英語が聞き取れない本当の理由7つ|“音×意味”処理の強化でリスニング力が伸びる!


英語が聞き取れません。リスニングに効果がある教材で、お勧めはありますか?

リスニングが苦手なんですが、やっぱり英語をたくさん聞かないとダメですよね?
というご相談を、私はよくいただきます。
ですが、
・英語が聞き取れないから、リスニング教材を探す
・英語が聞き取れないから、英語をたくさん聞く
と安易に解決しようとすることは、実はすごく危険だし、効率が悪いんです。
というのは、英語が聞き取れないのは、リスニング力の不足だけが原因とは限らないからです。
たとえば、「英語が聞き取れない」と一口に言っても、
・知らない単語が出てくるから聞き取れないのか
・全部知ってる単語なのに、それが音になると聞き取れないのか
によって、対策は全く変わってきます。
どうして聞き取れないのか、その原因を見極めて、自分のリスニング力に合った教材や勉強法をきちんと選ぶことが重要です。
この記事では、英語が聞き取れない本当の理由を7つに整理し、今日からできる学習法をステップで紹介します。特に、忙しい社会人の方が「リーディング学習」を通じてリスニング力を底上げするための具体的な道筋をお伝えします。
あなたが英語を聞き取れない本当の原因を知り、正しい勉強法で学習してくださいね。
英語が聞き取れない “本当の” 原因7つ
では、具体的にどのような「英語が聞き取れない原因」があるか、一つずつご説明します。あなたはどれに当てはまるのか、考えながら読んでみてくださいね。
ちなみに、聞き取れない原因は一つだけでなく、複数の理由が当てはまることがほとんどです!
原因1:単語・熟語の不足
知らない単語や熟語が聞こえてきたら、その部分の意味がわからないわけですから、聞き取れなくて当然ですよね。だから、単語力・熟語力不足を実感している人は、まずここを強化しましょう。
特に社会人の場合、ビジネスでよく使う単語が不足しているケースが多いです。
単語・熟語力不足を自覚している人は、一定期間(3ヶ月程度)で集中して1冊の本をやり切り、単語力強化に取り組むことをお勧めします。
単語と熟語を一緒に身につけるなら、単語と熟語が両方収録された、以下のような教材がお勧めです。
発音を間違って覚えていたら、せっかく知ってる単語も聞き取れません。必ず、音声を確認しながら正しい発音で覚えてくださいね!
難しくなかなか覚えられない単語を芋づる式に覚えるための、「Vocab Reboot」というオリジナル講座を作りました!よかったらこちらもご検討ください。
原因2:音の変化(連結・弱形・省略)が聞き取れない
スクリプトを読めば、「こんな簡単な英語なのか!」と思うのに、単語が全部くっついて聞こえる・・・という症状がある場合、「連結(リエゾン)」や「弱形」などの音の変化に慣れていないのが原因です。
例えば、
What do you want to do?
という英語は、ネイティブの速い会話では「ホワット・ドゥ・ユー・ウォント・トゥ・ドゥ」とはまず言いません。
実際の会話では、「ワリュワナドゥ」のように聞こえます。
音の変化に慣れるには、音読やシャドーイングがお勧めです。聞こえた英語をそっくり真似するように、声に出して発音することを繰り返しましょう。
私自身も、シャドーイングを毎日やるようになってから、音の変化が身につきリスニング力が劇的に上がったことを実感しました。


原因3:英語のイントネーションと訛りに慣れていない
全体的に同じリズムを刻む日本語と違って、英語は、強弱やリズムがはっきりした言語です。この特徴に慣れていないと、どこが重要情報なのかが耳に入ってきません。
実は、すべての単語を聞き取れなくても、強く読まれる部分を拾えば、だいたいの意味は理解できます!アクセントの感覚をつかむと、長い文章でも一気に理解がスムーズになります。
また、同じ英語でも、国や地域によってイントネーションが変わる場合があります。
アメリカ英語は問題なく理解できる人でも、イギリスの田舎に行くと、とたんに現地の人の英語が聞き取れなくなったりします。「職場のインド人の英語が聞き取れなくて困っている」という話も、よく聞きます。
そういった特定の国や地域の英語の訛りに対応できるようになるには、たくさん聞いて慣れることが大切です。
「インド英語はどうやったら聞き取れるようになりますか?」とよく相談されますが、「たくさんインド英語を聞いて慣れる」以外の方法はないです!慣れたい訛りの映画やドラマ、Youtube動画などをたくさん視聴してください。




