「自然な英語」を目指すほど話せなくなる理由|間違いが怖くて話せない人へ


自然な英語を話したいのに、この言い方って不自然かも・・・

失礼だと思われたらどうしよう・・・
そんなふうに考えているうちに、英語が口から出なくなってしまった経験はありませんか?
「この英語は不自然な表現」
「この表現はネイティブは失礼だと感じる」
という情報に振り回されて、何を言えばいいか分からなくなった・・・
このように悩んで、一歩を踏み出せないという方は多いのではないでしょうか。
私も、かつては「正しく、丁寧で相手に不快感を与えない」ようにと思って、「ネイティブには変に聞こえるこんな表現」「その英語、ネイティブに笑われてますよ」といった本をたくさん参考にしていました。
その結果、「もしかして、これも失礼なんじゃ・・・」「これもおかしいかも・・・?」とあらゆることが心配になって、何も言えなくなってしまった時期があります。
この記事を読めば、以下のことが分かります。
✅ 「自然な英語」を目指すほど話せなくなる理由
✅ 間違いや失礼を恐れずに話すための心の持ち方(ネイティブの本音つき)
✅ 自然な英語が身につくまでの正しい順番
そんな私が、通訳として仕事を始めた時に「自然さは気にしない」と決意した経緯と、アメリカ人の夫に聞いた本音もお伝えします。
自然な英語を身につけたいけれど、間違いが怖くて話せない方の背中を押す内容になっています。
自然な英語を目指すと、なぜ話せなくなるのか

自然な英語を目指しているのに、かえって話せなくなる。その理由は、主に二つあります。
一つは「ネイティブらしい表現」をむやみに使うことの落とし穴。もう一つは、「失礼な英語」を心配しすぎることです。ここではまず、ネイティブ表現の落とし穴から見ていきます。
身の丈に合わないネイティブ表現は、かえって違和感になる
「YOUは何しに日本へ」で、昔ナレーションを担当していたボビー・オロゴンさん。今は流暢な日本語を話していますが、日本で最初にテレビに出始めた頃は、日本語が全然分からないフリをしていました。
「日本語が全然しゃべれないくせに、たま~に発する日本語は、日本の若者言葉そのもの」というキャラで笑いを取る芸風でした。
同じことを日本人の芸人さんが言っても面白くない。日本語がペラペラの外国人が言っても、彼のような笑いは取れなかったでしょう。笑いを誘ったのは、「ギャップ」です。
日本語がお世辞にも上手とは言えない彼が、あまりにナチュラルな若者言葉をしゃべっている。だから、笑えるわけです。
英語でも同じことが起きます。あなたの普段の英語のレベルと、ネイティブらしい表現とのギャップが大きいと、相手には不自然に聞こえたり、驚きや違和感として受け取られたりすることがあるのです。
ネイティブ表現が使えることと、英会話が上手なことは無関係
私は、読者さんから、「ネイティブ表現を使って驚かれた(あるいは変な反応をされた)」という体験談をお聞きすることがあります。

アメリカ人と会話しているときに”it rings a bell”という表現を使ったら、「君からそんな表現が出るとは、驚いたよ」と言われたんです。
「その時は喜んだけれど、よく考えると、自分のレベルで使うとおかしく感じる表現で、相手には奇妙に聞こえただけだった」ということでした。
また、英会話教室で「ここで使える!」と暗記したフレーズを流暢に言ったら、ネイティブに「???」という顔をされた方もいます。
通じなかったのかと聞いたら、

そういうフレーズが、君から出ると思ってなかったんだ。
と先生に言われたそうです。
「この人の英語力だと、このくらいの表現を使うのが妥当」という相手の期待を(いい意味であれ悪い意味であれ)裏切った時、相手はこのような反応をするのですね。
ネイティブらしい表現を使ったからって、英会話レベルが優れているという評価にはならない。そう考えておくと、肩の力が抜けます。
覚えたフレーズを使うと、驚かれたり笑われたりする理由
あなたが、たとえば “it rings a bell(思い当たる節がある)” という「すっごく英語らしい英語」をネイティブ表現集で丸暗記してしