英語の音読は効果ない?通訳が教える「無駄な音読」と「伸びる音読」の違い


毎日音読しているのに、英語力が上がっている気がしない・・・

そもそも英語の音読って、本当に効果あるの?
このように、音読を続けるべきかどうか迷っている方は多いと思います。
先に結論をお伝えすると、英語の音読には、ちゃんと効果があります。でも、同じ「音読」でも、やり方しだいで効果は天と地ほど変わるんです。
じつは私自身、学生時代は英語が伸びなかった一方で、音読のおかげで別の外国語が一気に伸びた経験があります。
だからこそ、「音読の威力」と「効果が出ない音読の正体」の両方を、身をもって知っています。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
✅ 英語の音読に効果があるのかという結論
✅ 音読で伸びる4つの力(4技能すべてに効く理由)
✅ 「やっても無駄な音読」になってしまう4つの原因
✅ 効果を最大化する「伸びる音読」の4つの条件
✅ あなたの音読が伸びているか分かる自己診断法
結論|英語の音読は効果がある。ただし「無駄な音読」では伸びない

英語の音読に効果はあるのか?結論は「ある。ただし読み方しだい」です。
音読の効果は本物。でも「読み方」で天と地の差がつく
英語の音読は、正しくやれば4技能すべてに効く、コスパ最強のトレーニングです。
ただし、効果が出るかどうかは「読み方」しだい。
| やっても無駄な音読 | ぐんぐん伸びる音読 |
| 意味も情景も考えず読む | 意味と情景をイメージして読む |
| お手本を聞かず自己流で読む | お手本を完コピーする |
| 難しすぎる教材で消化不良 | 簡単すぎるくらいの教材を選ぶ |
| 数回読んで次々進む | 同じ素材をしゃぶり尽くす |
この差を知らないまま続けると、正直、何時間やっても伸びません。でも逆に、ここさえ押さえれば、同じ時間でも結果がまるで変わってきます。
通訳の私が、音読で「英語以外」の語学が伸びた話
ここで、私自身の話を少しさせてください。
私が中学・高校で受けた英語の授業には、「音」がほとんどありませんでした。黙読して、構文を取って、和訳する。声に出す時間なんて、ほとんどなかったんです。
でも、そんなので話せるようになるはず、ありませんよね。当時の私の英語は、見事に「読めるけれど口からは出てこない」状態でした。
ですが、大学で第一外国語に選んだフランス語の授業が、とにかく音読漬けでした。
毎回ひとりずつ指名されて読まされて、家でも練習して、テープ(当時はCDじゃなくテープでしたw)が擦り切れるほど教材の音声を聞いて・・・。
そうしたら、なんと英語よりもフランス語のほうが、はるかに速く上達したんです。
このとき初めて、日本の英語教育って「音のない教育」だったんだなと気づきました。
その後も、車通勤の往復1時間をまるごとシャドーイングに使っていた時期があります。中学レベルの簡単な英語で、ただひたすら。
そうしたら、あれだけ伸び悩んでいたTOEICのリスニングで、満点が取れるようになったんです。声に出すことの威力を、私は身をもって思い知ってきました。
「英語の音読は意味ない」と言われる本当の理由
「音読は意味ない」「只管朗読なんて時代遅れ」。ネットで検索すると、こんな声も出てきますよね。
これ、半分は正しくて、半分は間違っている、というのが私の考えです。
確かに、中身を何も考えずに、ただオウム返しするだけの音読は、効果がありません。意味も情景も分からないまま声に出しても、発音のトレーニングに多少はなりますが、リスニングもスピーキングも全く伸びません。
でも逆に言えば、その「意味ない音読」を「効果の出る音読」に変えるポイントさえ分かれば、音読はちゃんとあなたの武器になります。
英語の音読で得られる4つの効果(やらないのは損)

では、伸びる音読を続けると、どんな力がつくのでしょうか?音読は4技能すべてに効くのですが、なかでも特に大きいのが、次の4つです。
リーディング効果|返り読みが減り、語順のまま読めるようになる
音読の最大の効果は、なんといっても返り読みがなくなることです。
声に出すと、後ろから前に戻って読むことが、物理的にできなくなりますよね。だから、英語の語順のまま、来た順番に理解する力が、いやでも鍛えられるんです。
黙読だと、つい目だけが文字の上をすべって「勉強したつもり」になりがち。でも声に出すと、そのごまかしがきかなくなります。
そもそも返り読みのクセそのものを直したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

