何度聞き直しても、スクリプトに書いてあるのと違う音に聞こえます

「スクリプトを見ながら聞いても
 ○○という単語がどうしても聞こえないのですが」

「○○という部分が何度聞いても違う音に聞こえます」

というご相談をたーーーっくさんいただきます。

で、その答えは簡単で、

「はい、聞こえなくても仕方ないですよ」
「はい、私もあなたと同じように違う音に聞こえますよ」

なのです。

「えー!?」ですよね(苦笑)

ちょっと考えてみてください。

たとえば、日本語で「そう思います」という言葉について
外国人の日本語学習者が

「どうしても『そうおもいます』って聞こえないんです。
 私には何度聞いても『そーもいまs』って聞こえます」

って言ってきたら、なんと答えますか?

「うーん、確かに『ソウオモイマス(一音ずつくっきりはっきり)』なんて
 誰も言わないよなー。
『そーもい』って、単語同士がくっついたり、
 最後の『す』だって、母音まではっきり言ってないしなあ」

って気づきませんか?

でも、実際は「ソウオモイマス」って言ってないのに、私たち日本人は
「そう思います」と言っているのだと聞き取りはできるわけです。

それは、経験と学習の積み重ねで可能になっています。

私たちの耳は、物理的には
「そーもいまs」という音としてキャッチしています。
でも、意味としては「そうおもいます」と変換して理解しているのです。

つまり、リスニングとは、
「聞き取った音=理解」ではなく
「聞き取った音 + 経験に基づく推測 = 理解」です。

なので、聞き取れなかった部分も、文法的に考えたらこうだろうなとか、
状況的にはこうしかないなとか、そういう推測で補って理解するわけです。

ですので、
「どうにかトレーニングすれば聞こえるようになるのでは」と
思い込んで英語のトレーニングをしている人に言いたいのは、
「物理的に完全に聞こえるようにはなりません」ということです。

「そーもいまs」が「ソウオモイマス」と
「物理的に」聞こえるようになることは不可能です。
私たち日本人にも、不可能です。

だって誰もそう言ってないんですから・・・

なので、どうすれば「聞こえる」ようになるかではなく、
「正しい英語に変換して認識できるようになるか」が重要になります。

それには、インプットの積み重ねと、場数を踏むことで、
聞き取れなかった部分を推測して、
その結果として正しい英語としての聞き取りができるようになること、
またディクテーションやシャドーイングなどの積み重ねによって
発音の細かな特徴や違いが分かるようにすることです。

参考ページ:どうやっても聞き取れない部分がある理由、知っていますか?

「こういう表現のときはだいたいこういう言い方をするよな」
「この単語が来ると次はこんな感じになることが多いよな」

という勘に耳で聞こえた音をプラスして
意味の通じる英語に頭のなかで整理するという感じですね。

ネイティブでも聞き取れない音はたくさんある

ところで、ネイティブの人でも本当によく聞き間違える英語に
「can」「can’t」の違いがあります。

「’t」という発音は、話者が強調している場合を除いて
「トゥ」とはっきり聞こえることはほぼありません。
特に、文章がそこで終わらずに続く場合、ほとんど聞こえません。

だから、「can」「can’t」という単語そのものを聞き比べても
音声的にはほとんど違いがないのです。

どうやって違いを判断するかというと、それは音ではなく「状況」です。

「できる」と言っているのか「できない」と言っているのか、
話の流れ、対面なら話者の表情やジェスチャーなど
(顔をしかめる、首を縦に振る、肩をすくめる、など)
状況で判断でできることが多いですよね。

状況から明らかではない場合は、ネイティブでも
「”can” or “can’t”?」と発言者に質問します。
私の職場でもよくある光景です。

あとは、「’ve」などもほぼ聞こえないです。
普通にネイティブスピードで話している英語では
「ヴ」とはっきり聞こえることはまずありません。

でも、「I seen him before.」と聞こえる場合
平叙文なら「I seen」は文法的にありえないので
「I’ve seen」だなと分かるわけです。

で、そこに「’ve」があると知った上で聞いてみると
かすかにそこで「ヴ」と口が動きかけている「気配」が感じられるとか
ちょっと息が止まっているような瞬間があるのがかすかに聞こえるとか
そんなもんなのです。

つまり、
文法の知識ありきで、そこに「’ve」が隠れているのだなと分かるのであって、
「ve」という、実際はほぼ聞こえない音が聞こえるようになるための
音声的なトレーニングとか特別な方法が必要なわけではないのです。



「一語一句聞き取れないといけない!」
「一語一句聞き取れるまでは自分は一人前ではない!」

と自分に厳しくするのは、今日でおしまいにしてください。

一語一句聞き取れる必要なんてないんです。
全てを一語一句聞き取ってる人なんていないんですから。

いわゆる英語のプロであっても、ネイティブであっても、
全てを100%聞き取っているなんてことはあり得ず、
推測と経験で補っているだけなんです。

「こういう文章の流れだと次はこうなるはずだ」
「文法的に正しくなるためにはここにこれが必要だ」

ということを一瞬で判断できているからこそ
英語が推測でも正しく聞き取れるんですね。

なので、聞き取れない音に対して過剰に執着しないようにしてください。

それよりも重要なのは、たくさんの英語に触れることで

・正しい英語(文法、構文などの知識)
・自然な英語(よく使われるフレーズ、熟語など)

の引き出しを増やしていくことによって
「推測」できる領域を広げていくことです。

残念ながら、聞こえない英語は100回聞いても聞こえません。

それより、数回(3~5回くらい)で諦めてスクリプトをすぐに確認して、
単語を知らないから聞き取れなかったのか、構文のせいなのか、
日本人には背景知識のないジョークだったからなのか、
それを分析して弱点を強化するほうがよっぽど効果があります。

なので、スクリプトのない英語を聞き続けても
弱点がどこなのか確認しようがないので
リスニングのトレーニングにはスクリプトがある教材を
必ず取り入れてくださいね。

というわけで、「全てを聞き取れない」「違う音に聞こえる」という
お悩みの解決にお役にたったら幸いです。


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