2022年8月14日
【体験談あり】外資系企業役員秘書の仕事内容、収入、必要な英語力は?
エバンス愛
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英語を活かして外国人のボスのためにバリバリ仕事をこなすかっこいい秘書って、なんか憧れますよね。
私は、ほんの1年ほどですが、外資系企業で日本人役員秘書の派遣の仕事を経験しました。また、次に通訳翻訳者として勤めた職場では、アメリカ人役員秘書たちの仕事を間近でたくさん見てきました。
このページでは、そんな「英語力を必要とする秘書(バイリンガルセクレタリー)」の仕事を解説します。
コンテンツ
外資系企業秘書/バイリンガルセクレタリーの特徴
難易度 ★★~★★★★ 会社、上司の国籍や英語力(日本語力)によってまちまち
求人数 ★★★ 地方や日系企業でも英語のできる秘書の需要はある
お給料 ★★~★★★ 事務より少しだけ上という程度
<良いところ>
・組織のトップという、「成功者」を間近で見て学ぶことができる。
・大きな仕事を成し遂げる上司を、応援しサポートする喜びがある。
・「○○さんの秘書」という肩書のおかげで、丁重に扱ってもらえることもある。
・自分では行くことのできないような高級なお店でお食事ができたりする。
<悪いところ>
・仕事は上司を中心に回るので、自分の都合で休暇が取りづらい。
・雑用的な仕事も避けられないので、それが苦しい人にはつらいかもしれない。
・組織の核心に関わる情報に触れる機会も多いので、人に言えない秘密も増える。
・会社の闇や人間関係の確執、嫉妬などが見えてしまう。
<向いている人>
・細やかな気配りができ、他の人に尽くすことに喜びを感じる人。
・口が堅く、几帳面で、整理整頓が得意な人。
・人を見る目がある人。(ボスに取り次ぐべき来客や電話かどうかを見極めるため)
・上司の求めることを状況に応じて的確に判断できる人。
(私自身の独断と偏見に基づく意見です。)
そもそも、秘書とはどんな仕事?
企業の経営者や役員を補佐する個人秘書と、部や課、プロジェクトなどを担当するグループ秘書(グループセクレタリー)があります。
上司のスケジュールやメールの管理、来客の接遇や電話応対、会議の準備、出張の切符手配や宿泊予約、経費の精算、各種文書作成、慶弔の手配、パーティーの準備、その他お茶くみやコピー、執務室の清掃などの業務を行うことが多いと思います。
上司が自分の仕事に専念できるように、その他の雑多な仕事をまとめて引き受けるのが秘書です。
外資系企業秘書/バイリンガルセクレタリーとは?
個人秘書として仕える上司が日本語が堪能でない外国人の場合、当然ながら日々の仕事の指示を受けたり報告をしたりする言語が全て英語(または別の外国語)になります。
市役所の手続きや、上司宅に届いた日本語の文書の説明や病院の予約、病院への付き添いや診断結果の通訳、クリーニング店でのスーツの受け取りなど、上司の生活全般のサポートが含まれる場合もあります。以前、同じ職場で働いていたアメリカ人付き秘書の女性は、上司の靴の修理や時計の電池交換まで手配していました。
会社の人事部に英語ができるスタッフがいる場合は、秘書ではなく人事担当者が外国人上司の生活支援や事務手続きを行うこともあります。
日本人上司の場合、個人的な生活のサポートは少ない(またはない)傾向ですが、外資系企業や海外との取引の多い会社であれば、上司は日本人でも英語業務は多く発生します。
たとえば、以下のような場合です。
・海外本社・支社とのメールのやりとり
・上司宛に外国人からかかってきた電話の取次ぎ
・上司宛、または上司が作成した会議資料やメールの翻訳
・上司の海外出張の手配
・上司と外国人社員とのコミュニケーションの仲介
秘書の英語力や社風によって業務の幅は様々ですが、秘書の仕事に通訳や翻訳が含まれる場合もあります。
秘書が本格的な会議通訳や文書の翻訳を兼務する場合もあれば、専任の通訳者・翻訳者が社内にいる場合は、専任者に依頼するまでもない簡単な通訳翻訳を担当する場合もあります。もちろん、通訳翻訳を全く含まない秘書業務もあります。
バイリンガルセクレタリーに必要な資格、英語力は?
