2021年5月31日
シャドーイングとディクテーションはどっちが効果的?【リスニング力up勉強法】
エバンス愛
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「ディクテーションとシャドーイングは、どっちが効果的ですか?」
という質問をよくいただきます。
ディクテーションとシャドーイングのどちらも、リスニング力アップに効果がある勉強法として有名です。
でも、実際、ディクテーションとシャドーイングのどっちが効果があって、どっちの方がお勧めなのか?両方やるべきなのか?と気になっている方は多いと思います。
私は、シャドーイングもディクテーションもかなり力を入れて実践してきました。それぞれのメリット・デメリットも、身を持って体験しています。
そこで今日は、シャドーイングとディクテーションの違いと、どっちが効果的でお勧めなのか、徹底比較していきたいと思います!
コンテンツ
シャドーイング(英語を声に出して真似る勉強法)の効果
シャドーイングとは、「影」のようにお手本の英語音声の後ろにぴったりついて、英語を真似して発音するトレーニング法です。
このようにやります。↓
(お手本) The predecessor gave a new manager a clap on the back.
(学習者) The predecessor gave a new manager a clap on the back.
シャドーイングによって、以下のような効果が得られます。
・発音、イントネーションの向上
・リスニング力の向上
・口の筋肉のトレーニング
・スムーズなスピーキングへの基礎固め
・英語らしい語順、文章構成を体得する
・英語への集中力のトレーニング
・通訳の基礎トレーニング
・語彙や熟語教材でシャドーイングすれば、語彙・熟語が身につくうえに上記の全ての効果が得られる
すごくないですか?Σ(・∀・;)
私自身は、「今までどの勉強法を最も長く続けたか」と聞かれたら、「シャドーイング」と答えます。10年以上実践してきましたし、ディクテーションの何倍もやりました。
シャドーイングの効果については、こちらの記事に詳しく書いてあります。
また、シャドーイングの詳しいやり方や手順は、以下の記事を参照してください。
シャドーイングの2つのメリット
では、「シャドーイング」にはどんなメリットがあるのでしょうか?
1.発音やイントネーションが身につく
シャドーイングは、声を出しながら英語を真似する勉強法です。聞こえた英語を自分の口を使って忠実に再現することを通じて、発音やイントネーションが身につきます。
シャドーイングを通じて、自己流のカタカナ英語の発音を矯正していけば、英語らしい音の出し方、喉の使い方が身につき、口の筋肉も鍛えられます。
ディクテーションは「書き取る」勉強法なので、耳は鍛えられますが口を鍛えることはできません。
英語をいくら耳で聞いて目で見ても、英語らしい発音を口を動かさずに身につけることはできないので、シャドーイングはその点でディクテーションに勝っています。
2.「ながら」で実践しやすく、継続しやすい
私は、主に車を運転する時間をシャドーイングに使っているのですが、慣れてしまえば非常に実践しやすいし、続けやすいです。
ディクテーションは、「ながら」ではできないので、机での勉強時間を確保する必要があります。一方、運転しながら、メイクをしながら、お風呂に浸かりながらなど、日常の活動に組み合わせて行うシャドーイングは、ディクテーションより格段に継続しやすいのです。
なお、「テキストを見ながらシャドーイングをする」という勉強法もありますが、私はそのやり方は実践していないし、個人的にはお勧めしません。
テキストを見ながらやるのであれば、シャドーイングよりオーバーラッピングがお勧めです。詳しくは、オーバーラッピングとシャドーイング、やるならどっち?効果の違いを解説をどうぞ。
シャドーイングの2つのデメリット
1.スペルが身につかない
シャドーイングは、耳で聞き取れた音を真似して発音するのみです。英語を書くことはしないので、シャドーイングでスペルは身につきません。
実際、私自身も「聞き取れて意味も分かるけど、スペルが分からない単語」も時々あります。
