2018年7月28日
シャドーイングで英語が話せるようになりますか?10年続けた私の結論
エバンス愛
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シャドーイングって英語を声に出すトレーニングなので、英会話ができるようになるイメージありますよね。でも、実際のところ、シャドーイングって英会話にどれくらい効果があるのでしょうか?
この記事では、私の痛い経験も交えて、シャドーイングで英語が話せるようになるのかどうか、検証したいと思います!
コンテンツ
私が10年シャドーイングを続けて現れた効果
私に現れた効果をお話しする前に、シャドーイングがどういうトレーニングなのか復習しておきたい方は、こちらの記事をご覧ください。
では、私がシャドーイングを継続することによって、実際にどういう効果があったのか、私の個人的な経験をご紹介します。
私がシャドーイングを始めた時(TOEIC600点程度)
当時の私は、こういう状態です。
・全然話せないし、リスニングも苦手
・音読では英語らしい抑揚が全くつけられない
・どこでポーズを取っていいか分からない
・100%ジャパニーズイングリッシュな発音
英語を音読してみても、とにかく単語をひとつひとつ発音していくので精一杯です。強弱も全くない平坦な読み方しか出来ず、どこでポーズを取るのかなんてもちろん分かりません。
外国人留学生のサポートのボランティアをやっていて、英語は時々話していましたが、めちゃくちゃたどたどしい英語しか話せませんでした。発音が悪くて通じないこともよくありました。
シャドーイングを始めて2年(TOEIC800点程度)
・中学生レベルの英語なら口からスラッと出始めた
・発音やイントネーションはちょっとだけ進歩
・耳にする英語が意味のある言葉として聞こえ始めた
シャドーイングという勉強法を知ってから、すぐに私の生活に習慣として定着したわけではありません。当時の生活では英語があまり必要ではなく、そもそも英語の勉強が好きとか楽しいとかいうタイプでは全くないので、ちゃんと取り組めば2年もかからずもっと早くこういうレベルに達したと思います。
シャドーイングでリスニング力がアップするなんて、このころは知らずにやっていました。でも、黙って英語を聞いているだけと比較して、シャドーイングの方がずっとリスニング力アップに役立ちました。
シャドーイングを始めて3年(TOEIC900点程度)
・考えなくてもスラッと口から出る英語が格段に増えた
・発音やイントネーションを褒められることが多くなった
・TOEIC程度のリスニングなら苦労しなくなった
この頃は完全にシャドーイングが毎日の生活に溶け込んでいました。たまに外国人と英語を話す時にも、発音が悪くて通じないということはほぼなくなりました。
当時は塾で英語を高校生に教えていました。発音コンプレックスがなくなり、生徒の前で英文を声に出して読むのが苦痛じゃなくなったのが、ようやくこの頃。生徒には「先生の発音すげー!」なんてよく言われていました。(まあ、高校生は本当の上手な英語を知らないので・・・)
これまでは、自分の語彙や文法レベルとっては簡単すぎるNHKの基礎英語やその他の英会話教材などをシャドーイングに使っていました。でも、この頃はシャドーイングにもすっかり慣れ、使う教材を目的によって選ぶことができるようになりました。
ボキャブラリー用の教材をシャドーイングに使えば、単語も覚えられるし、同時にシャドーイングでリスニング力や発音も良くなるしという、一石二鳥どころか何鳥にもなる効率いいやり方を見つけたのがこの頃です。
この他にも、イディオムを強化したかったのでCDつきの熟語本を買って、それをひたすらシャドーイングしていました。
TOEIC用の勉強はほぼ何もしていませんが、シャドーイング効果で点数は着実にアップしていきました。
シャドーイングが英会話に役立つこと
というわけで、ここまで私がシャドーイングをやってどんな感じに変化していったのかを書いてみました。
さて、ここからが本題。シャドーイングは、英会話にどんな効果をもたらすのでしょうか?
1.英語を発音する時に滑らかに口が動く
シャドーイングで口の周りの英語用筋肉が鍛えられるので、英語の音読やリピートの時、滑らかに口が動くようになります。(※「英語で自分の言葉で話す時」ではないことに注意。あくまで、音読やリピートの時です。)
また、シャドーイングで何度も発音したフレーズが、英会話で必要な時にサラッと自然に出てきたりするようにもなります。
2.リスニング、発音、イントネーションが鍛えられる
リスニングが鍛えられるので、英会話の時に相手の英語がよく聞き取れるようになります。ちぐはぐな英会話にならないために、相手の言っていることを理解できるというのは重要ですからね。
発音とイントネーションも良くなるので、外国人と話をしても、発音が悪くて通じないといった悩みがほぼなくなります。人前で英語を発音することへの抵抗もなくなります。
発音の心配をしなくて良くなり、英語を口に出せば自然に英語らしい発音とイントネーションになるので、話す時には内容に集中できるようになります。なので、発音にも注意を向ける必要がある人より質の高いアウトプットができます。
3.同時並行処理スキルが鍛えられる
多くの人は英語で会話しているとき、相手の話を聞くので精一杯だと思います。そして、自分が話す番になって「えっと・・・」と頭の中での英作文がはじまり、すごく時間がかかってしまいます。
でも「話す」「聞く」を同時にこなさないといけないシャドーイングをやることで、同時に二つのことに注意を向ける能力が鍛えられます。
つまり、シャドーイングをやることで、相手の会話を聞きながら「何て答えようかな」と考える余裕ができるようになります。
この能力がさらに極まると、相手の英語を聞き漏らすことなく同時に辞書を引いたり資料を調べたりできるようになります。
以上。
シャドーイングは、英会話にはこういう効果があります。
・・・さて、あなたは何か気づきましたか?
