英英辞典の3つのメリット|TOEIC980の私が英和をメインに使う理由


英英辞典を使ってみたけど、読むのに時間がかかりすぎて挫折した・・・

英和辞典ばかり使っていたら「英語脳」ができないって聞くけど、本当?
そんな悩みや疑問を、私はよくお聞きします。
「知らない単語は英英辞典で調べなさい」という話、あなたもきっと聞いたことがありますよね。
でも実際に使ってみると、定義の中にまた知らない単語が出てきて、1つ調べるのに時間がかかって続かない。この感覚、よく分かります。
先に私の立場をお伝えしておくと、私は英検1級とTOEIC980を持っていて、通訳や翻訳の仕事もしてきました。それでも、ふだんの辞書は英和がメイン。英英辞典は、ほとんど使ってきませんでした。
この記事では、英英辞典のメリットをお伝えしたうえで、それでも私が英和辞典をメインに使う理由と、AI時代の英英辞典との付き合い方をお話しします。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
✅ 英英辞典を使う3つのメリット(ニュアンス・コアイメージ・英語脳)
✅ 英英辞典を無理に使わなくても「英語脳」が作れる理由
✅ 英和辞典・英英辞典・ChatGPTの、いまの時代の使い分け
英英辞典を使う3つのメリット【ニュアンス・コアイメージ・英語脳】

使いこなせれば、英英辞典は確かに頼れる道具です。私が思うメリットは3つあります。
メリット1:似た英単語のニュアンスの違いがわかる(reservationとappointment)
reservationとappointment(どちらも「予約」)、pushとpress(どちらも「押す」)。英和辞典の訳語だけでは分からない微妙な違いが、英英辞典を引くとはっきりします。
たとえば、reservationとappointment。英英辞典にはこう書いてあります。
reservation:an arrangement in which something such as a seat on an aircraft or a table at a restaurant is kept for you
訳:飛行機の席やレストランのテーブルなどを確保するための約束
appointment:a formal arrangement to meet or visit someone at a particular time and place
訳:特定の時間と場所で人に会ったり訪問するための約束
いずれもCambridge Dictionaryから引用
reservationは「席や物を取っておく」約束、appointmentは「人に会う」約束。日本人が混同しやすい2つの「予約」の違いが、これで一発ですよね。
では、pushとpressはどうでしょう?
push:to use physical pressure or force, especially with your hands, in order to move something into a different position, usually one that is further away from you
訳:何かを別の位置に動かすために(たいていは自分から遠ざけるために)、特に手による物理的な(圧)力を加えること
press:to push something firmly, often without causing it to move permanently further away from you
訳:何かを強く押すことであるが、たいてい押した物体は戻ってくる(※意訳しています)
いずれもCambridge Dictionaryから引用
確かに、ボタンとかキーボードとかを押す時はだいたい「press」ですもんね。押したキーは、また元の位置に戻ってきますから。
(※まあ、英語では”push the button”とも普通に言うんですけど)
メリット2:英単語のコアイメージがつかめる(laborは「肉体労働」)
英和辞典の日本語がピンと来なかったり、定義が広すぎたりする時があります。そんな時に英英辞典を使うと、コアイメージ(中心となる意味)がつかみやすくなります。
たとえば、laborを英和辞典で調べると「仕事、作業、労働」、そして「陣痛」と書いてあります。
workやjobと何が違うの? しかも「陣痛」という意味もある。一体どういうこっちゃ!
こんな時、英英辞典を引いてみると、こうあります。
labor:practical work, esp. work that involves physical effort
訳:実践を伴う仕事。特に肉体に負担のかかる仕事
practical、physicalという単語が表す通り、laborのコアイメージは「肉体労働」(つまりガテン系)。陣痛と出産も、ある意味究極の肉体労働。
そう考えれば、イメージがつかめると思いませんか?
メリット3:英語を読む量が増えて、英語脳づくりの助けになる
日常的に英英辞典を使う習慣がつけば、英語を読む量が増えます。英語を読み続ければ、英語を語順通りに(英語のまま)理解できる場面も増えていく。
英文をたくさん読むので、文法の理解も深まるでしょう。
・・・これが、多くの人が英英辞典を使いたくなる一番のモチベーションだと思います。
でも、知らない単語を調べたら定義の中にまた知らない単語があって、その単語も英英辞典で調べて・・・を続けられる人は、ほとんどいません。だって面倒くさいから(´;ω;`)
英英辞典は使いこなせる英語力があれば伸びます。でも、続けられるかどうかは別問題なんです。
英英辞典を使わなくても英語脳は作れる