原因4:背景知識が不足している
話されている内容の背景知識がないと、「聞こえている音」を理解に結びつけるのが難しくなります。
たとえば、あなたが経済や金融の知識が乏しい場合、ニュースで “interest rates(利上げ)” や“quantitative tightening(量的引き締め)”といった言葉が出てきても、内容の理解は難しいですよね?
逆に、背景知識がある内容の会話なら、単語を多少聞き逃しても、「きっとこういう話だな」と流れをつかめます。
英語力が高くない技術者が難解な内容の会話をスッと理解でき、逆に英語力は高い一般事務員が会話についていけない場面があるのは、このためです。
背景知識不足の対策には、あなたのお仕事に関する勉強をして、背景知識を増やしましょう。英語ニュースを聞き取れるようになりたいなら、世界の政治経済や歴史の知識を身につけることです。

原因5:意味処理のスピードが追いつかない(英語を「前から理解する」速度の問題)
英語は語順のまま理解する必要がありますが、日本語とは語順が違うので、意味処理が遅れることがあります。
たとえば 、以下の英文が聞こえてきたとしましょう。
“The e-mail that you sent me yesterday …”
本来であれば、英語の語順通り
メール / それをあなたが送った / 私に / 昨日
と理解するべきです。ですが、私たちはつい
昨日 / あなたが / 私に / 送った / メール
と、英語の順番を全く無視して、後ろから日本語に組み立て直してしまいがちですよね。
長文読解でも同じ現象が起こりますが、いわゆる「返り読み」です。学生時代にこの読み方で慣れてきた私たちは、どうしても「後ろから訳して理解」したくなります。
このように頭の中で語順が行ったりきたりして情報処理の遅れが生じると、すぐに理解が追いつかなくなり、置いていかれます。

語順通りに前から理解する癖をつけることは、リスニング力向上に不可欠です!
「意味処理のスピード不足」は、ほとんどの英語学習者にとってリスニングにおける最大の難関です。返り読みを克服して、リスニングとリーディングの精度を上げる方法は、後のパートで詳しく説明します。
原因6:文の構造が瞬時に見えない(文法処理の問題)
特に文章が長くなってきた場合、英文の構造がしっかりつかめていないと、意味理解が遅れます。
たとえば、
The report that was submitted by the team we partnered with has finally been approved.
みたいな、構造が複雑で修飾が多い文では、
・どこまでが主語?
・動詞はどこ?
・この部分はどこを修飾している?
といった構造を瞬時にとらえられないと、文の全体像がつかめません。
なので、文法の復習は、リスニング力向上に必須です。また知識として文法を知っていても、リスニング中に瞬時に使えないと意味処理ができないので、理解が遅れやすくなります。
現在TOEIC800点以下の人は、少なくとも中学文法のやり直しはやっておいて損はないです!私も、社会人になってからbe動詞からやり直しました。
文法は、問題集でやるのが一番お勧めです。ゆっくり手書きで問題を解くと簡単すぎる場合、口頭でスピードを上げて解答していくと適度な負荷がかかって良いです。
私が個別指導の生徒さんに最低3周やってもらっているのは、この問題集です。
原因7:音と意味を同時に処理できない(処理の“同時並行”の問題)
そして、リスニング最大の難所は、
1.英語の音をキャッチする
2.意味を理解する
という2つの工程を“同時に走らせる”ことです。なので、「2つのタスクを同時に処理するCPU(脳の処理能力)が足りない」という状態に陥りがちです。
一方、リーディングでは音がないので、意味処理だけに集中できます。
なので、実はリスニング力を上げたい人は、リーディング学習で英語の処理速度を上げるのがお勧めです。

