英単語は語源で芋づる式に覚えると忘れない!通訳が教える大人の暗記法


単語帳を何周しても、覚えたそばから忘れていく・・・

「語源で覚えるといい」と聞いて本を買ったけど、語源の一覧表を見て閉じた・・・結局これも暗記じゃないの?
そんなお悩みをよくお聞きします。何回見ても覚えられない、覚えたはずの単語が本番で出てこない、語源の本を買ったのに一覧表で挫折した。あなたも、心当たりがありますか?
私は通訳翻訳者として仕事をしてきて、英検1級(約1万語レベル)にも、フランス語検定1級にも合格しています。でも、単語を「得意」と思ったことは一度もありません。
それでも1万語にたどり着けたのは、単語を1個ずつ丸暗記するのをやめて、語源で「芋づる式」につなげて覚えるようになったからです。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
✅ 英単語を語源で芋づる式に覚える仕組み(クイズで体感できます)
✅ 英語だけ1万語も必要な理由(英語は300年間「フランス語の国」の言葉でした)
✅ 接頭辞・語根の一覧表を丸暗記しない、大人のための語源の勉強法
語源で覚える英単語とは?まずこのクイズで「芋づる式」を体感してください

語源で覚える英単語とは、単語をバラバラのまま暗記するのではなく、共通のパーツでつなげて覚えるやり方です。まずはクイズで、その感覚を体感してみてください。
【語源クイズ1】pedal・pedestrian・pedicureに共通する「ped」の意味は?
突然ですが、クイズです。次の3つの英単語に共通するパーツ「ped」は、何を意味するでしょう?
・pedal(ペダル)
・pedestrian(歩行者)
・pedicure(ペディキュア)
3つの日本語の意味をヒントに、共通点を探してみてくださいね!
わかりましたか?
答えは「足」。pedは、ラテン語で「足」という意味です。
pedal = ped(足)+ al → 足で踏むもの → ペダル
pedestrian = ped(足)+ estrian → 足で歩く人 → 歩行者
pedicure = ped(足)+ cure(手入れ)→ 足の手入れ → ペディキュア
こうして見ると、全部「足」でつながっているのがわかりますよね。
【語源クイズ2】manicure・manufacture・manipulateの「man」は、どんな意味?
では、第2問。この3つに共通する「man」は、どんな意味でしょう?
・manicure(マニキュア)
・manufacture(製造する)
・manipulate(操作する)
答えは「手」。このmanはラテン語から来ていて、意味は「手」です。
manicure = man(手)+ cure(手入れ)→ 手の手入れ → マニキュア
manufacture = man(手)+ fact(作る)→ 手で作る → 製造する
manipulate = man(手)+ 操作 → 手で操る → 操作する
ちなみに、「Manus AI」ってありますが、ご存知ですか? 手のマークのロゴの。このmanusというのはまさにラテン語で、「手」の意味なんですよ。
これですね↓
「manus」と「manicure」や「manipulate」が同じ仲間の単語だと、知ってしまえば簡単なことなのに、気づかなかった方も多いのではないでしょうか?
今まで全く関係ないと思っていた単語同士が、実は同じ「パーツ」でつながっている。その発見の瞬間が、語源学習の醍醐味です。
英単語の語源は、漢字の「部首」と同じ
ちょっと、例え話をさせてください。
薺
この漢字、読めますか?
私は読めません(苦笑)
でも、読めなくても大丈夫なんです。たとえば、この漢字が小説に出てきたとしましょう。その小説の場面が春の公園だったとしたら、

くさかんむりだから、なんかの植物かな・・・?
って推測できますよね?
実際、「薺」は「なずな」、春の七草の一つです。
私たちは、日本語では知らない漢字があっても部首や文脈から意味を推測してちゃんと読み進めています。「読めない漢字があるから、小説を読むのをやめる」なんてこと、しないですよね。
英語でも、同じことができるようになるんです。それが、「語源」の力です。
くさかんむり=植物、きへん=木、さんずい=水のように、部首の意味を知っていると、知らない漢字でも、意味の想像がつきます。それと同じで、語源を知っていると、知らない単語でも、意味の想像がつきます。
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英単語は語源で覚えると忘れない理由|大人の脳は丸暗記が苦手

