2015年9月2日
リスニングが絶望的にできない通訳に英語ラジオVOA (Voice of America)は効果があるか?
エバンス愛
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今日は、TOEIC940点の方からの「通訳3年目だけどリスニングが絶望的にできない」という方のお悩みにお答えします。
—– 件名 —–
リスニングが絶望的にできません—– 現在の英語レベル(TOEIC、英検など) —–
TOEIC 940 英検1級—– メッセージをどうぞ —–
はじめまして。自動車メーカーで社内通訳を務めて3年になります。その間、愛さんの英語勉強法をずいぶん参考にさせて頂きました。
いちおうプロの通訳なんですが、泣きたくなるほどリスニングが苦手です。テストのリスニングはぜんぜん苦労しないんですが、実際の会話がほんとに絶望的。よくクビにならないなー、と。。。
アルクの教材やらVOAやら色々聴いてみているのですが、なかなか成果があがりません。。ちなみに大学の専攻は英語ではなく、帰国子女でも留学していた経験もありません。
リスニングは日本人には最大の難関だと思いますが、愛さんはどのように乗り越えたのでしょうか?
私が通訳の仕事を始めた頃も、「こんな私がプロの通訳を名乗っていいのかしら」と毎日本気で悩んでいました。なので、お気持ちはと~ってもよく分かります。
「テストの英語」と「生の英語」は、本当に全然違いますよね。TOEICのような話し方をするネイティブなんて、一人もいませんしね・・・
コンテンツ
英語は毎日3時間を目標に聞く
さて、「アルクの教材やらVOAやら色々聴いてみているのですが、なかなか成果があがらない」ということですが、毎日どれくらい聞いていますか?
本気でリスニング力を上げようと思えば、1日1時間とかでは全然足りないです。もちろんながら聞きも含めて結構ですが、3時間くらいは必要です。それについてはどうでしょう。
「英語力が上がらない」という人は、ほとんどの場合、単純に英語に触れる時間が足りないです。この記事、このブログで一番読まれている記事なのですが、まだでしたらぜひ一度目を通していただけたらと思います。
英語ラジオVOAは通訳者のリスニング力アップには向かない
VOA(Voice of America)を聞いているということですが、正直あんまり聞いても意味ないですよ。
教材として意味がないと言っているのではなく、あなたが通訳者としてリスニング力をアップしたいという目的を考えると、意味がないということです。
理由は、VOAは「英語力が低いノンネイティブの人でも分かるように、不自然なほどゆっくりはっきり読み上げているニュース」だからです。
ネイティブの普通のスピードの会話をしっかり聞き取って通訳できなければならないあなたには、リスニング対策としては合ってない教材です。
TEDや英語ニュースを使って通訳訓練をする
私の場合は、家でネットの海外ニュースを通訳メモを取りながら見て、適当なところで区切って訳出するという練習をしたりします。VOAではなく、普通の海外ニュースです。
ただ、ニュースの英語は発音がくっきりはっきりで言いよどみもなく、文法的に正しくて論理も理路整然としすぎなので、通訳訓練用としては最適とはいかないのですが。
あなたにとって、海外ニュースの英語のリスニングが「簡単」とは言えない状態なら、やってみたらいいと思います。
ネット上の無料の動画ニュースサイト:
・CNN
・newsy
・NHK WORLD
なお、私の場合は、あんまり海外ニュースの内容は仕事に関係ないので、自分の業種に特化したサイトの動画をよく使います。
あなたの業種によっては、TEDがいいかもしれません。自分の興味があるジャンル、仕事に関係あるジャンルが見つかりやすいし、英語のスクリプトと日本語訳も(ほとんどの場合)手に入るので、お勧めです。英語も、聞き取りやすいです。
海外ドラマでネイティブの英語の聞き取り訓練
ネイティブの英語がしっかり聞き取れるようになるには、海外ドラマをできるだけたくさん見るのがお勧めです。普段は日本のドラマを見ている場合は、それを英語のドラマに切り替えましょう。
最初は日本語字幕で見ても構いませんが、なるべく英語を聞き取ろうとしながら見ること、そして英語字幕で確認することが大事です。
Google Chromeの拡張機能で、Netflixのドラマや映画を日本語と英語字幕で表示することができます。ぜひ使ってみてください。
ドラマを見る時間が取れない場合、Podcastもお勧めです。英語のポッドキャストで、ネイティブがざっくばらんに話しているような内容のものがいいですね。ご興味があるジャンルで、面白そうなものを探してみてください。
ただし、ポッドキャストの場合は、聞き取れないところを確かめる術がありません。なので、わからないところはわからないままになってしまいます。
その意味でも、可能ならNetflixなどで海外ドラマを見て、英語字幕で英語を確認できた方がいいです。
通訳者としてのリスニングの心構え
リスニングは日本人には最大の難関だと思いますが、愛さんはどのように乗り越えたのでしょうか?
私もまだまだ「乗り越えた」と言えるレベルではありませんが、リスニングは10年くらい真剣に訓練すれば、ネイティブレベルにかなり近づけると思います。
私が通訳の現場で聞き取れるようになった大きな理由は、リスニング力そのものの向上というよりは(もちろん向上はしたのだと思いたいですが)、背景知識が増えたことだと思います。最初の3年くらいは、会社の流れや会議でよく話し合われる課題についての知識が浅いせいで、とても苦労しました。
なので、私は通訳の仕事を始めてから、会社で起こっていること全てを努めて知るようにしました。
どうでもよさそうな内容の社内メールを見ても「これ、次の会議で出るかもしれない」、会議で誰かの発言が気になったら、その背景や意図を常に考えたり先輩に聞いたりしていました。
会議の前には、議題と資料、出席者を見て、どんな流れになりそうか予測して準備しました。
今このお返事を書いている時点で、私は同じ会社で通訳をして8年目ですが、このくらいになると、話の流れが見えるようになり、誰が何を言いそうかも予測がつくようになりました。
大きな業務の流れや方向性、課題だけでなく、会議出席者それぞれの立場や思考の癖まで分かるので、「ああ、あの話でしょ」と余裕を持って聞けるんです。社内通訳者であれば、そういう「慣れ」の力って大きいです。
ただ、「全てが完全に」聞き取れるわけではないので、今でも聞き直したりペアを組んでいる先輩に助けてもらうこともありますよ。もっと言えば、通訳歴20年以上の先輩でも聞き取れないことはあります。機械ではないので、仕方ありません。
で、通訳の現場で聞き取れるようになるための勉強法ですが、まずは生の英語をたくさん聞くことに尽きると思います。そして、「聞いて分かった」のと「通訳できる」のとは全く別なので、通訳の練習をたくさんやるしかないのではないでしょうか?
あとは、今はもう時間がなくてできませんが、私が入社したてで時間の余裕があった頃は、過去の会議の録音音声を使ってひたすら通訳の自主トレをしていましたよ。総務が会議の議事録作成のために録音した音声をコピーさせてもらって、イヤホンで聞きながらメモを取って、頭の中で訳出していました。
自分の会社の実際の会議の音声なので、内容的にも勉強になりましたし、言いよどみや不明瞭な言葉もたくさんある本物のネイティブの英語なので、これ以上ない優れた素材でした。
通訳の勉強法さえ分かれば、会社関係の資料、あなたのいる自動車業界に関連したYoutube動画、ポッドキャスト、その他あらゆるものが教材になり、勉強し放題になりますよ。
というわけで、お役に立ったら幸いです!
ネイティブの生の英語が聞き取れるようになるには、この記事も参考にしてください!