2008年4月3日
英検1級合格体験記!全6回受験(棄権含む)の記録
エバンス愛
※当ブログ記事には、広告が含まれます。
私は、私は英検1級の2次試験を再受験した2008年2月24日に、このブログ作成に本格的に取り組み始めました。
2次試験を終えた時、「結果はどうあれ、少なくとも不合格通知が来るまでが一番ゆっくり出来る時!」と思い、その日に思い切ってブログを開設したんです。
結果として、「不合格通知が来るまで」ではなく、もっと長期間ブログ作りに取り組める環境が整いました。昨日、ネット上で1級合格を知ったからです。ここに、3回の不合格を乗り越え合格に至った道のりを記そうと思います。
ところでまず、お断りしておきたいのですが、私は、基本的にすごく怠け者で面倒くさがりです。あなたが、英検1級合格に向けて「すんごく頑張った人」の体験談を求めているとすれば、残念ながら期待はずれだと思います。
私は、「いかに机についてガリガリとする勉強を避けるか?」そればっかり考えている英語学習者です。仕事をしていると、1日に何時間も勉強時間は取れないし、ましてや机で勉強なんて、私の場合は30分ももたないんです。
だからその代わり、できるだけ机で勉強しないで効率的に合格できる工夫はいろいろしました。
工夫はしましたが、結果として3回不合格になっていますし、合格とはいえ、正直なところ「余裕を持って合格」と言える状態ではありません。
一生懸命単語を覚え、熟語を覚え、スピーチを何本も書いて暗記して・・・・・という勉強ができる人を、私は尊敬します。でも、私はできないのです。だから、私がこれから書こうとしていることは、決してお手本になるような体験談ではありません。
でも、 あなたが私と同じように怠け者で、「何とか効率的に合格したい」とお思いの方だったら、きっと、役に立つことがあると思います。
思っているよりもラクに合格に近づける方法があるかも?と思っていただければ、これほど嬉しいことはありません。
コンテンツ
英検1級1次試験に合格するまで
ここでは、私の英検1級の筆記試験合格までの経緯をつづります。
初めての英検1級受験(2003.1)
当時の状況・英語力について
社会人になったばかり。学習塾で中高生に英語を教えていました。この3ヶ月前にTOEICを受験していますが、得点は905点。
受験の結果:不合格B。(正答率58%)
よくTOEICと英検の相関グラフみたいなものには、英検1級合格の目安は860点とありますが、私には全然当てはまってないです・・・・
まあ、一般的に考えてみると、860点は低すぎるような気がします。
最大の敗因は読解問題で、正答率40%でした。というか、「40%も取れたのが奇跡!」というくらい意味不明でした(苦笑)。「長い文章をすばやく読んで理解する」という練習を、全く積んでいない頃でした。
英検のストラテジーなどがまだよく分かっていなかったせいで、単語の暗記に一番時間を割いていました。これは大きな間違いだったと、あとで知りました。
2回目の英検1級受験(2003.6)
当時の状況・英語力について
社会人2年目。仕事は同じく塾講師。同じ月に受けたTOEICで980点でした。
受験の結果:不合格A。(正答率61%)
TOEICを満点近く取っても英検は歯が立たないってこと、あるんですね。敗因は、やっぱり読解問題。そしてやっぱり正答率は40%・・・ _| ̄|○
長文読めない、話せない、単語力もない、でもリスニングを重点的に勉強した私には、TOEICがピッタリだったんです。「英検がこれではTOEICで高得点を取っても全然ダメだ」と、かえって自信がなくなりました。
3回目の英検1級受験(2004.10)
当時の状況・英語力について
塾講師を辞め、カナダのフランス語圏に短期滞在(2ヶ月)後、帰ってきたばかり。英語力アップの実感は特に感じていません。
受験の結果:合格!!
でも、読解問題はやっぱり正答率40%のままでした。(苦笑)
読解力が伸びないのに合格した理由のひとつは、テスト形式の変更です。実は、ちょうど2004年度から英検1級のテスト構成・配点が変わりました。2003年以前は作文の配点が10点でした。(2004年以降は28点)
内容は現在のエッセー形式ではなく、和文英訳でした。作文の配点が少ない代わり、「大意要約」という問題がありました。エッセーの書き方(フランス語ですが)を大学で叩き込まれたのが、役に立ちました。
※フランス人の先生直伝のエッセイの書き方は、◆英検1級ライティング(英作文)の一番簡単な書き方を伝授するよ!をどうぞ。
嬉しかったです。「私には無理なのかな」って思い始めていましたから。ところが、その幸せは3日も続きませんでした。
2次試験(面接)が怖くて棄権。からの再挑戦
1次合格の知らせに喜んだのもつかの間、もうすぐ2次じゃん!!!ということにようやく気づいた私。(遅っ!!)