ただし、大人の私たちは、すべての単語のスペルを正確に覚えている必要はありません。手書きで英語を書く必要がある英検やTOEFLのエッセイなどを除けば、私たちはPCやスマホで英語を書くことがほとんどですよね。
Wordでもスマホのメモ帳でも、スペルミスがあれば勝手に直してくれます。単語の発音やアクセントは正しく覚えておく必要がありますが、スペルは「何となく」わかっていれば十分。
単語を覚える時にスペルの正確さは必要ないということについて、以下の記事にも書いていますのでどうぞ。
2.なんとなくごまかせてしまう
私自身、シャドーイングで最も実感しているデメリットは、お手本の英語についていけないところがあっても何となくごまかせてしまうということです。
苦手な発音、聞き取れない音、知らない単語などのところで「ゴニョゴニョ・・・」となっても、英語はどんどん流れてきます。なので、発音できないところをそのままにしがちです。
ディクテーションであれば、聞き取れていない部分が一目瞭然なので、ごまかすことができません。でも、シャドーイングをきちんとやろうとすれば、発音できない箇所を何度も巻き戻したり、テキストを見ながら繰り返し練習することが必要になるでしょう。
が、そうなると、シャドーイングの気軽さ(前述の「メリット2.「ながら」で実践しやすく、継続しやすい)が損なわれるので、難しいところなんですよね・・・(; ・`д・´)
ディクテーション(英語を書き取る勉強法)の効果
ディクテーションとは、
1.読み上げられた英語を何も見ずに書き取る
2.答え合わせをして、自分がどれほど正しく聞き取れているか、正しく書けているかどうかを確認する
という勉強法です。
私は、「なんとなく聞き取れるんだけど、細かいところを聞かれたら困る・・・」という状態から脱したきっかけが、ディクテーションでした。
また、大学でフランス語を第一外国語として勉強していた時、授業で毎日のようにやらされていたのが、ディクテーションです。
ディクテーションの詳しいやり方については、以下の記事をどうぞ。
ディクテーションの2つのメリット
1.文法・英語のロジックが鍛えられる
多くの人が勘違いしがちですが、ディクテーションは、ただ「聞き取った英語を自動的に書く」というトレーニングではありません。正しく英語を書き取るためには、実は「文法力」「ロジック力」が重要なんです。
英語には同じ発音でも違う単語がたくさんあります。たとえば「it’s」と「its」は、見た目はアポストロフィの違いだけですが、文法的には全く違いますよね。(実は、ネイティブの大人でも、it’sとitsを混同してる人は多いです)
シャドーイングなら、深く考えずに「イッツ」と発音して終わりでしょう。
でも、ディクテーションではそうはいきません。「its」を「it’s」と書いてしまったら、文法が理解できていないという証拠です。
また、たとえば、canの後ろに動詞の過去形が聞こえたとしても、文法的にはありえないですよね。
となると、「文脈に合っていて、これと似た発音の動詞(それも原形)って何だろう?」と謎解きをしないといけないのが、ディクテーションです。
私自身は、フランス語の勉強でディクテーションを猛烈にやりました。
フランス語は、英語以上に同じ発音の単語がたくさんあり、文法知識を総動員してディクテーションをやらないと、絶対に正解にたどり着けません。
自主的にディクテーションを選んだわけではなく、授業で毎日先生にやらされていただけなのですが、授業にディクテーションが取り入れられていたのは、ディクテーションが語学学習に非常に効果がある勉強法だからでしょう。
実際、ディクテーションのお陰で、かなり短期間でフランス語の文法がしっかり身につき、正しくフランス語を書けるようになりました。
2.コンマ、アポストロフィ、ハイフンなどの使い方が身につく
お仕事で英文メールを書く方などは痛感していると思いますが、コンマをどこで使うか、ハイフンやアポストロフィはどう使うのが正しいのか、分からなくて困ること、よくありますよね。
ディクテーションは、そういった細かいところもじっくり考えながら実践することになるので、正しい語法が身につきます。
「別にディクテーションをしなくても、英語を習慣的に読んでいれば自然に身につくのでは?」って思うかもしれませんが、実際はそんなに甘くないですよ!