リスニング効果|「英語の海」に溺れなくなる
そして音読は、リスニングにもめちゃくちゃ効きます。語順通りに、前から処理する力がつくからです。
上の「リーディング効果」にも通じますが、語順通りに読めるようになれば、語順通りに聞けるようにもなるわけです。
実際、長年TOEICのリスニングが伸び悩んでいた方を見ていると、声を出す訓練をしてこなかったケースが、本当に多いんです。
この「英語を英語のまま、語順通りに理解する」感覚については、こちらでくわしく解説しています。

スピーキング効果|口がスムーズに動くようになる
音読を繰り返していると、覚えたフレーズが口から勝手に出てくるようになります。
私自身、内容を全部知っている教材でも、何度も繰り返し音読してきました。そうすると、いざというときに、その表現が自然と口から出てくるんです。
「そういえば、こんな表現知ってたんだ!」と、自分の口から出てきた表現に自分で驚くこともあります。(笑)
逆に、音読をしっかりやっていないと、英会話レッスンや瞬間英作文だけでは英語がスラスラ出てくるようにはなりません。
英語を話すときに「どもり(吃音)」が出やすい人は、音読で口が滑らかに動くようにしておくことが重要です!音読がスラスラできない人が、台本なしでスラスラ話せるはずがありません。
ただ、正直にお伝えすると、音読だけでペラペラになるわけではありません。会話には、やっぱり別のトレーニングも必要です。
それでも、英語のリズムが体に染み込むので、話すときに大きく役立ちますよ。
語彙効果|単語が覚えられる
同じ教材を繰り返し音読していると、表現や語法が、じわじわ「体に染み込んで」いきます。
何度黙読しても覚えられない単語本も、例文を音読することで単語が覚えやすくなります。黙読は「目」の刺激だけですが、音読すると「目」「耳」「口」が動きますから、それだけ脳も活性化されて、記憶に残りやすくなるのだと思います。
音読と並行して語彙も増やしたい方は、こちらの記事もどうぞ。

音読の効果は脳科学でも証明済み

音読の効果は、脳科学の研究でもちゃんと裏づけられているんです。
黙読より脳が働く|前頭前野が活性化する
東北大学の研究によると、文章を音読すると、前頭前野を中心とした脳が広く活性化することが分かっています(参考:くもん学習療法センター)。
前頭前野は、思考・記憶・集中などをつかさどる、いわば脳の司令塔のような部分のこと。
しかも面白いことに、難しい問題よりも、スラスラ読めるレベルの文章を音読する方が、脳はよく働くんだそうです!
あとで「簡単な教材を選ぼう」とお伝えするのは、こういう点からも理にかなっているんですね。
記憶に残る|「プロダクション効果」と第二言語の強み
声に出して読んだ情報は、黙読したときよりも記憶に残ります。認知心理学では、これを「プロダクション効果」と呼ぶそうです。
カナダの研究(MacLeodら、2010年)では、音読した単語は黙読した単語より、後のテストで10〜20%ほど多く覚えていられたという結果が出ています(参考:The Production Effect in Memory)。
しかも、うれしいことに、この効果は母語より「第二言語(=私たちにとっての英語)」のほうが大きいという研究まであるんです。慣れない外国語を声に出すと、それだけ多くの注意と労力を使うので、記憶が強まるんですね。
つまり音読は、私たち英語学習者にとって、相性バツグンの勉強法ということです。
「やっても無駄な音読」|効果が出ない4つの原因

同じ時間をかけているのに効果が出ない音読には、はっきりした原因があります。自分に当てはまっていないか、チェックしながら読んでみてくださいね。
原因1|意味も情景も考えず、ただ声に出しているだけ
いちばん多いのが、文字をただ「音」として読み上げているだけのパターンです。
意味も場面もイメージせずに口だけ動かしていては、ただの発声練習になってしまいますよね。

音読しても、内容が全然頭に入ってこない・・・
じつはこれ、いまの自分の処理能力に対して、教材が難しすぎるサインでもあるんです(くわしくは原因3で)。
原因2|お手本を聞かず、自己流で読んでいる
次に多いのが、お手本の音声を聞かずに、自己流で読んでしまうパターン。これはかなり危険です。
間違った発音やイントネーションで音読すると、繰り返すほど脳にこびりついて、どんどん固定化してしまうからです。
たとえば「bury(埋める)」を間違って「ブリー(正しくはベリィ)」と音読しつづけると、その間違った発音で記憶してしまいます。
いざネイティブの英語で聞いたとき、自分の音と違いすぎて聞き取れません。自己流の発音は、リスニングの足まで引っぱってしまうんですね。
自己流の音読は、間違いを毎日せっせと強化しているようなものなんです。
原因3|教材のレベルが自分に合っていない
難しすぎる教材を選んでしまうのも、効果が出ない大きな原因です。
歯が立たない英文をいくら音読しても、意味を処理しきれず、結局ただの読み上げで終わってしまいます。
しかも、難しい教材ばかりだと「ゆっくり時間をかけて読む型」がついてしまうんですね。これは、リーディングにもリスニングにもマイナスです。
原因4|すぐ次の教材へ行き、繰り返しが足りない
「どんどん新しい教材へ進むのが良いことだ」と思い込んでいると、これも効果が出にくくなります。
1つの教材を数回読んだだけで満足して、すぐ次へ行ってしまうからです。
音読は、繰り返してこそ表現が体に染み込みます。中途半端な回数でやめてしまうと、いちばんおいしいところを取り逃してしまうんです。
「伸びる音読」|効果を最大化する4つの条件

