米国人スピーカーの講演会でのプロ通訳さんのお仕事を見てきました
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米国人スピーカーの講演会でのプロ通訳さんのお仕事を見てきました

エバンス愛

※当ブログ記事には、広告が含まれます。

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アラン・コーエンさんというアメリカ人作家の講演会に行ってきました。東京ならいざ知らず、私の住む広島では外国人の講演が聞ける機会なんてめったにないんですね。

また、私自身はビジネス通訳者なので、人を楽しませて人の心を動かすスピーチという場で通訳さんがどんな仕事をするのか、とても興味がありました。

 

で、講演が始まった瞬間から、すごく驚きました。

通訳さんは、たぶん40代くらいの女性だったのですが、アラン氏のとなりにぴったりとくっついて、彼の言葉を細切れに間髪入れず通訳していくんですね。

アラン氏: 「If you・・・」
通訳: 「あなたが・・・だったら」
アラン氏: 「then you will・・・」
通訳: 「・・・でしょう」

という感じで。

アラン氏と同じ声の調子で、ジェスチャーも同じ。彼が腕を伸ばすと通訳さんも同じように腕を伸ばし、彼が体をちぢこめると、通訳さんも同じことをしました。

彼が椅子から立ち上がると、通訳さんも立ち上がり、彼が声を落とすと、通訳さんも同じように小さな声になりました。

 

まー、ビジネスシーンの通訳しか知らない私にはびっくりでしたね。

スピーカーのジェスチャーを真似るなんてまずしませんし、スピーカーが怒って声を荒げていても、通訳は、もちろん言葉としては忠実に表現しますが、全く同じ調子で声を荒げたりはしません。ビジネスの場では、状況によってはあえて内容をトーンダウンして伝えることもあるくらいです。

でも、このアラン氏はスピリチュアル系の作家、講演家でスピーチの内容も人間の内面や人生についてだったので、アラン氏がとても楽しそうに体を大きく動かして話しているのに、通訳さんが身動きひとつせず冷静にシラけた通訳をするわけにはいかないんですよね。

スピーカーの分身となって、同じ気持ちになって彼の言葉を全て伝えないといけないわけです。

 

また、私の職場では、逐次通訳だと、1段落分くらいはスピーカーが一気にしゃべります。

通訳はメモを取りながら「何て訳そうかな」と考える時間があり、発言を聞きながら同時に辞書を引くこともあります。

何の話だろう?と最初にピンと来なくても、続きを聞いていけば、何を言いたかったのか分かって全体がちゃんと訳せるということもよくあります。

30秒くらいはそういう時間の猶予があります。

あ、もちろん、猶予といっても、一生懸命話を聞いてメモを取って正確な訳出に備えなければいけないわけなので、ものすごく集中して緊張してはいるんですけどね。

 

でも、その通訳さんの場合は、1秒から長くても3~4秒くらいずつでどんどんアラン氏と入れ替わりたちかわりという感じでした。それを、ぶっ続けで1時間ちょっと。驚異的な集中力の持続がないとできません。ごまかしもききません。

・・・ってなことばかりが気になってしまって通訳者の思考回路で脳内通訳しながら聞いていたのですが、くしくも東北大震災のほんの数週間後にあったそのセミナーでは、「こんな時だからこそ、物事の良い面を努めて見るようにしましょう」というアランさんのお話がとても心に残っています。

「東北の人の苦しみ、悲しみを想像してあなたは『私は無事なのが申し訳ない』と思っていませんか?
思っていますよね。

放射能のせいで生活が一変してしまった福島の人の苦しみ、悲しみを想像して、東京の人は『自分は大丈夫なのに。申し訳ない』

停電やガソリン不足で困っている東京の人の苦しみを想像して、西日本の人は『自分のところはいつも通りなのに。申し訳ない』

そう思いましたよね。

でも、考えてみてください。

東北で悲しんでいる人の気持ちを想像してあなたまで悲しくなったら、ただ悲しい人が一人増えてしまうだけなんですよ。

あなたが悲しんでいては、 悲しんでいる人は救えません。あなたはハッピーでいなければならないんです。

今回の震災は、本当に悲しい出来事でした。
たくさんの人が、大切な人や家を失いました。

でも、世界中の人が、 日本に助けの手を差し伸べてくれていますね。
こんなことがあったからこそ、みんなの優しい心に触れることができました。
そうでしょう?

どんなことにも、良い側面というのは必ずあるんです。
良い面にフォーカスするのです。

私のある友人の旦那さんは、いつもトーストを食べるときにパンくずをボロボロこぼす人だったんです。
彼女は、いつもそのことを注意していましたが、いっこうにその癖は直りませんでした。

でも、ある日彼女は気づいたんです。
パンくずをボロボロこぼす癖がある以外は、彼は望みうる最高の夫だと。

パンくずがない代わりに彼もそばにいてくれないよりは、パンくずをこぼしても、そばにいてくれる方がずっといい、と」

 

今回、自分の同僚以外の通訳さんのお仕事を間近で見てすごく勉強になりましたし、参考にしたいこともたくさん見つかりました。

で、こうやって実際にプロの人の仕事に触れるというのは何であろうと、すごく大事だと思うわけです。

もしあなたが通訳を目指しているのであれば、実際に通訳の仕事ぶりが見られる講演会に行ってみる、通訳希望者向けのセミナーに行ってプロに話しを聞いてみるといいと思います!

 

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Ai Evansエバンス愛

独学で英語を学び、国際機関で通訳者を8年経験したのち、独立。本物の英語力を身につけ、大和魂を海外に発信できる国際人を育てることが目標です。
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