秘書検定という資格試験がありますが、合格しないと秘書になれないというわけではないので、秘書になるのに必要な資格はありません。
ですが、社会人経験やビジネスパーソンとしての常識は必須なので、新卒や子育て後の長いブランクの後でいきなり役員秘書になるケースは、少ないと思います。(私の場合は、部長と課長のどっちが偉いかも分からない元塾講師から秘書になってしまったので、そういう例外もありますが・・・^^;)
実際にどの程度の英語力が必要になるのかは、仕事内容や上司の日本語能力によります。
担当上司が外国人の場合の英語レベルの目安
外国人上司との日常のコミュニケーションという観点から言えば、ネイティブレベルの英語力が必要なわけではありません。
あまりにくだけた友人や子供に使うような言葉づかいしかできないなら別ですが、上司の英語が正しく聞き取れ、必定な情報が正しく伝えられるのであれば、(英語力の面だけで言えば)秘書として十分務まります。
とは言え、それができるのはおそらくTOEIC900点程度以上になるとは思います。
担当上司が日本人の場合の英語レベルの目安
上司自身がどの程度のレベルの英語を操れるのか、また秘書にどのような業務が求められているかによって、必要とされる英語力は大きく異なります。
定型文をもとに英語文書を作成する程度でよい場合もあれば、英語が苦手な上司にかわって英文メールを作成したり、翻訳をすることが求められる場合もあります。上司と外国人社員のコミュニケーションの通訳を任されることもあります。
TOEIC800点程度が最低レベルになりますが、翻訳や通訳も兼ねる場合はもっとハイレベルな英語力が必要なこともあります。
私自身は、担当上司は英語の堪能な日本人でしたが、それでも上司に代わって英文資料やメールを作成していました。外国人向けのお悔やみのメールをはじめて書いたときが一番緊張しました。(笑)
海外支店の秘書(中国人、フランス人など)との英語メールのやりとりが頻繁にありましたが、私が勤めていた職場自体には外国人はいなかったので、英語を話す機会は電話対応以外はほとんどありませんでした。
バイリンガル秘書に求められる英語力
外資系の秘書は、英文ビジネスメールの書き方を頭においておいた方がいいですが、市販の書籍などをいくらでも参考にできますので、普通に英語を読み書きできるレベル(TOEIC800点以上)ならあまり心配する必要はありません。
私は、この2冊の本を職場の机に置いて、いつも見ながらメールを書いていました。
社外の外国人重役などとのコミュニケーションが必要な場合には、高いビジネス英語力があった方がいいのは確かです。とは言え、あくまでも主役は上司で秘書はアシスタントなので、秘書にものすごくハイレベルな英語力は求められていないと考えていいと思います。
なお、「社長付き秘書兼通訳」という仕事も存在します。多くは、外国人社長付きの秘書として業務をしつつ、その社長が会議に出る時に通訳も兼務するというポジションです。
この場合は、言うまでもありませんが、会議通訳ができるハイレベルな英語力が求められます。
なお、バイリンガルセクレタリーの「バイリンガル」というのは、帰国子女のように英語も日本語も同等に母国語レベルで操れる人を指すのではなく、「日本語と英語の両方で業務ができる」という意味です。
つまり、上司の指示を受けて業務を行ったり上司に報告をしたりするのに十分な英語力があれば、英語が母国語レベルでなくても問題ありません。
バイリンガル秘書のお給料は?どうしたらなれる?