語源で覚えると忘れにくいのは、大人の脳の得意分野に合っているからです。
大人の脳は、すでに知っている言葉とつながる英単語しか残さない

また覚えられなかった・・・私の記憶力、もうダメなのかな・・・
記憶力の低下ではなく、若い頃と同じやり方で単語を覚えようとするからうまくいかないんです。
なぜ、私たちは大人になると、こんなに英単語の暗記に苦労するのでしょうか?
人間の脳は、30歳くらいを境に「大人の脳」に切り替わると言われています。
学生時代は「丸暗記」でゴリゴリ覚えられていたかもしれませんが、私たち大人は、「丸暗記」ではもう覚えられない脳になっています(涙)
代わりに得意になるのが、すでに知っている情報と結びついたものを覚えること。だから、単語同士をつなげてくれる語源が、大人にこそ効くんです。
私自身、大学で学んだフランス語の「hiver(冬)」のおかげで、英検1級レベルを超えるhibernate(冬眠する)が一瞬で頭に入った経験があります。
こちらの記事で、「大人の脳」が英単語が覚えられない理由を解説しています。

語源は、知らない英単語を推測できる力をくれる
語源には、もう1つ大きな効能があります。
「知らない単語があっても諦めず、推測できる力」を与えてくれるものなんです。
どれだけ覚えても、知らない単語は必ず出てきます。私も、英字新聞The Economistを読んでいると、今も毎日出会います。でも、知らない単語でも、分解すればかなりの確率で意味が分かります。
全部の単語を完璧に覚えていなくても、文脈と語源で読み進められる。これはものすごく大きな違いです。
英語だけ1万語必要な理由|イギリスは300年間「フランス語の国」だった

そもそも、なぜ英単語はこんなに覚えても覚えても終わらないのか? それには、はっきりした歴史的な理由があります。
英検1級は約1万語、フランス語検定1級は5〜6千語で受かる
英検1級に合格するのに必要な単語数は、約1万語と言われています。1万語。気が遠くなる数ですよね。
ここで比べたいのが、フランス語です。私はフランス語検定1級にも合格していますが、フランス語の単語は、おそらく5〜6千語ぐらいしか知りません。それでも合格できるんです。
英語とフランス語の1級は、語学のレベルとしては同じぐらい。それなのに、必要な単語数はほぼ倍。英語は、世界でも指折りの「語彙が多すぎる言語」なんです。
ちなみに、私が英検1級の語彙・約1万語をどう攻略したかは、こちらの記事にまとめています。

1066年のノルマン・コンクエストで、英語はフランス語だらけになった
理由は、1066年に起きた「ノルマン・コンクエスト」にあります。
フランス北部のノルマンディー地方に住み着き、フランス語を話すようになっていたノルマン人(「北の人」=もともとはヴァイキングです)が、イギリスを征服した事件です。王様も貴族も、フランス語を話す人たちに総入れ替えになりました。

そこから約300年間、イギリスの公用語はフランス語になります。
一般の庶民は英語をしゃべり続けましたが、政治・法律・宗教・軍事・美食・芸術・恋愛といった支配層の言葉は、フランス語から英語へ大量に流れ込みました。
さらに、ローマ教会の聖職者や学者を通じて、ラテン語の学術的な単語も入ってきます。
その結果、もともとの英語(ゲルマン系の言葉)は、現代の英単語の約3割。残りの大部分は、フランス語やラテン語などからの「外来語」なんです。
cow・beef・bovine|「牛」に英単語が3つある理由
この歴史が、単語にそのまま刻まれている例が「牛」です。