英和辞典を使っていたら、英語を英語のままで理解できるようになりません!
という脅し文句(?)、最近よく見かけませんか?
でも、私の経験では、そんなことはありません。そもそも「英語が英語のまま分かる」という状態には条件があって、その仕組みを知れば、英英辞典を無理に使う必要がないことも見えてきます。
「英語が英語のまま理解できる」とき、脳内で起きていること
「英語を理解する」とは、どういうことでしょう?
意味が分かる、理解する、というのは、頭の中にその概念(イメージ)が浮かんでいることを指します。英語でも日本語でもなく、そのイメージが頭に描けているということです。
たとえば、She is a good tennis player. という英語を聞いたり読んだりすると、脳内ではこういうことが起こります。
英語初心者:日本語に変換して理解(英語→日本語→イメージ)

英語上級者:英語のままで理解(英語→イメージ)

あなたが目指したいのは、もちろん後者ですよね。
日本語を介さず英語を理解できる4つの条件
ただ、この「英語が英語のままで理解できる状態」になるのは、以下の条件がそろっている時に限られます。
・単語の意味をすでに知っている
・その分野、トピックが自分になじみがある
・自分の英語レベルより、はるかに簡単な英語
・十分なインプット(読み、聞き)の積み重ねがある
これ以外の状況では、英語のままでは理解できないんですね。
「英語脳ができる」と言っても、ある日突然、どんな英語でも日本語なしで分かるようになるわけではありません。条件がそろった時にだけ、英語脳は発動します。
TOEIC980の私も、難しい英語は英語のままではわからない
私は英語を仕事にしていて、アメリカ人の夫と毎日家庭で英語で会話しています。それでも、完全な英語脳ではありません。
「日本語にするまでもなく理解できる」というほど自分にとって簡単なレベルの英語のときにだけ、英語のまま理解できるだけ。自分にとって難しいレベルの英語が、英語のままでわかるわけがないんです。
日本人である以上、母国語を忘れるほど異国にどっぷり浸かる生活をするのでもなければ、完全な英語脳にはなれないと私は思います。
だから、英語脳を作る道は、英英辞典で無理に日本語を排除することではありません。あえて排除する必要がないくらい簡単に理解できる、やさしい英語をたくさん読んで、聞くこと。
その積み重ねで、「日本語に訳すまでもなく理解できる」英語のレベルをだんだんと上げていくんです。
難しい英語を英英辞典で頑張るより、やさしい英語をたくさん。この方がずっと近道ですよ!
英語脳の作り方は、この記事に詳しく書いています。

TOEIC980の私が英和辞典をメインに使う理由

では、なぜ私はいまだに英和辞典がメインなのか? 理由をお話しします。
単語の意味を知る入口は日本語でいい
たとえば、「糖尿病」を意味するdiabetesという単語。英英辞典で調べると、「血液中に糖が過剰に含まれる病気」という説明が出てきます。
でも、「糖尿病」という日本語でバチッと覚えた方がずっと早いと思いませんか?
長い英語の説明で何となくぼんやり理解するよりも、「糖尿病」という訳語で一発で理解した方が、イメージもわきやすい。
糖尿病が何なのかを知らない子どもだったら、定義から理解していく必要があります。でも、私たちは大人です。日本語の理解レベルは高いし、日本語という便利なツールを持っています。
日本語で素早く正確に理解できるのだから、その能力を使わないともったいない。知らない単語の意味を知る最初の入口は、日本語でいいんじゃないかな、と私は思うんです。
最後に「英語→イメージ」で理解できれば、入口はどちらでもいい
「単語の意味を真に理解した」というのは、日本語でもなく英語でもなく、そのものが表す「イメージ」が頭に浮かんでいる状態のことです。
私の場合、diabetesは最初、「えっと〜、diabetesは糖尿病だから・・・」と、見るたび聞くたびに日本語を介していました(英語→日本語→イメージ)。
でも今は、diabetesを見た瞬間・聞いた瞬間に、イメージが浮かびます(英語→イメージ)。この単語に何度も出会ってきたからです。
入口は日本語でも、出会う回数を重ねれば日本語は要らなくなります。それでいいんです!
覚えたきっかけが日本語だったとしても、最終的に「英語→イメージ」になればいい。「最初から英語で!日本語は一切使わない!」と頑張るより、その方がずっと効率的です。
私が英英辞典を開くのは3つの場面だけ
じゃあ英英辞典はいつ使うのか? 私の場合、次の3つの場面くらいです。
・二つの似た単語の細かい違いを調べるとき(reservationとappointmentなど)
・日本語にはない概念の単語(sustainableなど)を調べるとき
・英和辞典に書いてある日本語がしっくり来なかったとき
ふだんの単語調べは英和辞典、英英辞典はこの3つの場面だけ。
レベル別・目的別の詳しい使い分け(7つの場面別の答え)は、こちらの記事にまとめています。