秘書のお給料は会社や業務の範囲によって様々ですが、一般事務よりちょっと高い程度というのが一般的なようです。私の体感では、一般事務の2割増くらいです。私の場合は、派遣で「一般事務の時給プラス200円」という感じでした。
秘書でも責任の重いポストの人(秘書を統括する立場など)や、難易度の高い通訳や翻訳も業務に含まれる場合は、もちろんお給料は上がります。
私自身はたまたま、登録した派遣会社が英語ができて勤務可能な人を緊急で探していたので、たまたまその条件に合った私が紹介されてそのまま採用されたので、秘書になりたかったというわけではありませんでした。
その時のことは、翻訳者への道ー私が未経験から翻訳の仕事をゲットして転職した方法に詳しく書いています。
バイリンガルセクレタリーや外資系企業の秘書になって英語を活かしたい場合、日本人付きでいいので秘書経験があるとかなり強みになります。営業事務も、秘書的なサポート業務なので有利になると思います。英文事務など英語を扱う事務経験も、活かせるでしょう。
闇雲にTOEICや秘書検定などの資格に走るより、バイリンガルセクレタリー周辺の関連業務経験を積んだ方が早いかもしれません。
私の外資系役員秘書の体験談
私は派遣で日本人役員の秘書をしましたが、日々のお茶くみや執務室の掃除、出張の宿泊手配、資料作成、会議室の手配などの秘書業務に加えて、英語が関連する仕事がありました。
上司は海外勤務の経験もあり、英語がよくできる人だったので、「上司と海外との間の英文メールのやりとりを、日本人社員閲覧用に日本語に翻訳する」という仕事が数日に一回ありました。
他には、上司と海外支社の役員が会合を開く時に、相手側の秘書(フランス人、中国人)と英語でメールや電話を通じていろいろ準備を進めたりしました。
最初は英語→日本語の翻訳が主でしたが、そのうち上司に「僕より君が書いた方が、ずっときちんとした英文になるから」と言っていただき、上司に代わって英文メールを書いたりと、任せてもらえる翻訳作業が増えていきました。
ところで、上司は50代男性でしたが、石田純一似のとてもかっこいい人でした。詳しくは知りませんが、「不倫は文化」を実践している人でもあったようです(笑)。
女性を扱うのがとても上手で、いつもおだてて私を木に登らせていました。セクハラっぽい嫌な感じでは全くなく、素直に「喜ばせよう」という気持ちからのようでした。
成功している人って、他人を褒めるのが本当に上手です。ああ、こうして世の中の上司と秘書はいけない関係に陥るのね・・・と、ちょっと分かりました。私たちは、もちろん何もなかったですけど。
仕事はバリバリできるし、性格も本当にいい人で、この上司に関しては何の不満もありませんでした。上司を頑張って支えたいと思っていましたし、そのために一生懸命仕事はしたつもりです。
でも、そもそも秘書という仕事に興味が全くなく、「英語を活かせる仕事」だという理由でこの仕事を始めた私にとっては、「翻訳業務が時々あるだけ」ではちょっと物足りないなあと感じるようになりました。
また、私が秘書の仕事を始めたときに、周囲に「愛ちゃんが秘書なんて信じられない。どう見ても愛ちゃんは秘書を使う方でしょw」って言われたくらい、明らかに秘書に向いていない性格だった(笑)のも、仕事を辞めたくなった理由です。
そんな時、会社の方向性が変わり、私が慕っていた上司も東京に異動になることを聞かされました。いろいろありましたが、秘書の仕事を極めたいという気持ちはなかったので、退職を決めました。
・・・そう簡単にはいかず、すったもんだがあって、結局、更新のときには辞めさせてもらえませんでした。(上司は転職を応援してくれたのですが、人事が・・・)
私の場合は、派遣期間をちょっと延長することで退職を許してもらいました。
バイリンガルセクレタリー/外資系企業秘書の仕事まとめ
上でも書いたように、外資系秘書の仕事は、日常的に英語を使うことが可能です。また、翻訳や通訳を目指したい場合、とても良い助走にもなります。
でも、当たり前ですが、「英語を使いたい」だけの人には、秘書は務まりません。外国語のスキルより、気配りと正確な情報伝達・整理が一番求められる仕事です。
また、ハイレベルな英語を使えるようになりたい場合は、秘書として求められる英語力には物足りなく感じる可能性が高いです。必要なのは、日常会話と基本のビジネス英語だけですから。
それを頭の中に入れておいて「次のステップアップのための修行だ」と思って秘書をやってみる価値はありだと思いますし(もちろん、やるとなればきちんと責任を果たすことは言うまでもありません)、その経験を基にして、さらに飛躍することは十分可能です。
というわけで、バイリンガル秘書を目指す人のお役に立てば幸いです!
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