ここまでの原因の裏返しが、そのまま「伸びる音読」の条件になります。この4つを意識するだけで、音読の効果はぐっと変わってきますよ。
条件1|意味と情景をイメージしながら読む
伸びる音読の第一歩は、情景を頭に浮かべながら読むことです。日本語に翻訳した「文字」を思い浮かべるのではなく、「イメージ(絵・動画)」を思い浮かべるのです。
たとえば
She isn’t able to swim fast.
という英文なら、女性がプールでもたもた泳いでいる様子を思い浮かべながら音読する。めざすゴールは、文字を日本語に訳すことではなく、読んだ瞬間にパッと情景が浮かぶ状態です。
条件2|お手本の強弱・ポーズ・抑揚まで完コピする
伸びる音読の核心は、ずばりお手本を完コピすることです。
お手本の音声をよく聞いて、強いところは強く、弱いところは弱く、ポーズや抑揚まで、まるごと真似します。
もちろん、いきなり完コピは難しいでしょう。でも大事なのは、自己流にせず、必ずお手本を聞いて、なるべくそれを真似ることです。
おすすめは、お手本に自分の声を重ねる「オーバーラッピング」です。やってみると、自分のイントネーションが、思っていたより小さくて平坦だと気づけます。
「ここはもっと大げさにしないといけないんだな」と直せるようになるので、完コピの精度がぐっと上がります。
オーバーラッピングについては、こちらをどうぞ。↓

それから、音読の精度をさらに上げるために、ときどきスマホで自分の音読を録音して聞いてみてください。
ほとんどの場合、自分の想像より数倍下手です。でも、自分がちゃんと発音できていない部分が客観視できるので、それを矯正すれば一気に上達しますよ。
自分の声を録音して聞くのって、恥ずかしいですよね。でも、他の誰も聞いてないので大丈夫!1分でいいので、スマホでサクッと録音してみてください。
条件3|自分のレベルに合った素材を選ぶ
音読に使う教材は、自分にとって簡単すぎるかな?と思うくらいでちょうどいいです。
「意味が頭に入ってこない」と感じるなら、レベルを思い切って下げてみてください。中学レベル、極端に言えば「Hello, how are you?」くらいまで落としても、全然かまいません。
簡単な教材だと、英語をスラスラ読める感覚が身につきます。これが、読むスピードにもそのまま直結するんです。
教材は、いま手元にあるもので大丈夫ですよ。おすすめ教材は、こちらの記事でくわしく紹介しています。シャドーイングのおすすめ教材としてご紹介していますが、音読にも最適です。

条件4|同じ素材をしゃぶり尽くすまで繰り返す
音読でいちばん差がつくのは、実は「繰り返しの量」なんです。
一つの英語素材を何度か音読したら、すぐ次の素材にステップアップするのが良いことだと思われがちですが、同じ教材をしゃぶり尽くすまで繰り返すほうが、ずっと効果的です。
繰り返し音読を続けることで、だんだんと音読は深まっていきます。
序盤:とにかく英語を声に出すので精一杯で、意味を考える余裕がない
↓
中盤:だんだんと音読に慣れてきて、意味を考える余裕が出てきた
↓
終盤:発音やイントネーションをなるべくネイティブのお手本に近づける余裕ができた
↓
覚醒:何度も音読しているうちに、丸覚えして口からスラッと出るようになった
同じ長文でも、読むたびに質はどんどん上げていけるんです。ほとんどの人は序盤か中盤で次の素材に行ってしまいますが、次の素材に移るのは、「終盤」以降でいいと思います。
じゃないと、その先に覚醒の境地が待ってるのに、もったいない!
「同じものばかりで進めていない」と不安な人へ