1次試験突破だけでとにかく精一杯だった私に、面接対策なんかをやっている余裕は全くありませんでした。今考えるとすんごく不思議ですが、「1次合格」のその先を、全く見てなかった。。。
それなのにスピーチ??あの超難しいテーマで1分でスピーチを組み立て、2分しゃべり続ける??
絶対、ムリ!!もう、こわくてたまりませんでした。
「どうしよう・・・・・」でも、そう口では言いながら、私の心は決まっていました。
・・・・・棄権しよう。
もう、自分で書きながら、自分のダメ人間ぶりに嫌気がさしますが、でもあのときは本当に、死ぬほど、2次試験を受けたくなかったんです。(じゃあそもそも何で英検を受けたんだって話なんですが・・・。)
「今回受けなくたって、あと3回1次が免除になるし」そう自分を納得させ、諦めることにしました。
そして、その後転職、県外に引越し、結婚・・・・・と、人生の大きなイベントが目白押しで、英検を受ける気力もすっかり無くしたまま、1次免除の期限が切れてしまいました。
もちろん、自分次第でチャンスはいくらでもあったと思うんですよ。いろいろと言い訳はありますが、所詮、自分に負けたんです。
一念発起!初めから再挑戦(2007.10)
あらためて英検1級に挑戦しようと思ったのは、それから3年後。きっかけは、通訳翻訳の仕事への転職でした。
3年前からこれまでの間にたくさんのいい人やいい本との出会いがあって、「こういう人間でありたい」という目標がはっきりし、それに少しずつ近づいていっている自分を感じていました。
自分の中のに変化があり、それまで自分がなれるとは思いもよらなかった通訳者としての道が開けました。
「通訳なのに英検1級も持ってないなんて!」と、採用通知をもらってすぐ受験を決意。
「通訳」として採用はされましたが、通訳としての経験がないどころか、通訳レベルにはほど遠い英語力。せめて、英検1級に合格して「罪悪感」を少しでも和らげたかったのです。
英検に特化した対策は、ネットでダウンロードした過去問を解いたのみです。英検1級でる単もやっていないし、それ以外の英検1級関連の書籍なども全く使っていません。
でも、正直、不合格になる可能性は全く考えていませんでした。ま、今でこそ何とでも言えますけどね。
結果は・・・・・合格でした。
3年前までの私と明らかに違うのは、読解問題の正答率。これまで3回連続で40%でしたが、今回は満点が取れました。
別ページで詳しく書くつもりですが、長文こそが大きなカギを握っていると気づいた私は、読解問題に一番時間をかけました。この作戦が功を奏したのではないかと思います。
英検1級2次対策のやり方がわからない
今回の受験では、さすがに2次のことまで考えていました。(※「考えていた」だけで、対策はしていません。汗)
でも、スピーチの練習をどうやればいいのか、分からない・・・・・そんな時、だいぶ前のEnglish Journalに英検スピーチ特集が載っていたことを思い出し、タンスの奥から引っ張り出してきました。
この号には、トピック5つ(教育・医療・環境など)について、模範スピーチの原稿(CDつき)が掲載されていました。それはそれは素晴らしい内容で、起承転結もきっちりした文章が書いてあります。理路整然としていて、しかも説得力のあるスピーチ。
ほ~~っ、いいもんみっけ!!!「よし!このCDを聞いて聞いて聞きまくって、このスピーチを暗記するぞ!!」そう、意気込みました。
でも・・・・・・全然、覚えられませんでした。
もちろん、1次合格から2次試験まで時間が限られていたし、私の努力も足りなかったんだろうと思います。でも、何より、覚えられない第一の理由は、それは所詮他人の意見だからです。
スピーチの内容に共感できなかったわけではありません。読んだ時は、「なるほど、その通りだ」と100%賛成。
それなのに、実際自分が覚えようとしてみても、だめなんです。
そのスピーチを書いた人の考え方、人生経験、性格、すべてが自分と違っているから、その人の思考回路に無理に合わせようとしても、思うように次の言葉がつながらないんです。
たとえば、「子供の学力低下対策のために、何ができるか?」というトピックに対し「教師一人あたりの生徒数を減らす」というのが自分の意見だったとしても、
・教師の採用を増やす。
・地域のシルバー人材などを活用する。
・塾講師に来てもらう。
と、具体例を挙げながら主張を補強するプロセスは、当たり前ですが、100人いたら100通りあるんですよね。だから、他人書いたスピーチを丸暗記したって、それは自分の思考回路には全然はまらないんです。
「これじゃ、スピーチの内容を忘れたらアウトじゃん・・・」そう思いました。
しかも、たとえ同じようなトピックが出題されて、2分間のスピーチはこなせたとしても、質疑応答で「どうして」「どのように」と突っ込んだ質問をされたら・・・・・?
