2018年10月17日
英検1級面接の質疑応答(Interaction)で質問が聞き取れなかったらこう言え!
エバンス愛
※当ブログ記事には、広告が含まれます。
英検1級の2次試験(面接)で、面接官の質問が聞き取れなかったらどうしよう・・・と、考えるだけで胃が痛くなりますよね。2分間スピーチは何とかやり終えた!と思っても、次の難関は質疑応答です。
私は2次試験を2回受験していますが、実は2回とも、質問が聞き取れなかった箇所があったんです。でも、2回目で合格することができました。
このページでは、試験官の質問が聞き取れなかった時の対処法についてお話しします。
コンテンツ
勝手な解釈で答えるより聞き直す方が1000倍マシ
個人的な印象ですが、試験官の質問が聞き取れるかどうかは、リスニング力の問題というより、精神的なものに左右されるような気がします。
落ち着いた精神状態のときは難なく聞き取れる英語でも、舞い上がってしまうと音が右耳から左耳へ通り抜けていくこと、ありますよね。または、「舞い上がる」とまではいかなくても、肝心なところが聞き取れなくて、質問に答えられないこともあると思います。
そんな時は、質問を聞きなおさなければなりません。
時々掲示板などで見かけるのは、「質問を聞きなおしたから不合格になったのではないか」といった心配です。
これは100%自信を持って言えますが、質問が聞き取れなかった場合に、聞きなおしたからといってそれだけが理由で不合格になることはありません。私を含め、質問を聞きなおしても合格した人はたくさんいます。
分からなかったら堂々と聞き直せばいい、と私は思います。
日本人と日本語で会話していたって、聞き取れないことはあります。聞き取れないのは、外国語だからという問題だけではなく、ちょっとした「間」みたいなものだったり、その時の相手の声の張り方だったり、それこそ精神的なものだったり、いろんな理由があるんです。
聞き取れなかったからといって、「ああ・・・やっぱ私は英語が聞き取れないんだ・・・_| ̄|○」と落ち込む必要は全然ありません。
逆に、ちゃんと聞き取れていないのに、「○○と言ったのかな?」なんて勝手に解釈して勘で答えてしまうと、その勘がはずれていた時は、質問と答えが噛み合わず、チンプンカンプンな答えになってしまいます。
すると、試験官の評価は「この受験者は英語での意思疎通が困難」になってしまいます(ガーン)。それなら、勇気を出して聞き直す方が1000倍マシです。
そもそも、「コミュニケーション」とは、
相手の言葉をちゃんと理解し、自分の言葉をちゃんと理解してもらうこと。
コミュニケーション力が試される英検では、勘で的外れな答えをしてしまうより、相手の真意を正しく理解しようという心構えを見せることが重要です。だから、私の経験と印象から言えば、勘で答えるくらいなら、用心して聞きなおした方がいい!と思います。
私自身は何が聞き取れず、どう聞き返したか
私自身、2次試験の本番で試験官の質問が理解できないというピンチがありました。
合格した回ですが、「テクノロジーの進歩は、我々の生活を複雑にしているか?」というお題で、私は「イエス」の立場でスピーチをしました。その後、日本人の試験官が
“Can you imagine a world without cell phones?”
という質問をしてきたのですが、質問の意味がわかりませんでした。
「ケータイのない世の中が想像できますか・・・? いや、私が子供のころはケータイなんてなかったし・・・想像するも何も、ケータイのない世の中を知ってるし・・・」
だから、「これは聞き間違えたんだろうな」と思って、こう聞きなおしました。
“Can I imagine a world without cell phones …?”(”I” を強調して)
試験官は、”Yes, yes“と言いました。
ここで、質問は正しく聞き取れているという確信が持て、「ということは、私の『解釈』に問題があるのだ」と分かりました。でも、その時はとっさに「正しい解釈」の方法が分かりませんでした。
だから、私はこう答えはじめました。
“Of course I can. There were no cell phones in my childhood.”
でも、それを口に出しながら、確信はないながらも「こういう意味かも!」と質問の意図が見えた気がしました。だから、あわてて付け加えました。
“But, it would be very inconvenient if there were no cell phones today.”
今考えてみると、質問の意図としては後者の答えが正しかったのだろうと思います。もし、質問を聞きなおしていなければ、この軌道修正ができただろうか? そう考えると、それはかなり疑わしいと思います。
「質問は(聞きなおしたのだから)ちゃんと聞こえている」と思うからこそ、質問の正しい意図をとらえようと努めることもできます。逆に「質問がよく分からなかった・・・」という状態で答えていたとしたら、自分の答えが的を射たものであるかどうかさえ分かりません。
軌道修正のしようがないんです。
だから、質問を聞きなおす必要があると思ったら、ためらうべきではないと思います。
質問が聞き取れなかった時の聞き直し方
そこで、質問の聞きなおし方について、上の“Can you imagine a world without cell phones?”という質問を例として、有効な聞きなおし方をいくつか書いてみます。
1.だいたい聞き取れたとは思うが、確信がないとき
一番確実なのは、聞こえたとおりに繰り返してみることです。
Did you say, “Can you imagine a world without cell phones?”