ずっと同じ教材で、先に進めていない気がする・・・このままでいいの?
これ、コンサルでも本当によくいただく不安なんです。
でも、安心してください。同じ教材を続けていても、「層」が積み重なって、レベルは着実に上がっています。けっして、前に進んでいないわけではないんですよ。
上でも書いているように、同じ教材を音読していても、いろんなステージがあります。丸覚えしてしまうほど音読を繰り返すことは、自信にもつながります。
英語音読の効果が出るまでの期間と、伸びているサイン

最後に、いちばん気になる「効果が出るまでの期間」の話をしておきますね。
英語音読の効果が出るまでの期間はどれくらい?
効果を感じるまでの期間には、かなり個人差があります。1ヶ月で変わり始める人もいれば、もっとじっくりかかる人もいます。
ここで大事なのは、短期間で結果を求めて、焦らないことです。
音読は、毎日の素振りのように、じわじわ効いてくるトレーニング。だからこそ、短い時間でもいいので、毎日続けることが何より大事なんです。
1ヶ月伸びを感じないからとやめてしまうのが、いちばんもったいないです。
とはいえ、「毎日続ける」がいちばん難しいですよね。挫折せずに習慣にするコツは、こちらの記事にまとめています。

音読の効果を実感できる3つのサイン
スコアなどの数字に出る前に、まず体感として現れるサインがあります。次の3つが出てきたら、もう確実に伸びています。
・読んでいるときに、情景が自然に浮かぶようになった
・覚えたフレーズが、口から勝手に出てくるようになった
・英語の音声が、前より楽に聞き取れるようになった
こういうサインが出てきたら、あなたの音読が「伸びる音読」になっている証拠です。安心して続けてくださいね。
英語音読の効果に関するよくある質問

最後に、音読の効果についてよく聞かれる質問にも、お答えしておきますね。
1日何分、週に何回やればいい?
私がよくお伝えしている目安は、1日30分です。でも、無理なら10分でも、5分でも、真剣にやれば十分に効果はあります。
「30分やればOK」というものでもなくて、大事なのは集中の質。毎日ムリなく続けられる時間に設定してくださいね。
黙読じゃダメ?
黙読では、音読の効果である「英語を語順通りに理解する」というスキルを身につけるのは難しいです。黙読だと、返り読みをしたり、ゆっくり日本語に訳しながら読むという癖が出てくるからです。
また、スピーキングにしても、ずっと声に出さずにきて、ネイティブの前でいきなりスラスラ話せるわけないですよね。
1つの教材を何回音読すればいい?
これも、よくいただく質問ですが、何回読むかを数えることを目的にしても、意味はありません。
私はこの質問を受けた時、「私は、ところどころ暗記して、フレーズがそのまま口から出てくるくらいになるまでやります」とお答えするようにしています。
「何回も同じ教材を音読していたら飽きるのですが」という相談もよく受けますが、飽きたらちょっと違う教材をやっても大丈夫ですよ。そして、また戻ったらいいのです。
声を出せない環境では、どうすればいい?
社会人の方からいちばん多くいただく悩みですが、じつは口パク(声にならないささやき声)でも効果はあります。
通勤中は、マスクの下で口を動かしたり、電車では音声に合わせて口の中でつぶやいてみてください。
音読とシャドーイングは、どう違う?
音読はテキストを見ながら、シャドーイングは音だけで真似る練習です。音読の方が難易度が低く、シャドーイングは難易度が高いです。
なので、まずは音読から取り組むことをお勧めします。
シャドーイングのやり方は、こちらの記事でくわしく解説しています。

まとめ|「伸びる音読」で効果を最大化する
英語の音読は、正しくやれば4技能すべてに効く、本当に強力なトレーニングです。最後に、要点をまとめておきますね。
✅ 英語の音読は効果がある。ただし「読み方」で結果は天と地ほど変わる
✅ 無駄な音読=意味も考えず、自己流で、ただ声に出すだけ
✅ 伸びる音読=意味と情景をイメージし、お手本に寄せ、同じ素材を繰り返す
✅ 教材は簡単すぎるくらいでOK。同じ素材をしゃぶり尽くす
✅ 効果は焦らず継続。情景が浮かぶ・口が動く・聞き取りが楽になるのが伸びのサイン
そして、ぜひ覚えておいてほしいのが、音読は「覚えてからが本番」だということ。スラスラ読めるようになった素材こそ、感情や抑揚をさらに磨けて、同じフレーズが会話でパッと出るようになるんです。
まず今日の一歩としておすすめなのは、お手本の音声がある簡単な教材を、情景を浮かべながら1ページ読んでみること。
たったこれだけでも、これまでの「ただの読み上げ」とは、手応えがまるで変わってくるはずですよ。


