私がTOEIC700点台から6年で通訳者になるまでにやらなかった10のこと



私がTOEICが780点だった25歳の時から、31歳で通訳者として採用されるまでにやった勉強法を、以下のページにまとめました。

私がTOEIC700点台から6年で通訳者になるまでにやった10のこと




そこで今回は、「私がTOEIC700点台から6年で通訳者になるまでにやらなかったこと」を書いてみたいと思います。

「世間的には通訳者には必要と思われているようだけど、
 私はやらなかったし、別に必要なかったな」

「これをやらなかったからこそ結果的に良かったのかも」

と思う勉強法です。



1.音読


前回の「私がTOEIC700点台から6年で通訳者になるまでにやった10のこと」でもお話ししましたが、純粋に勉強に取り組める時間があるなら、シャドーイングより音読が効果が高かっただろうと思います。

でも、フルタイムで勤めていると、仕事から疲れて帰ってきて、「さあ、机について音読をやろう」という気には正直なかなかなれないです。前回も言いましたが、この6年は、結婚準備、職探し、引っ越しに明け暮れる毎日でした。

なので、私には通勤時間に車の中でできるシャドーイングで、音読の代わりとなるトレーニングがしっかりできていたようです。

もちろん、どんなに忙しくても時間は作れるものだし、音読もやらないよりやったほうが良かったには違いないのですが、音読をやらなくても一応通訳として採用される程度になったという意味で「私には必要なかった勉強法」として音読を挙げたいと思います。



2.発音に特化した訓練


「通訳者になるなら、発音はネイティブレベルでないといけない」と多くの人が思っています。

が、私の知る通訳者は、必ずしも発音が上手な人ばかりではありませんし、みんなが発音の特別な訓練をしているわけでもありません。

もちろん、発音が下手よりはうまい方がいいに決まっているし、努力が必要なのは言うまでもないことです。でも、「クライアントが聞き取りに苦労するほどのひどい発音でなければ、大きな問題はない」というのが、私の経験から言えることです。


多くの人が勘違いしていることですが、発音とは、「r」の舌の動きとか、「v」と「b」の違いとか、一つ一つの音の出し方が重要なのではありません。

文章全体のリズムや強弱、イントネーションのほうがずっと重要で、それらさえきちんと押さえられていれば「v」となるべき音が「b」となっていても普通に通じます。

意外かもしれませんが、これほんと。

そういう意味で、文章全体のリズム、強弱、イントネーションなどの訓練は、私の場合はシャドーイングだけで問題なくできたと思っています。



3.専門用語や専門知識習得のための英雑誌の購読


「通訳者になりたければ、TIMEとかNewsweekなどの英雑誌を購読するのは常識。
 あらゆる分野の専門単語を知っておく必要があるし、
 世界の政治経済、環境問題などあらゆる分野に精通していなければ」

そう思っている人も多いと思いますが、これも誤解です。

業界それぞれの専門用語や知識の習得は必要ですが、「あらゆる分野の深い知識やボキャブラリー」は必要ありません。国連の第一級の通訳者さんとかなら話は別ですが、普通の企業の会議通訳の場合、世界の政治経済や環境問題の英語に精通している必要はありません。

「私の経験では」という話になりますが、英検1級レベルの単語が通訳現場で必要な場合など、ほとんどありません。通訳とは「話し言葉」を訳すことなので、その業界の専門用語を除いてはそんなに難しい単語が飛び交うわけではなく、一般的な単語がほとんどです。



4.英英辞典の利用


「英語ができるようになりたければ英和辞典は使うな」という話をよく聞きますし、英英辞典を使うことの効果も理解できます。

が、問題は、知らない単語が出てきたときに、いちいち英英辞典を調べてその意味を理解し、場合によっては英英辞典の定義をノートに書き出したりといった勉強が続けられるかどうかということです。

私は続けられなかったので、英英辞典の利用は早々にあきらめました。

今までずっと英辞郎を使っていますが、別に問題は感じていませんし、「英英辞書を使っていればもっと早く通訳になれたかも」とも特に思わないです。



5.TOEIC対策


私の場合は、TOEICに特化した勉強は一切していないです。普通にやるべき勉強を積み重ねていったら、勝手に高得点を取ることができました。

TOEIC対策が根本的な英語力の向上に直結しているならいいのですが、それがTOEICの問題の解き方だったり点取りテクニックだと全く意味がないです。

通訳者の英語レベルの目安としてTOEIC900点台というのをよく聞きますが、TOEIC900点になれば通訳者になれるわけではありません。TOEIC高得点を目指して勉強をしているようでは、通訳レベルにはまだまだというのが正直なところで、900点台になってようやく、「通訳を目指して勉強するスタートラインに立てた」というところです。

「通訳を目指すなら、簡単に900点が取れないようでは話にならない」と知人のフリーランス通訳者が言っていましたが、その通りだと私も思います。



6.いい勉強法を求めて情報を捜し回ること


勉強法の情報を提供している立場でこれを言うのは心苦しいですが、勉強法探しに時間を費やすばかりで肝心の勉強をしてない人が多すぎると感じます。

私の場合、「この勉強法をやろう」と決めたら、それを愚直にやり続けました。「他に、私がまだ知らないもっと効果的な方法があるのでは?」なんて考えたこともありませんでした。

