英単語が覚えられない理由と、大人の脳に合う覚え方|通訳が解説


何回勉強しても、単語が覚えられないんです・・・

歳のせいか、記憶力が悪くなって単語を暗記してもすぐ忘れてしまいます・・・

DUO、金フレ、キクタン・・・いろいろ買ったけど、やったのはどれも最初の数ページだけ・・・
という声を、毎日のようにいただきます。
学生時代と同じように単語を覚えようとしても、あの頃みたいに頭に入らない。 何度も見たはずの単語が、次の日にはもう思い出せない。「記憶力が落ちたから、もう無理なのかな」と、単語だけは避けて通りたくなる。
あなたも、心当たり、ないですか?
私自身も、英単語を覚えるのが苦手で、ほんとに苦戦してきました。単語の勉強って、つまらないですよね・・・(´;ω;`)
TOEIC700点の頃、私は英字新聞を購読していました。何となく、英字新聞が読めるってかっこいいと思っていたからです。でも、実際はわからない単語が多すぎて、ほとんど読めませんでした。
「もっと単語力がないとダメなんだな」と分かった私は、ボキャブラリー教材を購入して単語を覚えようとしましたが、その勉強も全く続きませんでした。
結局、毎日届く新聞はほとんど開くことのないまま、廃品回収に直行でした・・・私は当時、毎月数千円払ってゴミの束を買っていたわけです。
ですが、試行錯誤を重ねる中で単語の覚え方が変わり、語彙が最大のネックと言われる英検1級に合格し、英語を武器に仕事もできるようになりました。
通訳者として、会議の前に数日で100個以上の単語を一気に詰め込むこともあります。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
✅ 英単語が覚えられない理由と、大人の脳の仕組み
✅ 大人の脳が「この単語は覚える価値がある」と判断する5つの条件
✅ 机に向かう時間がなくてもできる、英単語の覚え方
✅ 覚えても使えない単語との、正しい付き合い方
英単語が覚えられない理由は、学生時代のやり方を続けているから

単語が覚えられない本当の理由は、「脳の仕組みが変わったのに、昔のやり方のままで覚えようとしているから」なんです。
つまり、必要なのは記憶力を取り戻すことではなく、覚え方を大人用に入れ替えること。まずは、なぜ昔のやり方が効かなくなったのかを見ておきましょう。
10代の脳は丸暗記で英単語を覚えられる(大人の脳は覚えられない)
子供の脳は、「この情報は、覚える価値があるかどうか」の判断が、まだうまくできません。だから、その弱点を「丸暗記力」で補っているのです。
だから中学生・高校生は、意味も背景も分からないまま、単語を100個並べて機械的に唱えれば覚えられました。あなたが赤シートで隠して丸暗記していたのは、当時の脳に合った方法だったわけです。
私も高校時代は、単語カードをひたすらめくって覚えていました。あのやり方が通用したのは、10代の脳だったからです。
30歳から「大人の脳」に切り替わる|記憶力のピークは45〜55歳
『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』によると、30歳くらいを境に、「大人の脳」に切り替わるそうです。
大人の脳は、入ってきた情報に対して「これは覚える価値があるのか?」という判断を、かなり厳しくやります。価値がないと判断された情報は、「この情報、いらない!」と判断して、忘れてしまうのです。
意味も文脈もなく、ただ並んでいるだけの単語は、この判断で真っ先に捨てられます。単語帳を3周したのに何も残っていないのは、そういうことです。
ちなみに、前述の『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』によると、脳のピークは45歳から55歳だと言われています。
落ちたのは記憶力ではなく、丸暗記という一つの機能。代わりに、意味や経験と結びつけて覚える力は上がっています。
英単語が覚えられないのは記憶力の低下ではなく、やり方のズレ
私は、生徒さんによくこう言っています。年を取ったら記憶力が落ちるという、その考えをまず捨てましょう、と。
「単語が得意です」という人に、私はほとんど会ったことがありません。みんな苦手で当たり前。私も、今でも知らない単語ばかりですし、なかなか覚えられません。
数回見ただけで覚えられないのは、あなたの頭が悪いからではなく、大人の脳がそういう作りだから。だとしたら、やることは一つ。
「大人の脳が覚える価値があると判断する形」で、単語を入れていけばいいわけです。
大人の脳が「覚える価値がある」と判断する5つの条件