やっぱり、借り物の知識では太刀打ちできない。やっとそのことに気づいた時には、2次対策に費やす時間はもうほとんど残っていませんでした。
やっぱり今回も棄権しようかな・・・・・
でも、それでは正直人間失格です。
対策は不十分。というか、「やってない」に等しい。もう、何をしたらいいかさっぱり分からず、結局スピーチ原稿の丸暗記をしていないだけでなく、自分でも1本も(!)書きませんでした。
でも、私にとっては身近な問題である「教育」「社会」「文化」関係のトピックを選ぶことさえできれば、何とかなるかもしれない、とは思っていました。この分野の話なら仕事にも関連があるし、それなりに自分の意見も言えるはず。
だから、このトピックが出題されることに賭けて、スピーチで必要そうな関連単語、言い回しなどを調べてまとめました。2次試験対策は、たったこれだけしか出来ませんでした。
英検1級面接で舞い上がりすぎて大失態
試験まで、1時間近く待合室で待たされました。
試験官は、イギリス人らしき男性と、日本人女性でした。はじめに、イギリス人(と断定。笑)の試験官がいきなり「ハロー。私の名前は・・・」と自己紹介をはじめました。続いて、日本人女性も。
いきなり試験官が名乗ると思ってなかったので、かなり面食らいました。
動揺してるところに
「お名前を教えてください」
ドギマギしながら名乗った後は、簡単な日常会話。
「今日はどうやって会場に来ましたか?」
「電車で来ました。15分ほどで着きました」
「ただ質問に答えるだけでなく、何か情報を付け足して会話が続くようにした方がよい」という話をどこかで読んだ記憶があり、「コミュニケーション能力」も見られるのだから、そりゃその方がいいよなと思っていました。
「お仕事は何をされていますか?」
勤務先の名前を答えたかったのですが、まだ入社して1ヶ月ちょっとだったのと緊張で、勤務先の名前をド忘れするという間抜けっぷり。また私の仕事先の英語名がややこしくて舌噛みそうなんです。
何とか思い出して苦労しながら言ったのに、「オー、That sounds interesting」とテキトーに流されました。
「では、これからトピックカードをお渡しします。あなたには、トピックを選んで考える時間が1分与えられます。」
という内容のことをイギリス人試験官が言いました。(どうやら、英検で仕切るのはネイティブ試験官のようです。)A5サイズくらいの目がチカチカするほど鮮やかな黄色のカードが手渡され、計時係の人がストップウォッチを押す音が聞こえました。
教育、社会、文化・・・・・
とにかく、それにあてはまるトピックが見つかれば、何とかなる。
・・・・・!!!!
「え???」
何回も、何回も、私の視線は5つのトピックの間を行ったり来たりしました。汗が、どっと吹き出るのを感じました。
何?何?何なのこれ??
質問の意味が分からない!!!
5つのトピックをもう一度読み返しました。他のトピックは全部私が求めているものと違うから、確実に、この質問が「教育・社会・文化」のトピックだ、ということは分かりました。
・・・・・なのに、意味がわからない。
そこに書いてあったのは・・・
Pros and cons of loanword
”loanword”って、いったい何のこと??何についてのいい点・悪い点を述べろといってるの?
もう、頭が真っ白になりました。
Loanwordって、何?
分かんない単語を考えても仕方ないんだから、別のトピックに!!