読んでいるだけだと、コンマやアポストロフィなんて、気にもとめませんよね。
ディクテーションで、自分なりに英語を書いてみて、答え合わせをして「しまった!間違ってる!」って悔しい思いを積み重ねるからこそ、力がつくんです。
ディクテーションの2つのデメリット
1.ディクテーションを継続するには、根性がいる
ディクテーションは、しっかり机での勉強時間を確保し、集中して取り組む必要があります。
しかも、たまにやってもダメで、きちんと継続する必要があります。最低でも1ヶ月くらいは続けないと、効果は感じられないと思います。
でも、実際にディクテーションをやってみたらわかりますが、わからない箇所を何度も聞き直したりするのって大変なんですよね。やってて、イライラします(苦笑)。
シャドーイングなら、運転中や入浴中など、ながら時間を活用して工夫次第で「ゆるく」続けられますが、ディクテーションはゆるく実践するのは難しいです。
最近は、ディクテーションアプリなどもあり、単語を書くのではなくタップして選択するものもあります。
でも、それだと上記に挙げた「文法やロジックが鍛えられる」「コンマやアポストロフィなどの語法が身につく」というメリットを享受するのは難しくなります。
今まで私がディクテーションをお勧めした生徒さんで、根性入れてしっかり実践してくださった方はみんな目覚ましい成果を挙げていますが、継続が難しいのが一番のデメリットです。
2.適切な素材と機器を探すのが難しい
ディクテーションは、適切な素材と適切な機器を使わないと、かけた時間と労力の割に効果が低くなります。
たとえば、音声の再生に使用する機器に「10秒巻き戻し」しかなければ、ちょっと聞き取れなかったところを2秒くらい聞き直したいだけでも、10秒聞かないといけないので、かなりまどろっこしいです。
私が最もディクテーションに力を入れていた頃は、CDプレーヤー全盛期でした。だから、巻き戻しボタンを指でホールドする長さで、どれくらい巻き戻したいかを調整できて、そんなに苦労した記憶はないんですけどね・・・(; ・`д・´)
これからディクテーションをやるとしたら、「10秒」などではなく「文単位」で巻き戻せる素材を使うのがいいかもしれません。
たとえば、英語リスニング無料学習館というサイトでは、短い文をディクテーションできるので良いと思います。無料ですし、アプリもあります。
ディクトレ-ディクテーションを取り入れた英語リスニング学習-
Taiki Saito無料posted withアプリーチ
また、 ちょっと邪道ですが洋楽でディクテーションできる「Lyricstraining」というサービスなら、フレーズ単位で何度でも巻き戻せるので、巻き戻し問題が解決します。
あと、これは上級者向けですが、海外ドラマや洋画でディクテーションをする場合、Netflixの拡張機能でフレーズ単位で一時停止、巻き戻しができます。
海外ドラマや映画でのディクテーション学習に挑戦してみたいなら、ぜひ!
シャドーイングとディクテーションの違い・まとめ
というわけで、シャドーイングとディクテーションの違い、そのメリットとデメリットについてお伝えしてきましたが・・・
結論としては、一方が他方より効果的というよりは、「シャドーイングとディクテーション、それぞれ違った良さがある!」ということに尽きるでしょうか。
シャドーイングもディクテーションも、リスニング力訓練の一貫です。でも、
・「口」を使うシャドーイングは、スピーキング向けの勉強法
・「手」を使うディクテーションは、ライティング向けの勉強法
と言うことができるでしょう。
どちらか一つを選ぶなら、実践のしやすさと、よりスピーキング能力向上に適しているという2点で、私はシャドーイングをお勧めします!
シャドーイングとディクテーションのそれぞれの特徴を理解して、効率よく取り組んでリスニング力アップを目指してくださいね。
シャドーイングについては、他にも比較記事を書いていますので、どうぞ!
音読とシャドーイングの比較↓
オーバーラッピングとシャドーイングの比較↓