では、大人の脳は何を「覚える価値がある情報」だと判断するのでしょうか? 次の5つです。
・自分が強く興味を惹かれること
・強く印象に残ったエピソード、ストーリー
・自分の過去の体験と結びつくこと
・すでに知っている情報と結びつくこと
・何度も繰り返し刷り込まれた情報
単語帳を黙って眺める作業は、この5つのどれにも当てはまりません。だから捨てられます。
逆に言えば、覚えたい単語をこの5つのどれかに引っかけてやれば、大人の脳でもちゃんと残るということです。
条件1:その英単語に興味を持てる
「こんな単語、私は使わないな」と思いながら覚えた単語は、まず残りません。脳が興味なしと判断して捨てるからです。
だから、単語帳を選ぶ時点で、自分の目的と合っているかがものすごく大事になります。
海外の取引先と交渉したい人がスラング集を覚えても、旅行英語を楽しみたい人が金融の専門用語を覚えても、脳は真面目に働いてくれません。
「こんな単語を覚えても、きっと使わないのにな・・・」と思いながらやる勉強は、ストレス以外の何物でもありません。
自分のレベルと目的に合った1冊の選び方は、こちらの記事に詳しく書いています。

条件2:英単語がエピソードやストーリーとして残る
単語を単体で覚えると、何度覚えてもすぐに忘れてしまいます。
でも、たとえば映画のワンシーンで覚えた単語の場合、「あのシーンで、登場人物がこういう表情で使ってたな」というシチュエーションの記憶とセットで覚えると、格段に頭に残りますよね。
私の経験をお話しすると、「sabotage(破壊行為)」という単語の定義を「破壊行為」としか知らなかった時は、ピンと来ずに覚えられないでいました。
が、たまたま見ていた『アグリー・ベティ』というアメリカのドラマの中で
I thought she was trying to sabotage me.
(彼女、私の足を引っ張りたいんだと思ってた)
という表現が出てきました。そのシーンでは、「破壊行為」というより「足を引っ張る」「成功の邪魔をする」という意味でこのsabotageが使われていました。
このシーンのおかげで、sabotageが記憶に一気に定着しました。
映画やドラマで「これは覚えておきたいな」という単語が出てきたら、そのシーンの情景や俳優の表情をまるごとイメージしながら、その単語を口に出して覚えてしまいましょう。
条件3:英単語が自分の過去の体験と結びつく
いつも同じ場所で単語の勉強をしていると、勉強が単調になってしまいます。刺激は、本当に勉強の強い味方。視覚的、感覚的な刺激を自分に与えましょう。
たとえば、
・仕事終わりにいつもより一駅手前で電車を降りて、単語を音声で聞きながら歩いて帰る。
・お気に入りのカフェで単語を覚える。
・教材を片手に公園を散歩しながら、単語を小声で発音し、高速回転する。
いつもと違う風景で単語を覚えると、その目新しい風景や匂いなどの印象と単語が紐づきます。「あ・・・この単語、あのカフェで覚えたやつだ」と覚えられたりするのです。
私も、「この単語、運転しながら山崎まさよしを聞きながら覚えたな〜」とかいう記憶とともに蘇ってくる単語があったりします。(笑)
毎回違う場所を探すのは大変なので、できる時でいいです。ぜひ、時々は新しい環境で単語学習をしてみてください。
条件4:英単語がすでに知っている言葉とつながる
大人の脳は、まっさらな新情報より、すでに持っている知識に接続できる情報を残します。ここで効いてくるのが、語源です。
たとえば、“tract”という語幹は、日本語にもなっている「トラクター」からも想像できるように、「引っ張る」という意味です。
接頭辞の知識があれば、
extract:ex(外に)+tract(引っ張る)=抽出する
distract:dis(離れて)+tract(引っ張る)=気をそらす
というふうに、単語の構造が見えてきます。バラバラの暗記項目が、一気に知っている情報の仲間に変わるわけです。
私が語源のすごさに気づいたのは、大学でフランス語をやっていたときでした。
フランス語で冬は「hiver(イヴェール)」と言います。そして、英語には「hibernate(冬眠する)」という単語がありますが、英検1級レベルを超える、難しい単語です。
でも、私はhibernateの意味を知った瞬間、頭の中でピーン!とつながる感覚がありました。
あのとき、単語をネットワークで覚えるツールとしての「語源」を知らなかったら、今の自分は絶対にいません。
語源は、知らない単語をゼロにする方法ではなく、知らない単語に出会っても諦めず、意味を推測できる力を与えてくれるものです。
語源で単語を芋づる式に覚える方法は、この記事に詳しく書いています!