でも、どのトピック? どれも全然内容が浮かばない。
やっぱloanwordだ。この単語の意味さえわかれば・・・
なんていう不毛な堂々巡りをしているうちに、時間切れのアラームが響きました。
・・・・・終わった _| ̄|○
イギリス人試験官が口を開きました。
「どのトピックに決めたか、教えてください」
「実は・・・まだ決まってないんです」
どうしよう、どうしよう・・・どのトピックにしよう。
「あの・・・質問することは許されていますか??」
ダメもとで、聞いてみました。“loanword”の意味が分かりさえすれば・・・・・!!!
「No」
やっぱりダメか・・・・・_| ̄|○(←当たり前)
試験官は、苦笑いしていました。
「じゃ、じゃぁ~、○番のトピックにします」
私は、「医療系」のトピックを選びました。正直言って苦手分野です。舞い上がりすぎて、自分でも何をしているのかわけが分かりません。
「最近の医療はテクノロジーに頼りすぎか?」という内容だったと思いますが、当時は消してしまいたい記憶だったため(笑)、定かではないです。
「最近の医療は、テクノロジーに頼りすぎていると思います。それは・・・」
もう、言葉に詰まってしまいました。しばらく沈黙。
「例えば、私の父が入院していたとき、えっと、父は癌だったんですが、癌と診断されて、告知するかどうか家族で悩んだんですが・・・・・」
ぎょえ~~!!!
いきなりテクノロジーと全然関係ないじゃん!!!何やってんだワタシ!!!
「だから、父の担当医には、もっと父に対して精神的なサポートをしてもらいたかったなと今も思ってるんですが・・・・・」
「だから、テクノロジーより心のケアが大事」という主張を私はしようとしていた(と思う)んですが、論理は飛んだまま、修正不可能な間にタイムアップ。
・・・・・今これを書きながら、「2分もあってたったこんだけしかしゃべってないのか?」と涙が出そうです。
「では、質問をいくつかします」とイギリス人試験官。どういう質問だったかはほとんど覚えてないのですが、印象として思ったのは「私の話した内容はめちゃくちゃテーマから外れてるけど、その流れからうまく私が答えられそうな質問をしてくれているな」ということ。
なんと言うか、「何とか能力を出させてやろう」という気概(?)を感じました。それで、少し安心したことを覚えています。(いいように考えすぎかも知れませんが。)
すると、日本人女性の試験官がはじめて口を開き、「トピックに戻りますけども・・・・」とっさに、「ソーリー」という言葉が口をついて出ました。そうだよなぁ~、私、トピックの「テクノロジー」の「テ」も言ってないんだったよ・・・_| ̄|○
質問はトピックの内容に沿った質問でした。質問の意味がよく分からなかったので「○○ということですか?」と聞きなおしました。
試験終了のアラームが鳴りました。がっくりとうなだれて、気の抜けた「さよなら」とともに面接室を出ました。
試験官の目を見てほほえみながら部屋を出る心の余裕なんかは、全くナシです。「穴があったら入りたい」とは、まさにこのこと!!
会場を出ると、真っ先にバッグから電子辞書を取り出しました。
「もぉ~~!!!loanwordって、いったい何なんだ!」(往生際悪すぎ)
辞書には・・・・・
「借用語、外来語」とありました。
なんだ~~!!!
借用語の是非なんて、いくらでも言いたいネタがある!!これが分かってたら、絶対私受かってたし!!!(ま、後になっては何とでも言えるので許してください。汗)
「loan」という言葉を見て、もう、家を買うときのローンしか頭に浮かばなかったんです。冷静な時ならちゃんと意味を推測できたかも知れませんが、英検には魔物が棲んでるんだ、と思い知ったのでした。(自分の勉強不足は完全に棚にあげてます。)
英検1級結果(不合格A)。想像以上に高得点
自分に合ったトピックが選べなかった時点で不合格を確信していました。
そして結果は・・・・・不合格A。
不合格でがっかりしたというより、「え、あれでAなんだ!!!」という驚きが大きかったです。もっとひどい結果を期待していたので、Aでなんだか嬉しかった。(笑)
内訳は、
(合格点は60点。※2007年時点の配点です)
ショートスピーチは、英語がどうというより、話す内容を全く持っていなかったので、沈黙の時間がかなり多かった気がします。何かを話していた時間も、しどろもどろでめちゃくちゃなことを言ってました。もちろん、論の組み立ても何もあったもんじゃない。それでも、半分も点数がもらえるんだ!と驚きました。
そして、単純な私は、「あんなんで54点もらえるんなら、次は絶対合格できる!!!」と、俄然やる気になったのでした。(笑)
面接対策を練り直す
私が英検に払った授業料は、すでに3万円。これ以上英検協会をウハウハにさせてなるものか!!