または、
Can “I” imagine a world without cell phones?(youをIに替える)
違っていた場合は、試験官がその部分を言いなおしてくれます。
あるいは、同じ意味の違う言い方に言い換えるのも有効です。
たとえば、
Do you mean… what I think would happen if there were no cell phones today?(「今日ケータイがなかったらどうだろう」ってことですか?)
2.質問の一部が聞き取れなかったとき
Can I imagine a world … ?
と言い、聞き取れなかったところでストップして「・・・?」という表情で首をかしげると(笑)、”without cell phones“が聞き取れなかったのだな、と分かってもらえます。
3.何が何やらさっぱり聞き取れなかったとき
上のように、自分で再現もできないほど全く聞き取れないことも、あります。うん、誰でもありますよ。そんな時は、仕方ないので
“Excuse me?” または
“Sorry? Could you say that again?”
でいいです。
でも、この聞きなおし方だと、試験官もあなたが質問のどこをどう分からなかったのかが分からないので、試験官は同じことを同じ調子で繰り返すしかなくなってしまいます。
「一度聞いて分からなかったものは、二度聞いても分からない」ということは、残念ながら、可能性としては高いと思います。
できればですが、ある程度のかたまりで聞こえた部分があればそこは自分で再生して、「聞こえなかった部分」にスポットライトを当てるといいです。試験官は、そのスポットライトが当たっている部分をとくに聞き取りやすく言いなおしてくれると思います。
質問の答えが見つからず、沈黙しそうになったら
じゃあ、質問は聞き取れたけど、その答えが見つからない時はどうしたらいいでしょう?
たとえば、「テクノロジーの進歩は、我々の生活を複雑にしている」という主張に対して、「でも、自動車もパソコンもテクノロジーの進歩のおかげであって、私たちはその恩恵を受けています。その技術進歩をあなたは否定するんですか?」と面接官に言われたとしましょう。
ぐぬぬ・・・ぐうの音も出ませぬ・・・って沈黙してしまってはいけません。こんな感じで、痛いところを突かれたときは、必ずしも最初の自分の主張に固執せず
「そのとおりですね!もちろん否定しません。テクノロジーが我々の生活を複雑にしていると言ったのは、△△のような場合についてです」
と、その場で繕っていいし、自分の元々の主張と相反するような質問にも同調して大丈夫です。その上で、「こういう場合です」と具体例などを挙げることができればなおいいです。
面接官は、決してあなたを言い負かそうとしているのではなく、あなたのコミュニケーション能力を見ているだけです。主張のオリジナリティーや一貫性、スピーチの内容の素晴らしさや説得力は、あまり気にしていません。スピーチの「内容」は、英語能力の範囲外ですから。
日本語だって、誰かと話していて、最初はこう思っていたけど、話をするうちに「そうね、あなたの言うことが正しいわ」ってなることもありますし、それもまたコミュニケーションです。これがディベートのテストだったら不合格かもしれませんが。
何と答えていいか分からないときは、
“Well, it’s an interesting question. I’m not sure how I can answer it…”
と時間稼ぎ(笑)をしながら必死で何を言おうか考えるか、もう、どうしても答えが浮かばないならば、
“I don’t know if this could be an answer to your question, but I think …”
と、自分が語れる分野に話を持っていったり、「○○という例もありますが・・・」と、自分がきちんと論じられそうな例に話を自ら持っていくのもアリだと思います。
ただし、質問と答えが合ってないなと自覚しているときは、「質問に対して答えがズレていると自覚してますよ」というメッセージは必要です。「答えになってるか分かりませんが・・・」でそれは伝わります。でないと、質問が理解できなかったと取られてしまいますので。
「なんも言えねー!!」(流行語ふるっ)と本当に困ってしまった時に限っては、こういう方法ですり抜けるのもアリだと思います。完全な沈黙よりは、はるかにマシです。
また、もしどうしてもひとつの例しか思いつかなければ、すでに挙げた例を繰り返しても私の場合は大丈夫でした。私は、全く同じ具体例をスピーチと質疑応答で挙げました。それしか思いつかなくて、どうにも仕方がなかったのです。
“Well, I said this earlier, but I think …”
これで、同じ例を繰り返しました。それでも、Interactionの得点は80%もらえましたので、大きな減点とはならなかったようです。
まとめ
というわけで、英検1級の面接の質疑応答で質問が聞き取れなかった時にどんな英語で切り返したらいいかをお伝えしました。
英検の面接では、何が何でも一発で相手の質問を聞き取ることが重要なのではありません。相手の質問とその意図をしっかり理解し、こちらもそれに合った答えを返すということが何より大事です。英語のコミュニケーション能力を測っている試験ですから。
「ここで聞き直したら、『リスニング力が低いんだな』って印象を相手に与えないかな・・・」とかいう心配は全く不要。聞き取れなかったら、堂々と聞き直しましょう!