語源については、この本がわかりやすくまとまっていてお勧めです。
条件5:英単語が何度も繰り返し目に入る
最後の条件が、繰り返し。何回も出てくる情報について、脳は「これは何度も出てくるから、覚えないといけないやつだな」と判断してくれます。
逆に言えば、1回しか見ていない単語を脳が捨てるのは、正常な働きです。
「単語を覚えてもすぐに忘れてしまいます」というお悩みメールをたくさんいただきますが、それが当たり前です!忘れるのが当たり前。だから、何度も繰り返す必要があるのです。
ちなみに「繰り返し」とは「3回」とか「5回」といったレベルではなく、「数十回」や「100回」と思ってください。
逆に、5回とか10回とかやっても覚えられないとしても、「それで当たり前なんだな」と安心して取り組みましょう。
英単語の覚え方は「出合いの数」と「出合いの質」で決まる

ボキャブラリーを増やすにあたって、多くの人が「単語は1回で覚えなければいけない」と勘違いしています。
一回で覚えようとするから、もっと言えば、一回で覚えられると勘違いしているから、
・とにかく手が真っ黒になるまで書きまくるとか、
・日本語の定義も全部覚えようとするとか、
・ついでに派生語も全部覚えようとするとか、
そういう変なことが起こってしまうわけです。
「この単語を覚えるという作業は今この瞬間だけ!」っていう、間違った覚悟で勉強しているんです。
まあ、ほとんどの場合は、次の日になったら忘れてますよね。_| ̄|○ il||li
で、「ああ・・・自分はやっぱり頭が悪いんだ」「どうしてこんなに覚えられないんだろう」って、自己嫌悪に陥ってしまうわけです。
大人の単語学習で結果を分けるのは、1回の濃さではありません。出合いの数と、出合いの質、この2つです。
英単語との出合いの数を増やす|1日100語に目を通す(覚えなくていい)
ま~、天才だったら違うのかもしれませんが、新しい単語を一発で覚えるなんてありえないです。
単語を身につけられるかどうかは、その単語との出合いの数で決まります。
単語っていうのは、知らなかったものに何度も何度も出くわすたびに、
1度目の出合い:「この単語知らないな」
↓
2度目の出合い:「見たことあったっけ・・・?」
↓
3度目の出合い:「見たことあるけど、覚えてないな」
↓
4度目の出合い:「あそこで見た単語だ!何だっけ・・・」
↓
5度目の出合い:「この単語知ってる!!」
こういう段階を経て、だんだん記憶に定着していくものなんです。(※必ず5回というわけではありません)
人間との出会いだって、そうじゃないですか?
あなたが新しい会社に入って、周りは知らない人だらけ。初日に会社に行っただけで、全員の顔と名前が覚えられますか?? そんなわけないですよね。
よっぽどインパクト強い人なら一発で覚えることもあると思いますが、普通は、デスクが近くだったりして接触回数が多い人から順番に覚えますよね。部署が遠くてあんまり会わない人は、なかなか覚えられません。
英単語も、それと全く同じ。だから、単語帳の1周目にやることは、「覚える」ではありません。知らない単語と顔見知りになることです。
自分が見たこともない単語は、英文の中に出てきても自分のレーダーに引っかかりません。まずは「初めまして」の挨拶を済ませて、レーダーに引っかかる単語を増やしていきます。
私は1日200語に目を通しています。多いように見えますが、覚えようとしていないので10分ちょっとで終わります。
英単語1語にかける時間は5〜10秒
1周目の手順は、これだけです。
1. 単語を見る
2. 発音をチェックして、自分でも発音する
3. 日本語の定義を1つだけ見る
4. 例文は「ふーん」と流す