シャドーイングで英語は話せるようにならない理由
はい、答え書いちゃいましたが、シャドーイングで英語は話せるようにならないんです。
シャドーイングって、英語をたくさん声に出す勉強法なので、「シャドーイングで英会話もバッチリ」って思っている方も多いと思いますが、違うんです。
もちろん、上記のような効果があるのは確かなので、やる意味が全くないわけではありません。でも、自分の言いたいことがスラスラ英語で言えるようになるとかいう効果は、ほぼ期待できません。
シャドーイングはどうして英会話に効果がないんでしょうか?
シャドーイングというのは、話すと聞くを同時に行わないといけないので、最初はそれだけで精一杯です。脳は「聞く」と「繰り返す」という、リアクション(受動)状態になるんですね。「話す」というアクション(能動)状態にはなりません。
英会話ができるようになるには、能動的に「話そう」という意識を持って練習しないとまず無理です。特にシャドーイングに慣れないうちや、自分のリスニング力とリピート力でシャドーイングできるギリギリの教材を使っている場合は、「話す」というアクション状態が作りにくいです。
また、私の場合はシャドーイングだけに集中して行うことはほぼなく、運転中とか、家事をしながらとか、何かのついでにやっています。私が読者さんに勧めているのもこの方法です。
なので、運転などをしながらシャドーイングをしつつ、同時に「英語の文章を組み立てて話す」(アクション状態)ことを意識するには、時間的・精神的余裕が足りないんです。
聞こえる英語のスピードに遅れないようについていきながら、どんどん英語を口に出さないといけないからです。
じゃあ、「ながら作業でのシャドーイングをやめてシャドーイングだけに集中すれば、アクション状態に近づけるじゃないか」と思うかもしれません。
理論的にはそうなのですが、それだったらその時間にスカイプ英会話や瞬間英作文をやった方が、よほど英語が話せるようになります。
それでもシャドーイングで英会話力を伸ばすには?
というわけで、シャドーイングの効果は、完全なアウトプットのトレーニングで得られる効果には到底及びません。シャドーイングは、インプットとアウトプットの中間くらいに位置するトレーニングでしかないからです。
英語が話せるようになりたいなら、「完全にアウトプットに特化したトレーニング」に勝るものはありません。
なので、シャドーイングをすれば英語が話せるようになるという幻想は捨てて、
・リスニング力、発音、イントネーションを鍛える
・口の筋肉を鍛える
・同時並行処理スキルを鍛える
という効果のためとある程度割り切ってシャドーイングに取り組んでいただきたいのですが、それでも「シャドーイングをする時にこういうことに気をつけると、英会話にも効果があるよ!」という点を2つここでお話しします。
声をきちんと出す
シャドーイングに慣れないうちは、小さい声でボソボソと話してしまいがちです。最初はそれでいいですが、慣れてきたら普通に話す時の声でシャドーイングをすることを心がけてください。
自分が普段話すときの声量でシャドーイングをしてみると、いかに「できたつもり」の適当シャドーイングだったかが分かります(笑)。
声をきちんと出してシャドーイングすることで、英語を話すときの発音やイントネーションも良くなりますし、ボソボソリピートするよりはアウトプットモードに近づきます。
自分の発言であるかのように英語を声に出す
シャドーイングは、機械的に音を繰り返すのではなく、その意味を噛み締めながら話し手の気持ちになってシャドーイングすることが重要です。これも、慣れないうちはリピートするだけで精一杯だと思いますが、慣れてきたらぜひ意識してください。
英語を聞いて繰り返しながら、次の展開を予測して、話し手の言葉がまるで自分が組み立てた言葉であるかようなつもりで感情を入れてリピートすることで、英会話力向上にもつながります。
さきほど、シャドーイングは「聞く」と「繰り返す」というリアクション(受動)状態だと言いました。シャドーイング中に自分の言葉であるかのようにリピートすることを意識しながら、少しでも「自分で英語を組み立ててアウトプットする」というアクション(能動)状態に近づけていくイメージです。
まとめ
私は10年以上シャドーイングのトレーニングをしましたが、英語は話せるようになりませんでした。もちろん、トレーニングのおかげで口は滑らかに動きますし、発音も格段に良くなりました。使える英語として身に付いた表現もたくさんあります。
でも、シャドーイングだけでは自分で英語が組み立てられるようにはならないんです。自分で英語が組み立てられて、何でも自由自在に言えるようになるには、自分で英語を組み立てるトレーニングをするしかありません。
私は、それに気づくのが遅れたので、アホみたいにシャドーイングばっかりしてたわけです。(汗)
で、「あれ?全然英語話せるようにならないぞ?なんかおかしい」と思って始めたトレーニングが「瞬間英作文」です。「能動的に話そうという意識を持ってトレーニングしないと、英語は話せるようにならない」と言いましたが、瞬間英作文がまさにその訓練法です。
というわけで、シャドーイングで英語が話せるようになるのか?その答えは、シャドーイングだけでは無理!というお話をしましたが、いかがだったでしょうか?
シャドーイングもいいのですが、シャドーイング以外にちゃんと英語が話せるようになるための練習をしてくださいね!