オーバーラッピング・シャドーイング・音読の違い|通訳の私が続けてきたのはコレ


オーバーラッピングとシャドーイングは、どっちをやった方がいいですか?

音読とシャドーイングだと、どっちが効果がありますか?
というご質問を、よくいただきます。
1.音読
2.オーバーラッピング
3.シャドーイング
の3つは、どれも声を出して英語を発音する学習法です。でも、やり方も違うので、どれから始めればいいか、どれを続ければいいか迷いますよね。
このページでは、3つの定義と違い、それぞれのメリット・デメリット、効果、そして「通訳の私が実際に続けてきたのはどれか」までまとめてお伝えします。
読めば、あなたの目的と生活スタイルに合った選び方が分かります!
音読・シャドーイング・オーバーラッピングとは?3つの定義と違い

まず、音読・シャドーイング・オーバーラッピングのそれぞれが何か、一言で整理します。
音読とは|英語を声に出して読むこと
音読とは、英語を声に出して読むことです。中学校や高校の英語の授業で、ひとりずつ教科書を音読させられたりした記憶がある人は多いはず。みんなになじみのある学習法です。
自分のペースで読むので、お手本の音声と同じスピードで発音する必要はありません。
シャドーイングとは|影のように遅れて発音する
シャドーイング(shadowing)は、「影」のようにお手本の英語の後をついて発音していくトレーニング法です。英文を見ながらやる方法と、見ないでやる方法があります。
この記事では、シャドーイングは「英文を見ないで、音声より遅れて発音する」やり方で話を進めます。英文を見ながらやるなら、後で出てくるオーバーラッピングの方がよほど効果が高いと私は考えているためです。
英文を見ないシャドーイングの場合、耳から聞こえる音だけを頼りに、そのすぐ後ろにくっついて英語を再現していきます。
オーバーラッピングとは|見ながら同時に発音する
オーバーラッピング(overlapping)は、英語の音声に自分の声をかぶせるようにして、英文を見ながら同時に発音する勉強法です。
シャドーイングは影のようにくっついて発音していくので自分の声が遅れますが、オーバーラッピングは音声と全く同時になります。
また、オーバーラッピングは、音読の「自己流の発音に偏りやすい」という欠点を補う勉強法でもあります。
3つの違いを一言で表すと?
| 音読 | シャドーイング | オーバーラッピング | |
|---|---|---|---|
| 英文 | 見る | 見ない | 見る |
| タイミング | 自分のペース | 音声より遅れて | 音声と同時に |
音読=自分のペースで声に出す。
シャドーイング=英文を見ないで、音声より遅れて発音する。
オーバーラッピング=英文を見ながら、音声と同時に発音する。
この3つの違いを押さえたうえで、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
音読のメリットとデメリット|初心者向けな理由

音読のメリット|自分のペースでやり直しがきく
音読のメリットは、次のとおりです。
・自分のペースで発音ができるため、特に初心者に適している
・自分の声がよく聞こえるので、ごまかさず丁寧に練習ができる
・きちんと発音できなかった所を部分的・重点的に訓練できる
音読は、シャドーイングやオーバーラッピングと違ってお手本の音声と同じスピードで発音する必要がありません。初心者や英語のブランクが長い人に向いています。
自分のペースで一つ一つの音に注意を払いながら英語を声に出していくことができ、言い間違えたりつっかえたりしたところは、やり直しもできます。
なので、これから英語のやり直しを始める方や、シャドーイングが難しすぎると感じる方は、音読から始めることをお勧めします!
音読のデメリット|自己流になりやすくながら勉強はできない
音読のデメリットは、次のとおりです。
・自己流の間違った発音に気づきにくい
・「ながら勉強」ができないので、継続しにくい
・発音、イントネーションやポーズ(間)が身につきにくい
お手本の英語音声がない素材を音読すると、間違った発音をしていても自分では気づけません。必ず、お手本を何度も聞いて正しい発音を確認してから音読してください!
日本語は基本的に抑揚(イントネーション)が少なくリズムが一定の言語なので、私たちはついつい日本語と同じ調子で英語を音読してしまいがちです。
でも、英語は日本語と違って抑揚が大きく、リズムも変化します。日本語と同じ調子で自己流の英語で音読を繰り返すと、間違ったリズムと抑揚の英語を繰り返し脳に刷り込んでしまうので、逆効果です。
音読では、文章全体のイントネーションを正しく再現するのはかなり難しいと言えます。
お手本の音声の通りに発音しようとしても、一つ一つの単語の正しい発音はチェックできても、イントネーションやポーズの位置まではなかなか覚えられません。
そして、英語には「リエゾン」という音の変化もあります。リエゾンとは、たとえば「Did you」が「ディド ユー」ではなく「ディヂュー」と発音される現象のこと。これも、音読ではおろそかになりがちです。
音読の最大のデメリットが、この「お手本の音声のマネをしたネイティブらしい発音がおろそかになる」ということです。
音読するならお手本を何度も聞いてから
音読のデメリットを克服し、音読によって発音、イントネーション、ポーズ、リエゾンを正しく身につけるには、何度も音声を聞いてイントネーションやリエゾンとポーズの場所を確認したり、一文ごとに一時停止をしながら音読したりといった工夫が必要になります。
正直、これをやろうと思うとかなり面倒くさく、すぐに挫折する危険性が大です。
なので、音読にこれから取り組もうと思っている初心者の方は、必ず「いつ、どこで、何を音読するか」を決めて習慣化することを心がけてくださいね。
勉強の習慣化については、このページを読んでみてください。