1単語につき5〜10秒。100語で、だいたい10分です。
同義語や対義語、派生語は、ザーッと見るだけで良いです。どうせ今は覚えられないので(笑)。まず覚えるべき単語を覚えたら、同義語や派生語は後で自然に分かるようになります。
平日5日で500語、1か月で約2000語。それで単語本1冊が一通り終わります。1冊にかける期限は、2〜3か月を目安にしてください。期限を決めないと、単語学習はだらだらズルズルになりがちで、そのうち自己肯定感まで下がってしまいます。
分からない英単語は悩まず答えを見て、印をつける
2周目以降は、日本語を隠して英単語を見て、定義を覚えているかチェックします。
まあ、全然覚えてなくて当たり前なんで、最低数十回挑むつもりで気長にやりましょう。
この時、「えーっと、なんだったかな」と思い出そうとして長い時間をかけるのは、もったいない使い方です。1単語2〜3秒くらいのペースで。分からなかったら、すぐ答えを見ましょう。そのかわり、その単語に印をつけておきます。
2周目以降は、印がついている単語だけを見ればいいので、回すスピードがどんどん上がります。1周目に丸をつけた200語が、3周目には50語になっている。この減り方が、そのまま励みになります。
英単語との出合いの質を上げる|音・イメージ・場面ごと覚える
先ほど、単語を覚えるのと人の名前を覚えるのは、似たようなものだとお話ししました。
「接触回数が多ければ覚える」とは言っても、何回会っても、何回名前を聞いてもやっぱり覚えられない人がいるのも事実なんですよね。インパクトが薄い人って、やっぱりいますしね。
でも、そのインパクトが薄い人のことを、ある時を境に、「もう絶対忘れない!」っていうくらいバッチリ名前が覚えられることも誰にでもあると思うんですよね。
それって、どういう時だと思います?
その人に関する、印象に残るエピソードが生まれた時です。たとえば、誰も知り合いのいないはずの県外に旅行に行ったら、あり得ない偶然でその同僚に旅先で会ったとか。
つまり、英語でもできるだけ、そういう「印象に残る出合い」を求めていかないといけないわけです。「いつもと違うシチュエーションでの出合い」を。
あなたが、ボキャブラリー本を使って勉強してて、どうしても覚えられない単語があるんだったら、同じ方法を続けても、残念ながら覚えられる確率は低いです。「印象」が足りないから。「インパクト」が薄いから。
その出合いの場は、単語帳の外にもあります。本を読んでたら、英字新聞を読んでたら、海外ドラマを見てたら、なかなか覚えられなかったあの単語に出合う。そうしたら、次からは「あっ!!これ、あの新聞記事で見たやつだ!」と、新聞記事の内容まで思い出せる。その出合いがきっかけで、記憶に定着する。
そうやって単語が覚えられた経験、あなたにもありませんか?
英単語は必ず声に出す(書いて覚えない)
人は、感覚刺激が多い方が脳内のニューロンが活性化して記憶力が増すと言われています。単語を黙って読む方法は、ほぼ視覚しか使っていません。聴覚も、口も使いましょう。
やることは2つです。音声で正しい発音を確認して、その通りに声に出す。大きな声を出せない環境なら、小声でブツブツ言うだけでも、すごく効果があります。声が出せない場所なら、頭の中で正しい発音を再生してください。
我流の発音で覚えてしまうと、その単語が聞こえてきても分からず、知らないのと同じことになります。
なので、「yesterday」を「昨日、家捨てるでー」とかいう語呂合わせで覚えるのは、今日から一切やめましょう! ←こうやって覚えてたのは、私の弟ですが(;・∀・)
手を動かす暇があったら、口を動かして耳を使いましょう!
単語を書いて覚えることをお勧めしない理由は、こちらに書いています。

