたと思います。
どんなにCDや本で勉強を積んだとしても、やっぱり実際に外国人がそこにいるかどうかというのは、大きな違いがあります。
それまでの私は、教材のCDなら冷静に聞けても、生身の外国人が相手だと完全に舞い上がってしまっていました。冷や汗が出て、落ち着いて相手の英語を聞けないし、自分が何か言おうと思っても、別に楽しいわけでもないのにヘラヘラしてしまうばかりでした。
それが、外国人との英会話に慣れて普通に会話できる精神状態になったというのは、見落としがちですが、通訳の資質として必須だったと思います。
日常的に英語を話す環境というのは、工夫次第で案外簡単に作れます。ボランティアやサークル活動で身近に外国人を探すのが難しければ、スカイプ英会話で英語を日常的に話すといいですよ。
スカイプ英会話については、こちらをどうぞ。
私がTOEIC700点台から6年で通訳者になるまでにやった10のことまとめ
いかがだったでしょうか?
1.NHKラジオ英語講座
2.シャドーイング
3.ながら聞き
4.文法を中1レベルから総復習
5.NHK英語ニュース
6.海外ドラマやバラエティ番組を字幕なしで観る
7.英語のオーディオブック
8.ヒアリングマラソンで生の英語のリスニング訓練
9.翻訳(コンテスト応募含む)
10.外国人との日常的な接触
これが通訳になるための正しい勉強法です!と言っているのではなくて、他にももっと効率的な方法はあると思います。
実際、「通訳になる前にこれをやっておけば良かった」ということもいろいろあります。
・通訳になる前にやっとけばよかったこと、やらなくて良かったこと
私が通訳になるためにやらなかった/必要なかった勉強法10選も書きましたので、そちらも良かったらどうぞ。