たとえば、シャドーイングという勉強法があると知ってすぐにそれに取り組み始めて、結果的に10年以上継続しました。

当時、仮にシャドーイング以外の勉強法があると知ったとしても、「シャドーイングすら満足にできないのに他のことに手を出してどうする!」とおそらくスルーしたのではないかと思います。

自分のやり方に自信があったわけでも何でもありません。単に、勉強法を探す時間が惜しかっただけです。



7.教材の選定に時間をかけること


私は、本屋さんでいろんな英語教材を見て回ったり、ネットでいろんな通信講座の評判を見て検討したりということを全くと言っていいほどしませんでした。

信頼する人が勧めてくれた教材、信頼する会社の作っている教材、それだけを常に選んでいました。それ以外の教材は選択肢にそもそも入れていません。

だから、本屋さんでブラブラ、ネットでウロウロというのはほぼしていないです。

読者さんからいただくメールを読んでいると、特定の教材を実践するかしないかで数ヶ月(時には数年単位で)悩んでいる人がいます。「それだけの時間を教材選びではなく、真剣にその教材に取り組むことに使っていたら、どれだけの違いが生まれているか!」と本当に残念に思います・・・

教材選びに時間をかけるのは、本当にもったいないです。

うまくいったらそれでいいし、結局自分に合わないと分かったとしても、その時間は無駄ではありません。次回はもっと良い選択ができるようになるからです。

何もしないで「どうしよう、やろうかな、やめようかな」が一番無駄な時間です。



8.通訳者養成講座


通訳者になりたい人に「通訳養成講座に通ってはいけない」と言うつもりは全くないです。

通えるなら、通った方がいいに決まっています。そもそも、専門的な通訳トレーニングを受けたこともない人が、通訳として採用されるチャンスは小さいという現実的な問題もあります。

が、トレーニングを受けずに飛び込んでしまった私が「今からでもスクールに通うべきか」と先輩に相談したとき、通訳スクールに通った経験のある先輩にこう言われました。

「学校の課題で覚えさせられた政治の単語とかは結局うちの仕事にはほぼ関係なかったし、実際にここで仕事をすることほど役に立つ訓練はなかった」

私のやっている翻訳エージェントで仕事をしてもらった女性も、「翻訳の通信講座も受講しましたが、実際にえいみさんの翻訳チームで仕事をしたのが何百倍も勉強になったし力がつきました」と言っていました。

勇気とチャンスと環境さえあれば、OJT(日常業務を通じたトレーニング)にまさるものはないと思います。



9.資格取得や試験合格に時間を費やすこと


私が英検1級に合格したのは、通訳として働き始めた後です。通訳ガイドの試験や翻訳検定を受けたことも、そのために勉強したこともないです。

「通訳になるのが目標なので、まずはTOEIC900点と英検1級を目指しています」「通訳になる前のステップとして、まずは通訳ガイドの資格を取ろうと思います。そのためには、通訳ガイドの英語試験が免除になる英検1級の合格を目指したいと思います」というメールを結構よくいただくのですが、「なんでそうやってわざわざ遠回りするかな?」と私は不思議に思っています。

・・・いや、実は理由はよく分かっています。

ズバッと言っちゃいますが、「その目標と正面から向き合うのが怖いから、試験の合格を目指すことで本当の目標から逃げている」んですよね。

私もそういう心理状況に陥ったことが何度もあります。怖い、逃げたいという気持ちは痛いほどわかります。

でも、通訳ガイドになりたい人以外は通訳ガイドの試験に合格する必要はないし、英検1級なんて何になるにも必要ありません。



10.英語圏への留学(長期滞在)


私は、カナダのモントリオール(フランス語圏)で2か月ほど英語教授法を学んだ経験はあります。

でも、教室以外ではフランス語だし、週3日、1回当たり半日のパートタイムコースだったので、留学経験と言えるほどのものでもありません。

「留学経験がない」ということを必要以上にマイナス要素と考えている人が多いですが、実際は留学経験はあまり関係ないし、留学経験なしでも英語のプロはたくさんいます。

通訳者になるには、長期の留学経験があるか、帰国子女でなければならないのではと思われがちですが、全然そんなことはありません。

これは、逆に英語圏での長期滞在や留学経験のある人に聞いてみたらいいですよ。「数年くらい留学とか滞在とかしても、そんな変わらない」ってみんな言いますから。

経験したことない人からすると「数年間も住んで変わらんわけないやろう!」って思いますし、全く進歩がゼロってことはないはずです。

でも、留学などの経験がないから自分は高い英語力を身につけることができないんだ、そう思っているなら、それは全く違うということです。



私がTOEIC700点台から6年で通訳者になるまでにやらなかった10のことまとめ


いかがだったでしょうか?以下が、私が「通訳になるために必要なかったな」と思うことです。

1.音読
2.発音に特化した訓練
3.専門用語や専門知識習得のための英雑誌の購読
4.英英辞典の利用
5.TOEIC対策
6.いい勉強法を求めて情報を捜し回ること
7.教材の選定に時間をかけること
8.通訳者養成講座
9.資格取得や合格に時間を費やすこと
10.英語圏への留学(長期滞在)



次回は、このシリーズの最終回として、TOEIC700点台から通訳になるまでの6年間を振り返って、

「やらなかったけど、やっといたら良かった」
「やったけど、別にいらなかった」

と思うことを書きましたので、こちらも良かったらどうぞ。

私が通訳者になるまでにやっとけばよかったと思うこと、やらなくて良かったこと




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