覚える単語が入った例文を聞きながらシャドーイングすれば、その単語を覚えられるのはもちろん、発音やイントネーションの訓練にもなります。
私自身も、毎日通勤の車の中で単語教材のCDをひたすら流して、例文をシャドーイングしていました。

Google画像検索とYouGlishで英単語をイメージに変える
単語を覚える時に、Googleの画像検索がすごく役に立ちます。
たとえば、「gloomy:暗い」という単語が覚えられないとして、gloomyを画像検索してみると、「どよーん」とした絵や写真がたくさん出てきます。これを見て、単語のイメージを膨らませて、覚えるのです。

文字の印象だけで覚えるのと、映像を伴った印象で覚えるのとでは、定着率が全く違います!
動画で確かめたいときは、YouGlishという無料サイトが便利です。知らない単語がYouTubeの動画の中で実際に使われているシーンを、次々に出してくれます。
映画やドラマのシーンで見たいなら、PlayPhrase.meもあります。その単語が出てくるシーンだけを再生してくれるサイトで、無料だと1単語5個までです。
この画像検索・YouGlish・PlayPhrase.meの具体的な使い方は、手描きイラストやChatGPTで画像を作ってもらう方法とあわせて、こちらの記事に全部まとめています。覚えられない単語を「映像ごと」覚えたい方はどうぞ。

覚えられない英単語はChatGPTに語源・例文・語呂まで出させる
何周回しても覚えられない単語は、必ず残ります。その単語は、ChatGPTに丸投げしてしまいましょう。
私が最近よくやっている、お気に入りの単語学習法が「ChatGPTに例文を作ってもらって、単語の使い方のイメージをつかみながら覚える」というやり方です。ぜひ、このまま入れてみてください。
“boast”を含む例文5個と、その日本語訳をください。
The city boasts a rich cultural heritage.(その都市は豊かな文化遺産を誇っています)
He always boasts about his culinary skills.(彼はいつも自分の料理スキルを自慢します)
This hotel boasts an impressive view of the lake.(このホテルは湖の印象的な眺めを誇っています)
Our university boasts a high employment rate for graduates.(私たちの大学は、卒業生の高い就職率を誇っています)
She boasts of having traveled to over fifty countries.(彼女は50カ国以上を旅行したと自慢しています)
こうやって複数の例文をズラーッと目にすることで、

なるほど、人が主語の時は『自慢する』って感じで、場所が主語だと『評判がいい』みたいなイメージで使う単語なんだな!
と、よりboastという単語のイメージがわいて覚えやすくなると思いませんか?
意味の違いを知りたいときも、英英辞典を引くよりChatGPTに「この2つの違いは何ですか」と聞いた方が、よっぽど早くていいものが出てきます。
ただし、AIに「AとBのニュアンスの違い」などを聞きすぎるのは逆効果です。
いちいちChatGPTに例文を作ってもらって解説してもらったところで、どうせすぐ忘れます(苦笑)
ChatGPTとあれこれやりとりしていると、一瞬で時間が溶けます。そして勉強した気分にはなりますが、効果は薄いです。
ChatGPTにいろんな単語で例文を作らせていたら、一生終わりません。ChatGPTに助けてもらうのは、「何回見ても、どうしても覚えられない単語」だけにしましょう。
机に向かえない大人の英単語学習は、耳とスキマ時間で回す