「何としても次で終わりにしたい!」この時、2次試験対策をはじめて真面目に考えはじめました。(←遅い)そして、色々な英検対策のHPやブログなどをのぞいてみました。
すると・・・・・
「30本はスピーチを書いて暗記すること!」
┗(|||`□´|||;;)┛
「いやいや100本は書くべき!」
凹[◎凸◎;]凹
あぁ・・・・・私には、私には、できない・・・・・_| ̄|○
スピーチの台本をたくさん書いて、それをできるだけ暗記する。やっぱりそれが王道で、合格に確実に近づける方法なんだと思います。
実際、英検の会場で待ち時間に、手書きのスピーチを何ページにもわたって書いたノートを読みながら復習している人がたくさんいました。
でも、私には、その気力はありませんでした。英検の前に、仕事用の英語の勉強を必死にやらなければいけませんでした。正直、英検なんてやってる場合じゃないほど、仕事が出来なさすぎてピンチの毎日だったんです。
もちろんまた不合格になるのは悲しいし悔しいけど、合格しても仕事には関係ないし、生活にも全然支障はない。(7500円を失う以外は・・・)
私が英検1級に合格したいのは自己満足のため。そう考えると、「私は、スピーチを30本書いてそれを全部暗記してまで、合格証書なんていらない」と思ったのです。
「スピーチ書かないで合格できないかな?」
「スピーチをたくさん書いてまで合格しなくていい」と思えてから、こればかりを真剣に考えました。
私の敗因は、英語力がどうとかいう問題以前に、「話す内容(意見)がしっかりしていない」こと。何を話していいか分からなければ、そりゃスピーチにも詰まるし、質疑応答にも対応できません。
1度目の試験の感触と結果から、自分の意見を洗練された英語で表現することは、それほど重要ではないと私は判断しました。結局、話す「内容」がなく沈黙するのが一番ダメみたいだと分析しました。
そして、私は「沈黙しないようにネタを集めて自分の意見を考える」ことを2次対策の中心にしました。
見るもの聞くものすべて「スピーチのネタにならないかな?」と考えました。テレビ番組からネタを拾うことが一番多かったです。
そして、過去に出題されたトピック一覧から「パッ」とランダムに1つ選んで、それについての意見と理由をまず日本語で考えてみる。その後、英語で組み立ててみる。スラスラとは言えないので、その都度表現や単語を調べたりしました。
結局、私は本番まで、スピーチを1本も書きませんでしたし、暗記もしませんでした。
誤解があるといけないのでお断りしておきますが、私は四技能では、スピーキングが一番苦手です。
夫がアメリカ人なので「英語ペラペラなんでしょ?」とよく言われますが、力いっぱい主張させていただきます。配偶者が英語ネイティブでも、英検1級のスピーチのような英語は上達しません。
参考:国際結婚カップルの私たちの夫婦喧嘩(英語)が激しくなった理由
夫婦の会話で、英検スピーチみたいな話題なんて話しません。日本人の旦那さんや奥さんがいる方だって、同じじゃないでしょうか?
夫がアメリカ人であることによって、私が英検で恩恵を受けていることがあるとすれば、最初の「フリーカンバセーション」ぐらいでしょう。
2次試験に2度目の挑戦
さて、本番。
前回めちゃくちゃ待たされたので、今回は指定された集合時間より30分以上前に行ってみました。でも、やっぱり1時間半待たされました。
2回目ということもあり、前回よりは落ち着いていました。やっぱり狙うは「教育・社会・文化」のトピック。2回連続で「質問の意味が分からない」ということは、さすがにないだろうと思っていました。
さて、試験前、なぜか、ニンテンドーWiiのことが頭から離れなかったのです。
その前の年の夫の誕生日に買ったんです。クリスマスプレゼントに、Fitも買い足しました。夫と二人でギャーギャー騒いで遊んでいます。
「う~~ん、ニンテンドーWii、めちゃくちゃ売れてるよなぁ~。何でも、『今までのゲームのイメージを180度変えた』ってとこがこんなに売れてる理由らしいな~」
新聞か何かで読んだ内容でした。なんで試験前にこんな考えが頭に浮かんだのか分かりません。でも、「お!このネタは、青少年の問題にからめてスピーチできるかも!」と思い、長い待ち時間を利用して、英語を頭の中で組み立てていました。
そして・・・予想すらしていなかったことですが、本番でこのネタに救われることになりました。
試験官は、またイギリス人らしきアクセントの男性(40代くらい)と、日本人男性(60代くらい)でした。
イギリス人試験官:「今日はどうやって来ましたか?」
そうそう。「コミュニケーション力」も見られるのだから、ただ質問に答えるだけじゃなく、何か情報を付け足さなきゃ。
「電車で来ました。雪が降っていたので、ちょっと心配しました」
「そうでしたね!朝降ってましたね」
試験官は、私が雪の話題を出したことにちょっと驚いた様子で、でも笑顔で返してくれました。そして、その笑顔を見て私もちょっとリラックス。
「では、あなた自身について少し教えていただけますか」
もう、仕事先の名前を出すのはやめようと決めていました。またちゃんと言えなかったら、点数にならないのに無意味に動揺してしまうし。
「翻訳の仕事をしています」
「通訳」のことは言いませんでした。だって・・・・・こんなにしゃべれないくせに通訳なんて、恥ずかしいじゃないですか(笑)。それに、変な期待感を持たれて、採点に影響しても困りますし!