リスニングは「音の理解×意味の理解」を同時にこなす高度スキル
英語を聞き取るために必要なのは、
1.英語の「音」をキャッチする
2.英語の「意味」を理解する
という2つのプロセスです。
そして、英語が聞き取れない最大の理由は、「音」と「意味」を同時に処理しなければならないからです。私たちの脳にとって、この2つを同時並行するのは、とても難易度が高いのです。
リーディングは「意味」の処理だけ、リスニングは「音+意味」を同時処理
リーディングは、目で文字を追いながら、「意味」だけを処理するスキルです。
「音」の理解は必要なく、自分のペースで読み進められるため、わからなければ戻ることもできます。いわば「一時停止」「巻き戻し」が許されるので、処理の負荷は比較的低めです。
一方で、
リスニングは、どんどん押し寄せてくる英語のスピードについていきながら、「音」と「意味」の両方を理解するスキルです。
音声処理と意味処理が同時に行われるので、両方のいずれかで詰まると一気に置いていかれます。
自分の課題を判断するには、スクリプトを確認しよう
あなたは、
音の変化やイントネーションが認識できずにつまずく「音理解に課題があるタイプ」
語彙・文法・背景知識・情報処理スピード不足で意味の処理が追いつかない「意味理解に課題があるタイプ」
のどちらでしょうか?
自分がどちらのタイプかを知ることで、最短ルートの対策が見えてきます。
その判断をするには、聞き取れなかった英語のスクリプトをチェックすればわかります。
スクリプトを見た時に、あなたはどう感じることがより多いでしょうか?
「読めば意味はわかるのに、聞くとわからない」
→音理解に課題があるタイプ
「知らない単語が多い」
「文章を読んでも、よく意味がわからない」
「最初は聞き取れていたのに、途中から取り残されてしまう」
→意味理解に課題があるタイプ
という基準で、判断してみてください。
なぜ「リーディング強化」がリスニングの近道になるのか
さて、リスニングに課題を抱えているほとんどの方は、
「最初は聞き取れていたのに、だんだんわからなくなる」
「短い文なら聞き取れるけど、文が長くなると途中から意味が取れなくなる」
というお悩みを抱えています。そんな人にぜひ取り組んでいただきたいのは、リーディング(読解)です。
リスニング(聴解)とリーディング(読解)って、一見関係ないもののように見えるかもしれません。

自分は英字新聞が読めるようにならなくていいし、TOEICも受ける予定ないんだけど、リーディングなんてやっても意味ないんじゃ?
そう思うのも、当然です。
ですが、上でも述べたように、長い文章や複雑な構造の文章になればなるほど、「主語」「動詞」「目的語」を瞬間的に把握して、語順に沿って情報を処理するスキルが不可欠です。
リーディングは「意味処理だけ」に集中できる、リスニングより負荷が少ない社会人にとって効率のいい学習法なんです。
リーディング(読解)は音の情報がない分、脳への負荷が減るので、文構造や語順に集中できます。
リスニングの前に、リーディングで「返り読み」の悪癖を克服しよう
たとえば、この文章、読んでみてください。
NASA focuses considerable effort on a mission to send humans to Mars in the coming decades.
ここ、大事なところなので、必ず英文を読んで意味を理解してから、この先を読み進めてください。
↓
↓
↓
さっきの英文、あなたは、スラーっと読んで、そのまま理解できたでしょうか?それとも、
NASAが・・・かなりの努力を・・・
ミッションに・・・集中する・・・
火星に人間を送るミッションに・・・
あ、「火星に人間を送るミッションにかなりの努力を集中する」ってことか・・・
「今後数十年の間に」があるから・・・
ってことは・・・
「NASAは、今後数十年の間に火星に人間を送るミッションにかなりの努力を集中している」かな・・・?
って、前後を行ったり来たりしながら理解したでしょうか?
この読み方は、まさに、私たちが学生時代に身につけた悪しき習慣、「返り読み」ですね。
この「返り読み」の癖が抜けない限り、あなたのリスニング力は絶対に上がりません。
「英語を語順通りに理解する」とは、どんな状態?
さっきの文章
NASA focuses considerable effort on a mission to send humans to Mars in the coming decades.
を読んだとき、あなたの頭の中は、以下のような状態になっていることが理想です。
↓↓↓
NASA focuses
→NASAは集中する
considerable effort
→かなりの努力を
on a mission
→ミッションに
to send humans
→人間を送るという
to Mars
→火星に
in the coming decades.
→今後数十年の間に。
こうやって、英語を意味の切れ目で区切って、語順通りにどんどん処理していくのです。決して、後ろを振り返らない。前進あるのみ。
百歩譲って、リーディングは
NASAが・・・かなりの努力を・・・
ミッションに・・・集中する・・・
火星に人間を送るミッションに・・・
という返り読みでも、「時間をかければ」理解できます。
でも、リスニングでは、相手の話すスピードに合わせて聞き取るしかありませんよね。
ということは、意味処理のスピードが追いつかないという悩みを解決するためには、「返り読み」の癖を克服して、頭から順番に理解する力を鍛え、そのスピードを上げていけばいいということになります。
英語教材SPEEDIER READINGで意味処理スピードを底上げする

リスニングが難しくなる最大の理由のひとつが「意味処理スピード不足」です。日常会話でもビジネス英語でも、意味を取るスピードが遅いと、音がどんどん流れていく中で理解が追いつかなくなります。
そこで役立つのが、私と夫のマイクが講師を務めている英語リーディング教材「SPEEDIER READING」です。
その名の通り「英語をもっと速く読む」ための教材ですが、上でご説明したとおり、リスニング力向上にも効果があります!音を気にせず、まずは“意味処理”だけを集中的に鍛えられます。
SPEEDIER READINGでは、英文の「語順のまま理解する力」と「文構造の処理速度」を徹底的に磨けます。さらに、社会人が英語で話すときに必要な背景知識も増えるので、リスニング時に文脈で推測しやすくなります。
先ほどの
NASA focuses
→NASAは集中する
considerable effort
→かなりの努力を
on a mission
→ミッションに
to send humans
→人間を送るという
to Mars
→火星に
in the coming decades.
→今後数十年の間に。
これは、教材の中の「直読直解」というコーナーに収録されています。教材に含まれる全18題の長文が、下のように分解されています。

このコーナーに取り組んでいただくことで、「英語の語順のまま理解する」という感覚が体に叩き込まれ、リーディングとリスニングの精度がぐっと上がります。
ところでこの直読直解のコーナー、すべて私が作成しました。実は、私自身が、この教材を執筆中に、「リスニングの精度がめっちゃ上がった!!」という体験をしたんです。
具体的には、上で何度も言っている「情報処理スピード」が上がりました。
私は、以前はaudibleで、英語オーディオブックを聞く時、1倍速や、時には0.8倍速などで聞いていました。でも、SPEEDIER READINGの執筆以降、英語のオーディオブックも、遅くても1.2倍速、本によっては2倍速でも、全く問題なく聞き取れるようになったんです。
そのおかげで、今では、海外Youtuberの動画を見るときも、だいたい1.5倍速で見ています。「リスニング力を高めるには、リーディングを鍛えるべき!」という私自身の言葉の効果を、自分が一番実感したのでした。(笑)
リーディングとリスニングに課題がある場合、ぜひSPEEDIER READING教材をチェックしてみてください!
・語順どおりに読めず、返り読みが癖になっている方
・会議や海外ドラマで話の流れを追いきれない方
・英語を読むのが遅く、意味を取るのに時間がかかる方
リスニング力を上げたいなら、「音」だけでなく「意味処理スピード」も必ず鍛える必要があります。そして意味処理スピードを最も効率良く上げるのは、リーディングです。
詳しい内容は、以下のページからご覧いただけます。

【まとめ】原因が分かれば、リスニングは必ず伸びる
というわけで、いかがだったでしょうか?英語が聞き取れないのは才能の問題ではなく、「音」か「意味」のどちらか、もしくは両方にボトルネックがあるだけです。
原因1:単語・熟語の不足
原因2:音の変化(リエゾン・弱形・省略)が聞き取れない
原因3:英語のイントネーションと訛りに慣れていない
原因4:背景知識が不足している
原因5:意味処理のスピードが追いつかない(英語を「前から理解する」速度の問題)
原因6:文の構造が瞬時に見えない(文法処理の問題)
原因7:音と意味を同時に処理できない(処理の“同時並行”の問題)
そして、特に社会人は「意味処理スピード不足」と「文構造の理解不足」が大きな壁になりやすく、それはリーディングに取り組むことで克服できます。
英語リーディング教材「SPEEDIER READING」は、リスニング強化に必須の「意味処理スピード」を効率よく伸ばせます。
「返り読み」をやめて語順通りに英語が処理できるようになり、文の構造が瞬時に把握できるようになることで、リスニングの精度が一気に上がります。
「リスニングが伸びない」と悩んでいる方は、意味処理スピードの土台づくりから始めてみてください。きっと、英語の意味がスッと入ってくる感覚が得られますよ。