cow:生きている牛。牛と一緒に畑を耕していた、英語を話す農民の言葉
beef:食べる肉としての牛。フランス語のboeuf(ブフ)由来。牛は「食べるもの」だった、フランス語を話す貴族の言葉
bovine:「牛の」という学術語。ラテン語系(イタリア語ではbovino)で、医学・薬学の世界などで使われる
フランス語では、生きている牛も食べる牛も同じboeufという単語です。
英語のように、牛がいくつもの言葉に分かれているのは、珍しいことなんです。同じ「牛」に3つの層があるのは、英語が3つの言語の地層でできているから。
私たち日本人も、同じことをしています。ふだんの会話では「車を作る」と言い、新聞記事では「車を製造する」と書く。「作る」がもともとの大和言葉で、「製造する」が中国語由来の漢語です。
英語のゲルマン系とフランス語・ラテン語系は、ちょうどこの関係にあります。大和言葉にあたるのが、もともとの英語だったゲルマン系の言葉。そして、漢語にあたるのが、外来語であるフランス語やラテン語系の言葉です。
「英語の中にも大和言葉と漢語がある」と思うと、急に見慣れた景色になりませんか?
英単語は長さで由来が分かる|短い語はゲルマン系、長い語はフランス語・ラテン語系
由来は、単語の「長さ」でだいたい見分けられます。(もちろん長さだけで確実に判別できるわけではありませんが)
come・give・make・armなど。
中学で習う、英検5〜3級レベルの基本語。ネイティブの日常会話の核はここ。
people・ignore・purchaseなど。
私の感覚では、英検準2級〜準1級あたりに多い層。
radiation・population・consistentなど。
英検1級を超える専門語・学術語もここに多い。
だから、フランス語の基礎を知っていると、英語の上級単語が突然わかるようになります。
たとえばフランス語で「始める」はcommencer。中学英語のstartにあたる超基礎単語です。
これを知っていると、英検1級レベルのcommencement(開始・卒業式)を見た瞬間、「commencerの名詞形だ」と分かります。英検1級の単語が、フランス語では基礎レベルなんです。
英語学習者がフランス語もやった方がいい理由を、以下の記事で書いています!

語源で英単語を芋づる式に増やす実例|1つの語根から5語つながる

では、実際に「芋づる式」がどこまで伸びるのか? 私が実際にやっている覚え方で、お見せします。
語根vent(来る)|advent・event・venue・intervene・souvenir・prevent
クリスマスが近づくと見かける「アドベントカレンダー」。あれが何のカレンダーか、ご存知ですか?
アドベントカレンダーは、キリストの到来(12月25日)を心待ちにするカレンダーのことです。advent=ad(〜の方へ)+vent(ラテン語のvenire=来る)で、「やって来ること」、つまり到来。
この「vent=来る」が分かると、次の単語が全部つながります。

厳密には、少し違う説明もあるかもしれません。でも、「ventを見たら、来る系の単語なんだな」と思えるだけで、覚えやすさが全然変わります。
語根terra(地)|subterranean・Mediterranean・terracotta・territory
英検1級レベルのsubterraneanという単語。長くて手ごわそうですが、分解すると3つの部品です。
sub(下に)+ terra(ラテン語で地面・地球)+ nean(形容詞を作る尻尾)
=「地面の下の」→ 地下の
「terra=地」が手に入ると、
Mediterranean:medi(真ん中)+terra(地)→ 土地の真ん中にある海 → 地中海
terracotta:焼いた土 → テラコッタ(あの茶色いタイルの色です)
territory:土地 → 領土
とつながります。
逆に、地中海(Mediterranean)を先に知っていれば、「そうか、medi=中だから、terraは地か!」と逆からたどることもできます。(つまり、「中地海」なんですね!)
私は、無料で使えるオンラインの語源辞典で単語の成り立ちをよく調べるのですが、そこに並ぶ「関連語」のリストが、こういうつながりの宝庫です。
語源の連想は正確じゃなくていい|recalcitrantをトトカルチョで覚えた話
英検1級でも上位クラスの難単語、recalcitrant(反抗的な)。私はこれが、なかなか覚えられませんでした。分解すると、re(後ろに)+calcitrare(ラテン語で「蹴る」)。後ろに蹴る、です。
私はラテン語のcalcitrareなんて知りませんでした。でも、「トトカルチョ」なら知っていました。イタリアのサッカー賭博です。イタリア語でサッカーはcalcio(カルチョ)、蹴るスポーツ。
そこから、「普通は前に蹴るはずなのに、後ろに蹴る。それくらい反抗的な態度」というイメージを思い浮かべたら、やっと覚えられました。
正確には、馬が後ろ足で蹴り上げて言うことを聞かない様子から来ているみたいです!
学術的に正確な連想じゃなくていいんです。自分の頭の中でつながれば、それで勝ちです。
「英単語をイメージで覚える」の正体は、語源のコアイメージ
ここまでの実例で、私は一度も「日本語訳を暗記しましょう」とは言っていません。
語源で覚えるゴールは、日本語訳の暗記ではなく、単語を見た瞬間にイメージ(映像・感覚)が浮かぶことです。
最初のクイズに出てきたpedで、試してみましょう。
ex(外へ)+ ped(足)+ tion(名詞をつくる接尾辞)で、外に足を出すこと→「遠征」。これがexpeditionという単語です。
もちろん、「遠征」という日本語そのものは予測は難しいでしょう。でも、「外に足を踏み出す」で何となく、家の外とか、安全地帯の外とか、危険な場所に冒険に出かけるようなイメージができれば、それで十分です。
「英単語はイメージで覚えるといい」とよく言われますが、そのイメージを作るいちばんの近道が語源なんです。
語源の勉強法|接頭辞・語根の一覧表を丸暗記しない