大人が単語学習で挫折するもう一つの理由が、時間です。仕事から帰って、机に向かって単語帳を開く30分。これが確保できる日は、そんなに多くありません。
だから私は、単語学習を机の上から追い出しました。
英単語は机ではなく、通勤・家事・待ち時間に覚える
音声で単語を覚えるいいところは、机で勉強しなくてもいいことです。私は、単語学習はほぼ「ながら聞き」でやりました。ウォーキング中、運転中、家事などの時間に、単語教材の音声を聞きながら、単語を覚えました。
だから、教材を選ぶときは音声つきのものにしてください。しかも、単語だけを読み上げた音声より、例文ごと音声に入っている教材の方が、リスニングの訓練にもなって一石二鳥です。
机に向かえた日だけ勉強する形にすると、単語は永遠に終わりません。移動時間に音を流すだけで、1周目は進みます。
たとえば、私のおすすめの単語本はこれです。速読速聴英単語シリーズはレベルごとに細かく分かれているので、あなたの目的とレベルに合ったものを選んでください。
スキマ時間の英単語は1語1秒で高速回転する
1周目は1単語5〜10秒でしたが、2周目以降はスピードを上げます。
英単語と日本語の定義を、1単語1秒くらいのスピードを目安にどんどん見ていく。それを何度も何度も繰り返す。覚えられるまで、5回転でも10回転でも高速で回していきましょう。
単語は、ゆっくりじっくりやってはダメです。一つの単語をゆっくりやるより、何度も何度も出会った方が格段に覚えられます。
英単語シートは持ち歩く|私は職場のデスクに貼っていました
単語シート、フラッシュカードなどの助けも借りながら、スキマ時間を活用して単語を覚えましょう。
ちょっとした時間でも見逃さないで、一つでも多く単語を覚えてやろうという気持ちが、ボキャブラリーを増やすにはすごく重要です。
私は会社員時代、自作の単語シートを職場のPCにテープで貼り付けていました。どうしても覚えられない単語を休憩時間にコーヒーを飲みながら眺めたり、仕事の合間のふとした時間に覚えたりしていました。

通勤電車の中でもかさばらないので、簡単にチェックできます。会社員時代は、ホームで電車を待ちながらチェックしたりもよくしていました。在宅勤務の方なら、自宅のトイレに貼っておくのもいいと思います。
この単語シートは10年以上使っていて、このやり方で覚えた単語は数千語あります。作り方と使い方は、こちらで配布しています。
覚えられない英単語だけ「選抜チーム」を作る
平日に500語を回すと、週末には、印がついたまま残っている単語がはっきりしてきます。その単語だけを抜き出して、選抜チームを作ってください。
私は選抜チームを、Ankiという自作単語帳アプリに入れています。ちょっとしたスキマ時間にスマホでこのアプリを開いて、ちょこちょこと覚えています。紙の単語シートに書き出すのでも構いません。
ChatGPTやYouGlishで見つけた「これで覚えられた!」というヒントは、そのままAnkiや単語本に自分で書き足しておきましょう。次に会ったとき、また一から思い出さなくて済みます。
1冊2000語のうち、最後まで粘るのは200語くらい。残りの1〜2か月は、その200語との勝負です。全部を平等に何周もするより、ずっと楽で速いです。
その最後まで粘る単語にこそ、AIが効きます。覚えられない単語をChatGPTに丸投げして、意味・語源・語呂のヒントを一度に出してもらう私のプロンプトは、こちらで公開しています。

英単語は全部覚えなくていい|仕事で使う単語から準備する

ここまでのやり方で単語は増えます。でも、増えた先で必ずぶち当たる壁があります。
それは、覚えたのに、使えないということ。単語は知ってるのに、いざ英語で話そうとすると全然出てこないってこと、ありますよね。
読んで分かればいい英単語と、自分が使う英単語を分ける(受動語彙と能動語彙)

