2018年9月23日
英語で食べていきたいがTOEICで足切りに。試験対策特化の勉強が必要?
エバンス愛

今日は、実用的な英語のスキルを身につけるか、それともTOEICや英検などの試験対策に特化した勉強をするべきかで悩んでいる、TOEIC725点の読者さんからのメールを取り上げます。
(英検2級、TOEIC725点の男性からのメール)
私は今、某外国語学校に在籍しています。
自分で言うのもなんですが、(TOEICスコアや英検のグレードの割には)スピーキングやライティングなどの発信型スキルは周りの人に比べて高い評価を得ています。
しかし、私は今就活に際して、多くの企業では外国語をアピールできません。私の得点帯ですと730点か750点で足切りをしているところが多いからです。
ある人に、こういわれたことがあります。
「まず、英検1級・TOEIC900点以上は必要だ。そこで機会を得て、周りからの過度の期待と無茶な要求の中で英語力は無理やりついていくものだ」と。
だとすれば、この水準までは試験英語のパッケージの中で英語力を養うのが筋な気もしてしまいます。
ハッキリ言って、自分は実用英語技能のほうにやりがいを感じて英語を生き甲斐として選びました。
しかし、英検1級にしろ、TOEIC900にしろ、ほんやく検定2級にしろ、それを取らなければ(俗な言い方になりますが)英語がメシの種にならないという問題に直面しているのです。
私は「実用技能を磨いて、資格や点数は後からついてくる」という今のスタンスを貫いていいのか、「一通りの資格は揃える(現時点では実用技能を学ぶ水準に達していない)」と考えるべきなのか。
いま、非常に迷っています。
英語で食べていきたいが、就職試験で足切りされてしまう
単刀直入にいきましょう。
あなたが就職を見据えて英語を勉強しているのなら、
「実用英語と試験英語のどちらをあなたが重視したいか」は関係ありません。
「相手に欲しい人材と思ってもらえるために何をすべきか」がすべてです。
今のTOEIC等の点数では応募条件に満たない、あるいは応募しても書類選考から先に進めないのですね?
応募が多数だった場合は、どうしてもTOEICなどでふるいをかけないないといけないのは仕方がありません。であれば、TOEICで足切りされてしまうようでは、相手が欲しいと思ってくれるかどうかという段階にすら行けません。相手にとってあなたは存在しないのと同じです。
現在725点で、就活中で、730や750で足切りをしている企業が多いようだと分かっているのなら、足切りを免れるために750点をさっさと取りましょうよ。点取りテクニックを少し学べば一瞬でしょう。
「発信型スキルは高い評価を得ている」の裏返し
(TOEICスコアや英検のグレードの割には)スピーキングやライティングなどの発信型スキルは周りの人に比べて高い評価を得ています。
スピーキングやライティングのアウトプットスキルが高い評価を得ているという、それ自体は素晴らしいことですし、自信を持って良いと思います。
でも、ごめんなさい。大変意地悪な言い方になってしまいますが、見方を変えれば「アウトプットスキルの割にはインプットスキルが低い」とも言えます。であれば、受信スキルをご自身の課題と自覚して、インプットの強化に取り組めば良いのではないでしょうか?
英語で仕事をするには、発信スキルだけでは不十分です。コミュニケーションには、高い受信スキルも当然必要です。
英語を使ったどのようなお仕事を目指しているか分かりませんが、「英語を読むのは苦手でも書くスキルが高ければOK」「英語を聞くのは苦手でも話すスキルが高ければOK」という仕事なんてないのではないでしょうか?
試験英語に取り組むことに必要以上の抵抗感を持っているように感じますが、TOEIC対策だって、結局はリスニングとリーディングの勉強です。これらも、当然「実用英語技能」の一環ではありませんか?
「TOEIC900点、英検1級までは試験英語のパッケージで英語力を養う方が良いのか?」ということですが、TOEIC900点や英検1級はそもそも英語の実力が上がらないと到達できません。
試験対策として問題を解く過程でも、テクニックに偏りすぎなければ、英語力は上がります。あまり「試験英語」「実用英語」と分けて考えず、就職でアピールできる点数を目指しつつ日々コツコツと勉強すればいいと思います。
「実用技能を磨いて、資格や点数は後からついてくる」もちろんそれがベストです。単なる点取りテクニックだけでは意味がないですから。でも、あなたにはどれほどの猶予期間があるのでしょうか?