AI時代の英英辞典|ニュアンス調べはChatGPTの方が早い


それなら、ChatGPTがある今は英英辞典すら要らないのでは?
はい、実はかなりその通りなんです。ここは正直にお話しします。
英英辞典のメリット1と2は、ChatGPTでかなり代替できる
似た単語の違いを知りたいとき、例文が欲しいとき。以前なら英英辞典の出番だった場面は、いまはChatGPTに聞く方がよっぽど早いです。
「reservationとappointmentの違いは?」「例文を出して」と言えば、いいものが出てきます。私自身、英英辞典を使うことはほぼなくなりました。
さっき挙げた「3つの場面」の多くを、いまはAIがカバーしてくれます。
ChatGPTは自信満々に間違える|大事な単語は辞書で裏を取る
ただし、AIの説明は、もっともらしいのに違っていることがあります。ビジネスの場で使う重要な単語なら、送信する前に、英和でも英英でもいいので信頼できる辞書で確認してください。
ふだんの調べ物はAIで時短、勝負の一語だけは辞書で確認。速さのAIと正確さの辞書を、上手に使い分けられると最強です。
AIで浮いた時間は「覚える時間」に回す
そして、AIとのやりとりで勉強した気にならないことが大事です。
ちょっと厳しいことを言いますが、最近AIが便利になってきて、AIにあれこれ質問して、丁寧に答えてもらって、褒めてもらって(苦笑)、それで時間が溶けている方がめちゃくちゃ多いです。
例文を作ってもらって、違いを解説してもらって、それを整理することは、勉強ではありません。ですが、それを「覚える」作業は、AIが肩代わりしてはくれません。それは、あなたの仕事です。
AIで浮いた時間は、覚える時間と、声に出して言ってみる時間に回しましょう!
英英辞典の使い方|無料のオンライン辞書で十分です

ここまで読んで「自分は英英辞典を使う場面がありそうだ」という方へ。わざわざ電子辞書や分厚い本を買う必要はありません。
無料のネット辞書で十分です。私もこの3つを使っていますよ。
Collins COBUILD
定義が「If you push something, you 〜」のようなフルセンテンスで書かれているのが特徴です。その単語が実際の文の中でどう使われるかまで、定義を読むだけで分かります。
Longman
定義に使われる単語が、基本的な約2,000語に制限されている辞書です。知らない単語の連鎖にぶつかりにくい、学習者にやさしい作りです。
→ Longman
Cambridge Dictionary
この記事の引用でも使った辞書です。定義が簡潔で、例文が豊富。英語版と日本語版(英和)の切り替えもできます。
英英辞典の読み方のコツ|定義文の「型」を知れば速く読める
英英辞典の定義文には、決まった型があります。「大きなカテゴリ+他と区別する特徴」という並びです。
さっきのreservationの定義なら、こう分解できます。
・an arrangement(約束・手配の一種)← 大きなカテゴリ
・in which something such as a seat 〜 is kept for you(席などを確保しておくもの)← 特徴
この型を知っていると、まず最初の名詞でだいたいの正体をつかんで、後半で細部を確認する、という読み方ができます。
定義を全部きっちり訳そうとせず、最初の数語と例文だけ見る。これだけで、ぐっと楽になりますよ。
まとめ|英英辞典は「たまに使う道具」でいい
というわけで、英英辞典の3つのメリットと、それでも私が英和辞典をメインに使う理由をお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
これからのあなたの単語調べは、こう整理できます。
✅ ふだんの単語調べは、英和辞典でOK
意味を知る入口は、日本語でいいんです。
✅ 似た単語のニュアンスや、訳語がピンとこない単語だけ英英辞典(またはChatGPT)
✅ 勝負の一語だけは、AIを鵜呑みにせず辞書で確認する
✅ 調べ物で浮いた時間は、「覚える」時間に回す
私自身、英英辞典をほとんど使わないまま、英検1級もTOEIC980も取れましたし、英語を仕事にするところまで来ました。
辞書選びで迷う時間より、単語に出会って覚える時間。それが一番の近道だと思っています。
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