「どのくらいの間そのお仕事をしていますか?」
日本人試験官が言いました。この日本人の試験官は、英語の発音もそれほど上手じゃありませんでした。スラスラよどみなく質問するというより、ゆっくりゆっくり考えながら質問する感じ。答える側からすると、聞き取りやすくて良かったかも。
「このくらいのレベルの人でも試験官になれるんだ~」と正直思いました。 ←かなり失礼
前回の日本人試験官(推定40代前半・女性)は発音もすごくきれいでした。しかも美人でした(笑)
「まだ新人なんです。半年ほどです」
(イギリス人試験官)「どんな国の仕事を扱っているんですか?」
「えっと・・・」想定していなかった質問をされ、答えに詰まったところでアラームが鳴りました。そのまま黙っていれば「じゃあ時間になりましたので・・・」となったのかもしれませんが、とりあえず何か答えよう!と思いました。
「えっと・・・仕事先の外国人はほとんどアメリカ人なので、主に彼らのための資料の翻訳をしています」
「ありがとうございました。では、これからトピックカードを渡しますので、1分間でひとつ選んでください
トピックカードが渡されました。
えっと・・・・・
教育・文化・社会・・・・・・
教育・文化・社会・ニンテンドーWii・・・・・・・・・・
なぜか、またニンテンドーが頭の中をめぐりはじめました。(笑)
1つ目のトピックをまず読みました。「テクノロジーの進歩は、我々の生活を複雑にしているか?」
見た瞬間、なぜか、「これしかない!」と思いました。「よし、これはニンテンドーとつながる!!」
教育・文化・社会のテーマを探していたはずでした。正直、スピーチ対策でテクノロジーのことはほとんど考えてませんでした。
ところでよく考えたら、前回選んだのも「テクノロジー」。どう考えても得意分野ではないので、2回もテクノロジーを選んでしまうなんて絶対正気じゃないです。一体何が「これしかない!」なんだか。
もう、他のトピックには目もくれませんでした。実際、教育がテーマのトピックなんて、あったのかどうかも知りません。
トピックが5秒で決まったので、あとの55秒で必死に話す内容を考えました。1分が、とても長く感じられました。心臓が、ドックドックと音をたてているのが分かりました。
アラームが鳴りました。
「どのトピックを選びましたか?」
「1番です」
「では、2分間でスピーチをどうぞ」
「私は、テクノロジーの進歩は我々の生活を複雑にしていると思います。たとえば、テクノロジーの進歩によって、コミュニケーション不足という問題が生まれています。
携帯電話がなかった時代は、たとえば、友達に電話するのにも、家の電話にかけて、その友達の家族と会話を交わさなければなりませんでした。でも携帯をみんなが持っている今は、その必要はありませんし、メールをすることもできるので、友達とさえ電話で話す必要もなくなりました。」
・・・と、もちろん本番はこんなにスラスラと話せたわけじゃないです。(笑)「内容がこんな感じ」というだけで、実際は詰まりまくりました。
というか、今書いていて気づいたのですが、「家電」だってテクノロジーの産物ですよねぇ・・・(;゜∇゜)
別の具体例はもう思いつきませんでした。もうこれは、ニンテンドーを出すしかないっ!!