今すぐ転職する予定がないのなら、点数や資格に必要以上に心を奪われずにしっかり力を固めればいいと思います。でも、できるだけ早く英語の仕事に転職したいなら「後からついてくる」では遅いのでは?
仕事をゲットすることが重要なのですから、私だったら、実用英語がどうこうというこだわりを持つ暇があれば、さっさと点数をクリアします。就職さえしてしまえば、あとは嫌でも実用英語に浸かれるわけですから。
「一通りの資格を揃える」必要などない
「一通りの資格は揃える(現時点では実用技能を学ぶ水準に達していない)」と考えるべきなのか。
「一通りの資格を揃える」必要などないです。
・英検1級
・TOEIC900点
・翻検2級
を挙げていらっしゃいますが、言うまでもなく、これらがなければ英語力を活かした就職が不可能なわけではありません。それ以下でも英語で仕事をしている人は山のようにいます。
私は翻訳者ですが、ほんやく検定は受けたこともありません。英検1級を取ったのは通訳の仕事を始めた後なので、英検1級を武器に転職活動をしたこともありません。どちらも、取得していなかったことで不利だと感じたことは一度もありません。
もちろん、あなたが目指す仕事によってはそれらが強みになるかもしれませんが、あくまで「相手が何を欲しがっているか」ありきです。
営業職、技術職や事務職などで就職を考えているなら、英検やほんやく検定は必要ないです。TOEICだけで十分です。
翻訳などの英語の専門職を考えているなら、アウトプット能力が比較的優れているとは言っても、正直、英検2級とTOEIC725点ではあまりに心もとないので、根本的な実力アップをはかる必要があるでしょう。
翻訳者になりたいのなら、ほんやく検定に合格していれば有利になるでしょうし、合格を目指して勉強することは翻訳の仕事に直結するわけですから、「試験英語か実用英語か」という議論にそもそもならないですよね。
というわけで、私の結論としては、以下です。
あなたが就職したい企業があなたを欲しがってくれるには何が必要かによって、何を勉強すべきかが決まります。あなたが実用技能を重視したいとか、試験英語をやりたくないとか、そういう話ではありません。
就職活動をするに当たって、TOEICの点数が低い、英検や翻検に合格していないといったことで
・書類選考で落とされている
・応募すらできない
という不利な状況が明らかに生じているのであれば、ある程度の点数・資格を取るしか道はないのではないでしょうか? だって、「自分は実用技能を重視したいんだ!」と言っても、就職しないと何も始まらないのですから。
英語への執着を少し緩めてみませんか?
ハッキリ言って、自分は実用英語技能のほうにやりがいを感じて、英語を生き甲斐として選びました。
しかし、英検1級にしろ、TOEIC900にしろ、ほん検2級にしろ、それを取らなければ(俗な言い方になりますが)英語がメシの種にならないという問題に直面しているのです。
あくまでも私の印象なんですが、英語に必要以上の意味を与えすぎというか、深刻になりすぎているのではと思いました。英語への執着を少し緩めてみるといいのでは?
「実用英語技能にやりがいを感じて英語を生き甲斐として選んだ」とのことですが、英語はただのツールなので、「生き甲斐」なんてたいそうなものではないと思います。「英語で何をするか」が重要なのであって。
もちろん、自分の楽しみや趣味なら、英語が生きがいでも別にいいのですが。
仕事をするって、もちろん自分の夢を叶えるとか、やりがいとか、自分の成長という「自己実現」の意味合いもあります。でも、仕事の本質は「他者への貢献」です。英語を生かした就職を目指している場合、それはつまり「自分の英語力を使って他の人のお役に立つ」ということです。
であれば、「自分がこういう英語を勉強したい」という願望よりも、「自分には何が求められているか」「自分はどうしたらもっとお役に立てるか」に目を向けないといけないと私は思います。
自分の願望は捨てろと言いたいわけではありません。ただ、「相手の役に立てなければ意味がない」のです。
だから、あくまでも「相手(雇い主、お客様など)にとって自分はどうか?」という範囲内での自分の適性や嗜好を考えるべきではないでしょうか?
じゃないと、誰にも求められない分野の英語を身につけても仕方ないですから。
あなたの人生において優先順位が高いのは、英語の勉強を楽しむことなのですか?
それとも、頑張って身につけた英語を生かして、人の役に立つことなのですか?
これをはっきりさせれば、答えは明らかだと思いますよ。
以下の記事も参考になると思います。厳しいこともいろいろ書きましたが、お役に立てば幸いです!