シャドーイングのメリットとデメリット|リスニングが伸びる理由

シャドーイングのメリット|発音・イントネーション・リスニングが伸びる
シャドーイングのメリットは、次のとおりです。
・聞きながら発音するので、正しい発音、イントネーションが身につく
・英語を聞き取ることから始まるので、リスニングの訓練にもなる
・ながらシャドーイングをすれば時間を有効活用でき、継続しやすい
シャドーイングは、英語を聞いてその直後に発声していくので、できるだけ忠実に真似をしようと心がけましょう。
そうすることで、英語らしい発音やイントネーション、ポーズ(間)の取り方を身につけることができます。これが、音読との最大の違いだと思います。
シャドーイングをやる以前の私は、文のどこを強く、どこを弱く読めばいいのか全く分かりませんでした。
単語の一つ一つの発音には気をつけても、文章全体として全く抑揚がない、一本調子の発音しかできませんでした。
また、文章のどこにポーズが入るかも分からないので、とりあえず息が続く限り読んで、そして変なところで息継ぎという読み方しかできませんでした。あなたも、そういう経験ないですか?
それが、シャドーイングをすることによって、正しい発音、正しい抑揚のつけ方、正しい息継ぎの場所が自然と身についたんですね。
強くゆっくり発音すべき所とそうでない所が体に染み付いたので、自分の言いたいことが通じやすくなったと感じます。
シャドーイングのデメリット|初心者には難しくごまかしがち
シャドーイングのデメリットは、次のとおりです。
・スピードについていくのが難しいので、初心者には難易度が高い
・英文と自分の声が混じって聞こえにくいので、ごまかしがちになる
・英語がどんどん流れてくるので、部分的な言い直しがきかない
シャドーイングのイメージがつかない人は動画で確認
シャドーイングをやったことがない人はイメージがしにくいと思いますので、ぜひ以下の動画を見てみてください。耳だけを頼りに、お手本の後について発音する様子が分かります。
ただし、この動画は通訳トレーニング法としてのシャドーイングのやり方を紹介しているので、使用している教材がかなり高度です。最初は、もっともっと簡単な教材を使ってシャドーイングしてくださいね。
オーバーラッピングのメリットとデメリット|音読の欠点を補う