「・・・・・でも、今Nintendo Wiiが流行ってます」
我ながら、あり得ないほどの強引な論の転換です。
「Nintendo Wiiは、革新的なゲーム機と言われています。というのは、ゲームとは本来、一人で部屋に閉じこもってやるものでしたが、Nintendo Wiiは、ゲームのイメージを完全に変えました。それは、居間で家族みんなで楽しむことを目的として作られています」
「だからテクノロジーの進歩で生じたのは必ずしもコミュニケーションにおける負の側面だけではない」という意味でニンテンドーを話題に出したのですが、その辺の裏づけは弱かったと思います。
でも、ニンテンドーの話を出したとき、試験官の顔つきが変わったのを今でも覚えています。興味をそそられている様子が分かりました。
「テクノロジー」と言えば、まず最も出現率が高いであろう話題はパソコンか携帯じゃないでしょうか?「一体ニンテンドーについて何を言うつもりなんだ!?」と試験官として話の方向が読めない、意外な話題だったからだと思います。
でも、ニンテンドーについて言いたいことは言ってしまい、もう、ネタが切れてしまいました。
テクノロジー・・・・・全然準備してきてないテーマを選んだ自分が悪いんだけど・・・。
「So・・・・・」と言葉に詰まっていると、ちょうどアラームがなりました。
「では・・・・・」最初に口を開いたのは、日本人試験官の方だったと思います。
「あなたは携帯電話がない世の中を想像できますか?」(Can you imagine a world without cell phones?とおっしゃったと思います。)
「えっと・・・携帯電話がない世の中を、私が想像できるかという質問ですか?」
「そうです」
・・・・・何を言ってるんだ、この試験官は!!私、そんなに若くないですのよ先生!!(気持ちは若いつもりだけど。笑)
「もちろん想像できます。私はその時代を経験していますから。私が子供の時には、携帯電話はありませんでした。でも、今、携帯電話がない世の中になってしまったら、とても不便だろうと思います」
多分この質問は「今、携帯電話がなくなってしまったらどうなると思いますか」という意味だったのだと思います。(今思えばですが)
でも、文字通りに取れば、「想像できます。てか、経験してます」としか言いようがない、とその時は思ってしまったのです。
次はイギリス人試験官からの質問。「たとえば、職場環境とテクノロジーということについては、どうでしょう?」
・・・・・また、意味わからねー!!!思い切り、「は?」という顔をしました。
試験官は自分で「あ、質問の仕方が悪かったな」と思ってくれたらしく(笑)補足説明をしてくれました。
「職場環境も以前と比べて変化してきてますよね。コンピューターが導入されたりとか、テクノロジーの進歩が見られます。職場においても『テクノロジーが私たちの生活を複雑にしている』と言えると思いますか?」
「年配の人たちにとっては、複雑になっていると思います。彼らは一般的に、若い人より新しいことを学習する能力が劣っています。コンピューターが使えなければ時代についていけませんし、仕事を探さなければならない場合は、かなり難しいでしょう」
次は、日本人試験官。
「『コミュニケーション不足』について触れられましたが、テクノロジーを利用したどんな機器がコミュニケーション不足の解消に役立つと思いますか?」
え~~!!さっきニンテンドーのこと言ったじゃん~~!!!もう他に思いつかない~~!!!