最後に、語源の勉強法です。いちばん大事な注意から。
語源の一覧表を覚えるのは、丸暗記に逆戻りするだけ
書店の語源本やネット記事には、接頭辞・語根が何十、何百と一覧になっています。あれを1ページ目から順に暗記していくのは、おすすめしません。
単語の丸暗記が「パーツの丸暗記」に変わっただけで、大人の脳が苦手なやり方に逆戻りだからです。
おすすめは、逆の順番です。覚えたい単語、何回見ても覚えられない単語に出会ったときに、分解して調べるのです。
recalcitrantで私がやったように、調べた語源がすでに知っているもの(地中海、トトカルチョ、アドベントカレンダーなど)とつながったとき、その単語は自分の記憶に刻まれます。
一覧表を上から覚えていっても、この「つながった!」は起きません。
語源は「先に全部覚える」ものではなく、「単語に出会うたびに1本ずつ線を引く」ものです!
出会った英単語の語源は、ChatGPTに出させる
分解しようにも、どこで切れるのか分からない。そんなときは、ChatGPTに丸投げしてください。
この単語の意味・語源・関連語・例文・語呂を教えて。
と聞くだけで、多角的に出してくれます。語呂合わせまで考えてくれるので、文字だけではピンと来なかった単語が、急に身近になりますよ。
ピンと来たヒントは、単語本の余白や単語アプリに自分で書き足しておきましょう。次にその単語を見たとき、思い出すきっかけになります。
語源を学ぶ順番は「接頭辞→接尾辞→語幹」が効率的
それでも「一度、体系的に学んでみたい」という方へ。私のおすすめの順番は、次のとおりです。
・接頭辞(頭)
・接尾辞(尻尾)
・語幹(意味の核)
英単語の多くは、「接頭辞(頭)+語幹(意味の核)+接尾辞(尻尾)」の3つの部品でできています。subterraneanなら、sub+terra+nean。
頭と尻尾が見分けられるようになると、初めて見る単語でも「真ん中のこれが意味の核だな」と切り出せるようになります。だから、数の限られた頭と尻尾から先に慣れておくのが効率的なんです。
語源のおすすめ本|『英単語の語源図鑑』
語源を調べる相棒として、私は『英単語の語源図鑑』をおすすめしています。「subは下」「terraは地面」といった語源がイラストつきでまとまっていて、2冊で完結します。
ただし、使い方は「読破する本」ではなく、「出会った単語を調べる本」。1ページ目から暗記しなくて大丈夫です。
まとめ|単語シート(点)に語源(線)が加わると、点と点がつながる
語源は、丸暗記できなくなった大人の脳に、いちばん合った単語の覚え方です。そして、覚えていない単語にぶつかっても、意味を推測しながら読み進める力をくれます。
この記事のやり方を、あなたがこれから回す順番に並べ直すと、こうなります。
1. 手ごわい単語にぶつかったら、まず分解してみる
2. 切れ目が分からなければ、ChatGPTやオンライン語源辞典、『英単語の語源図鑑』で成り立ちを調べる
3. 自分がもう知っている言葉(ペダルでもマニキュアでも)と結びつける
4. 日本語訳ではなく、「外に足を踏み出す」のようなイメージごと覚える
pedestrian(歩行者)、pedal(ペダル)、pedicure(ペディキュア)、expedition(遠征)を、別々の単語として認識するのではなく、【ped=足】という”線”でつないで、ネットワークで認識する。
線でつながった単語は、もう簡単には忘れません。
私が10年以上使っている単語シートは、出会った単語を貯めていく「点」の道具です。この点に、語源という線が加わると、バラバラだった単語が網の目になって、頭に残るようになります。
シートの作り方と使い方は、こちらの記事でご覧いただけます。

次に手ごわい単語に出会ったら、丸暗記を始める前に、じっと眺めて分解してみてくださいね。
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