オーバーラッピングは音読の欠点を補うやり方
音読の「正しい発音やイントネーションが身につきにくい」という欠点を補う、ある意味音読とシャドーイングのいいとこ取りのような方法として、「オーバーラッピング」というやり方もお勧めです。
ただし、ながら勉強はできないので、完全な「いいとこ取り」ではありませんが・・・
オーバーラッピングとは、音声を流して、英語を目で追いながら、お手本の英語にかぶせるように同じスピードで音読します。
お手本の音声と同時に発音するので、正しい発音、イントネーションの強弱やポーズの場所もより忠実に真似をすることができます。
音読をするなら、オーバーラッピングの方がお勧めです。「発音や抑揚が自己流になりやすい」という音読のデメリットを補いつつ、英語を目で見ながら発音ができる安心感があります。
ただし、シャドーイングと同じく、スピードについていくのが大変だと最初は感じると思います。
まず自分にとって簡単なレベルから始めてみてください。シャドーイングにしてもオーバーラッピングにしても、中学生レベルから始めるといいですよ。
オーバーラッピングのメリット|発音のズレが分かりスペルと音が一致する
・お手本との発音・イントネーションのズレが分かりやすい
・スペルと音の対応が覚えやすい
・音読よりお手本に忠実に真似しやすい
音声の英語と自分の声をぴったり合わせるように発音するので、自分の発音やイントネーションがお手本とズレているところがシャドーイングよりはっきり分かります。なので、発音やイントネーションの向上につながります。
また、英文を目で見ながらやるので、「この単語はこういう発音をするんだ」と単語のスペルと実際の音が自分の中で一致します。
オーバーラッピングのデメリット|リスニング直接効果は薄く継続が難しい
・リスニングの直接的な効果は薄い
・机で集中してやる必要があり、続けにくい
・「ながら勉強」ができない
英語を見ながら発音するので、視覚情報がある分、英語を「聞き取って理解しよう」というモードにはなりません。リスニングには直接的な効果は薄いです。
ただし、英語の音を正しく発音できるようになれば英語がより聞き取れるようになるので、間接的にはリスニング力アップに効果がありますよ。
オーバーラッピングに限った話ではありませんが、机について集中してやらないとできない勉強なので、どうしても三日坊主になりがちです。
私にとっては、「机について集中してやらないとできない勉強」というのが、どうにも致命的なんですよね〜。
オーバーラッピングとシャドーイングの効果の違い

オーバーラッピングもシャドーイングも、英語の発音、抑揚(イントネーション)、リズムをできるだけお手本の英語に忠実に再現することによって、発音やイントネーションの向上がはかれる勉強法です。
違いを端的に表すと、こうなります。
オーバーラッピング: 英文を見ながら、音声と同時に発音する
シャドーイング: 英文を見ないで、音声より遅れて発音する
では、効果にはどんな違いがあるのか、それぞれの特徴を整理します。
オーバーラッピングの特徴|見ながら同時で発音・イントネーションに強い
シャドーイングの特徴|見ないで遅れてリスニングが鍛えられる
効果だけで比べるとオーバーラッピングに軍配が上がる
オーバーラッピングとシャドーイングのどちらが学習効果が高いかという勝負では、オーバーラッピングに軍配が上がります。
正しいイントネーションやリズムを身につけるには、お手本とぴったり合わせるオーバーラッピングの方がより効果は高いです。
また、シャドーイングよりハイレベルな素材を使えるのも、オーバーラッピングが勝るところです。
にもかかわらず、私はオーバーラッピングはほとんど実践していなくて、ほぼシャドーイングです。
その理由を次でお話しします。
通訳の私が続けてきたのは「シャドーイング」|選んだ理由

効果はオーバーラッピングが上なのにシャドーイングを選んだ理由
学習効果だけならオーバーラッピングが上です。それでも私がシャドーイングを選んでいる理由は、シャドーイングは「ながら勉強ができる」からに尽きます。
家事をしながら、運転をしながら、散歩をしながらなど、耳は空いていて音は聞けるけどテキストは読めないというときにも、シャドーイングはできるのです。
音読やオーバーラッピングは、そうはいきません。
シャドーイングは運転中・家事中・入浴時間にできる
運転中・家事中・入浴時間にも、シャドーイングなら無理なく取り組めます。私自身は、運転中はシャドーイングしていることが多いです。
もちろん、市街地や初めて通る道など、特に注意を要する場所ではやりませんが、いつも通っている慣れた道や渋滞でなかなか車が進まない時などには、シャドーイングをしています。
私はシャドーイングをやろうと決めてからは、毎日の車の通勤時間はシャドーイングの時間と決めていました。それまでは運転中は毎日音楽を流して歌いながらハンドルを握っていたので、それが英語に変わっただけです。
シャドーイングは10年以上続けましたが、これが、必ずそのための時間を確保しないといけない音読やオーバーラッピングだったとしたら、確実に10年間も継続していない自信があります。
「ながらシャドーイングをしたいけど、私は運転しないんです」という人は、入浴時間をシャドーイング時間にするのはどうでしょう?
お風呂に浸かりながら、スマホで音声を流して声を出してシャドーイングすることができます。お風呂の時間も毎日必ず消費しなければいけない時間ですので、慣れたら当たり前に継続できるようになりますよ。
シャドーイングの具体的なやり方は、こちらの記事で詳しく書いています。