知ってても使えない単語がたくさんあるのですが・・・
というご相談をよくいただきます。
ですが、知っている単語の数と、口から出せる単語の数は、そもそも一致しません。
日本語でも、知ってるけど自分では使わない単語って、たくさんありますよね?
読んで分かる・聞いて分かる(受動語彙)でいい単語と、自分の口から出したい単語(能動語彙)は、分けて扱ってください。
たとえば “benefit” は使えると便利なので、覚えるときに「自分ならどこで使うか」を一度考えてみる。一方、”humanity” という単語を自分がしゃべる場面は、私にはほぼありません。受動語彙でOKです。
この一手間が、能動語彙と受動語彙の分かれ目になります。自分が準備して、言ってみたことしか、絶対に言えるようになりません。単語も同じで、使う場面を一度でも考えた単語だけが、口から出てきます。
知らない英単語をスルーする勇気を持つ
出会った未知の単語を全部覚えようとすると、単語学習は永遠に終わりません。これも覚えて、これも覚えて、これも覚えないといけない、とやっていたら、一生覚えられないままです。
単語本に載っている単語は、専門家が「このレベルの人に必要」と選定したもの。そこを信頼して、載っていない単語はスルーする勇気を持ってください。
同じ理由で、次の4つも今はやらなくていいです。
・1つの単語の定義を全部覚える(代表的な1つでOK)
・品詞・類義語・反義語まで覚える(暗記を助ける材料であって、覚える対象ではない)
・日本語から英語に言えるようにする(今はアウトプット用の練習は不要)
・似た単語の使い分けを気にする(高度な知識と膨大な経験値が必要な作業)
単語ノートをきれいにまとめるのも、やめましょう。まとめてもどうせ覚えられないです。勉強した気にはなるんですけどね。
仕事で使う英単語は、会議の前に準備する(昔は紙、今はAI)
会議の前に、その日使うであろう単語を集めて自分専用の単語帳を作り、それを会議に持って行きましょう。AIを使えば、この準備が数分で終わります。
私は〇〇業界の△△担当です。□□について英語で会議をします。使いそうな専門用語を30個、例文つきで出してください
と入れれば、自分専用の単語リストが出てきます。それをスプレッドシートに貯めて、毎朝見る。本番で固まる回数は、これで確実に減ります。
ぶっちゃけ、本番でなるべく何もやらないのがコツです。本番で考えなくていいように、前に全部やっておきましょう。
会議前に、単語リストだけでなく発言まで含めて準備するやり方は、こちらに詳しく書いています。

単語を知らないから英語が話せない、ではない
あなたが英語をしゃべれないのは、単語を知らないからではありません。
たとえば「このレストランは食材にこだわってる」と言いたいとき、「こだわる」を辞書で探しに行く人が多いです。
でも、その必要はありません。「このレストランは、いい食材を選ぶことをとても大事にしている」と言えば伝わります。すでに知っている単語で、言えることはたくさんある。
『海外ドラマは350の単語でできている』という本があります。海外ドラマの約8割は、350語で話されているそうです。難しい単語を1万語覚えても、この350語を自由に動かせなければ、会話は止まります。
難しい単語を知らなくても、日本人なら誰でも知ってる簡単な英単語だけで、かなりのことが言えます。単語を覚えることと、話せるようになることは別です。
まとめ|英単語が覚えられないのは、大人の脳に合わないやり方をしていたから
英単語が覚えられない理由は、記憶力の低下ではありません。丸暗記が効いた10代の脳のやり方を、大人の脳に使い続けているからです。
大人の脳向けにやることを、順番に並べるとこうなります。
まず、自分のレベルと目的に合った単語本を1冊決めて、期限を2〜3か月に切る。
1周目は覚えようとせず、1単語5〜10秒で顔見知りを増やす。
移動中や家事の合間に音声を流し、必ず声に出す。
2周目以降は1単語1秒で高速回転して、印がついた単語だけを残す。
最後まで粘って残った数十語だけ、画像検索やChatGPTで忘れられないイメージを作る。
私は今でも、単語が得意になったことは一度もありません。英字新聞を廃品回収に出していた頃から、『The Economist』という英雑誌を日常的に読んでいる今まで、知らない単語に出会い続けています。
私が英語道を教えていただいた英語界のレジェンド、御年80歳の松本道弘先生は、こう言われました。
「単語を忘れるのを恐れちゃダメだ。『忘れたら嫌だ』じゃなく、忘れる以上のスピードでどんどんインプットしていけばいいんだ」。
3回見て覚えられない、5回やってまだ覚えられない。それは、覚えられないのではなく、まだ数が足りていないだけ。
100回くらい繰り返すつもりで、単語本に取り組みましょう。