「えっと・・・・・先ほど言いましたが、Nintendo Wiiは家族間のコミュニケーションを増やすのに役立つと思います。家族全員で、また年齢を問わず楽しめるゲーム機というのは、・・・とてもいいと思います」(←この辺しどろもどろ)
あともう一つくらい日本人試験官が質問した気がしますが、内容は思い出せません。でも、私が質問に答えているとき、日本人試験官の手元がかすかに見えたのですが、なんと、採点用紙にマークしているところが、見えてしまいました!!(そんな余裕あったら、もっと試験に集中しろよ。苦笑)
どの項目だったのかまでは分からなかったのですが、5段階の「4」にマークしてくださっていました。(我ながら、よくそこまで見えたな~)
ちなみに、5段階それぞれのレベル名は、
1:poor
2:below average(だったと思います)
3:fair(だったと思います)
4:good
5:excellent
です。
これは試験会場に着いてから記入するマークシートに書いてありました。
ここで、時間になりました。前回よりは落ちついて「ありがとうございました」と笑顔で言い、面接室を後にしました。
英検1級の結果と試験を終えて
前回は54点だったのですが、今回は、前回より少なくとも6点分はいい仕事をした確信はありました。でももちろん、体験記を書きながらも、反省点はいっぱい。
スピーチで強引にニンテンドーに話を持って行った。
質問の意味を誤解したかもしれないところがあった。
質問に対してニンテンドー以外の例が思いつかず、それで通した。
だから、「前回より6点は最低でも上がってるはず」と思いながらも「・・・・・ほんとに、大丈夫か??」
結果発表の日。
前回は不合格を確信していたのでネットで結果を見なかったのですが、今回は、しっかりネットでチェックしました。(仕事中にコソコソと・・・)
3時頃発表予定のはずが、実際に発表があったのは3時半過ぎ!おかげで30分以上も不審な行動を取っていました・・・。((( (・・ )Ξ( ・・) )))
結果は・・・・・
(合格点は60点。※当時)
合格でした!!!☆彡(ノ゜▽゜)ノ☆彡しかも前回より20点のアップは、想像すらしていませんでした。
「合格」の文字が目に入った時、私はなぜか自分でもびっくりするほど冷静でした。合格した喜びより、「これで仕事に集中できる・・・」という安心感が、一番大きかった気がします。
スピーチのネタ探しはもうしなくていいんだ、と体が軽くなるのを全身で感じました。
私にとって、英検1級合格は「ダメな自分を克服する」第一歩でした。だから、「何が何でも受かってやる!」というスタンスではありません。
英検受験の一番の目的は、「面接がイヤだから逃げたい」という気持ちをコントロールして自信を持った態度で堂々と試験に臨むことでした。
英検1級に合格した今、日常生活は何一つ変わりません。私が合格したのを知っているのは、このブログを読んでいる人以外では夫だけです。
「英検1級に合格した」という事実自体は、私にとってはどうでもいいことなんです。しばらく転職の予定もないし、現職では英検1級合格は何の意味もないからです。
でも、誤解しないでください。「どうでもいい」というのは、決して投げやりな「どうでもいい」という意味ではありません。
私にとっては、「イヤでたまらないこと」(=面接)にちゃんと向き合って、それなりの結果が残せたということが、一番の収穫です。
同時に、「合格の事実自体はどうでもいい」というのは、今、英検1級に合格したことによって、新たにたくさんのものを背負ったことを感じているからです。
果たして、自分には【英検1級】にふさわしい実力が備わっているだろうか?
英検1級など程遠いレベルだったころの私は、「英検1級に合格する人は、ネイティブレベルの英語が使いこなせるんだろう」そう思っていました。そして、それが大きな間違いだったと知りました。
世間のほとんどの人の「英検1級保持者」を見る目は、このようなものではないでしょうか?周囲の期待はこんなに大きいのに、自分の実力のなんと頼りないことか。
以下は、英検1級のCan-doリストのほんの一部です。(英検ホームページを参考に一部表現を変更しました)
・雑誌(TIME, Newsweek)を理解することができる。
・いろいろな種類のドラマや映画を理解することができる。
・幅広い内容について、電話で交渉することができる。
・雑誌・新聞記事の要約を書くことができる。
英検1級合格者で、これらを全て「できます!」と自信を持って言える人は、いったいどれくらいいるでしょうか?
もちろん、「英検1級に合格したって何の意味もなかった」と言いたい訳ではありません。私にとって、英検1級に合格したことは、明らかに大きな意味を持っています。確実に、以前より自分を信頼できているのを感じています。
何と説明してよいのか分かりませんが、「英検1級を取った」という自信ではなく、もっと違う意味での、自分に対する自信。
怠け者の私は、英検受験をずっと避けてきました。英検はTOEICと比べてすごく面倒だし、ストレスがかかると思うからです。
でも、あるとき「私はこのままではいけない!」と強く思いました。自分にとって「怖い」「やりたくない」ものから目をそらしていては、いつまでたっても現在の自分から成長することはできないのだと、気がつきました。
英検1級を取った後も、私の外側の世界は何も変わっていません。でも、私の内側の世界は、全く違うものになりました。
そして今ようやく、英語という大きな大きな山のふもとにやっとたどり着き、「英語上級者」の一番下っ端として果てしない山登りが始まるのだなぁと、今は、そう思っています。
「英検1級保持者」として恥ずかしくない英語力、また世間の英検1級保持者の期待に応えられる英語力を身につけるよう、これからも独学で英語の達人を目指します。