シャドーイングのおかげで、貴重な机時間は他の勉強に費やせている
私は、「シャドーイングこそがどの勉強法よりも素晴らしいから」ではなく、「効率」と「継続性」のためにシャドーイングを選んでいます。
シャドーイングを「ながら時間」に済ませる分、机でしかできない文法やリーディング、ディクテーション、ライティングなどに時間を費やすことができるからです。
どんなに素晴らしい勉強法でも、三日坊主で続けられないなら意味がありません。であれば、習慣にして続けられる勉強法を選択するのが賢いやり方だと思いますが、どうでしょう?
もちろん、シャドーイング、オーバーラッピング、音読のどれか一つしかやってはダメという決まりはないので、余力がある方は全部やればいいですし、好みと使える時間によって選べば良いと思います。
私が言いたいのは、「勉強の継続しやすさを考えると、シャドーイングがお勧め」ということです。
どれを選ぶ?音読・オーバーラッピング・シャドーイング

初心者は音読から始める
これから英語のやり直しをはじめる初心者は、いきなりシャドーイングではスピードについていけないので、まずは何度も音声を確認した上で簡単な英語の音読から始めてみてください。
机時間が多い人はオーバーラッピング、ながら時間がある人はシャドーイング
スピードに慣れてきたら、じっくり机で勉強する時間が多く取れる人はオーバーラッピングがお勧めです。机での時間があまり取れないけれど、ながら勉強時間はあるという場合はシャドーイングがお勧めです。
中1レベルから始める|両方やってもOK
シャドーイングやオーバーラッピングが難しいと感じる場合、中1レベルの英語でシャドーイングやオーバーラッピングに挑戦してください。
なお、この「中1レベルで」というのを何度言っても、なかなかやってくれない人が多いです(苦笑)。
ほとんどの日本人英語学習者は、シャドーイングに難しい英語を使いすぎです。
もちろん、単語や理解のレベルでは中1の英語なんて楽勝というのは分かります。でも、理解できるのと、スラスラ発音できるのは全く別です。
私自身は、シャドーイングを始めたときはTOEIC700点程度でしたが、中1レベルの音声からやりましたよ。そして、苦戦しました。
なので、簡単なものからスタートしてください。
余力がある方は音読・オーバーラッピング・シャドーイングのうちどれかひとつに絞る必要はなく、両方やっても、3つを組み合わせてもOKです。
あなたの目的と使える時間に合わせて選んでみてください。
まとめ|オーバーラッピング・シャドーイング・音読の違いと選び方
というわけで、音読・シャドーイング・オーバーラッピングの違い、効果、それぞれのメリットとデメリットがわかったでしょうか?
音読・シャドーイング・オーバーラッピングの違いをまとめます。
・音読=自分のペースで声に出す。初心者向けだが、自己流になりやすく、ながら勉強はできない
・シャドーイング=英文を見ないで、音声より遅れて発音する。リスニングが鍛えられ、ながらで続けやすい
・オーバーラッピング=英文を見ながら、音声と同時に発音する。発音・イントネーションの向上に強く、音読の欠点を補うが、机でやる必要があり継続は難しい
オーバーラッピングとシャドーイングのどちらも、発音やイントネーションの改善には絶大な効果があります。
効果だけならオーバーラッピングに軍配が上がりますが、私は「ながら勉強ができる」継続のしやすさと効率のために、シャドーイングを選んで続けてきました。
「何か別のことをしながら英語時間が自動的に積み上がった」というのが、私の英語学習が多くの人より上手くいっている最大の秘密です。
私は、シャドーイングのためだけの勉強時間を1分も取っていません。すべて、運転しながら、家事をしながらなどの「ながら勉強」です。
家事をしながら、運転をしながら、散歩をしながら……など、耳は空いていて音は聞けるけど、テキストは読めないという時間なら、忙しい人でも見つけられるはず。
いろいろ理想はあるけれど、英語学習は無理があると長続きしません。「ながら勉強」を上手に取り入れて、あなたの目的と生活スタイルに合った方法で、音読・オーバーラッピング・シャドーイングに取り組んでみてくださいね。
私がずっと継続できているシャドーイングについて、詳しくはこちらに書いていますので参考にしてください。



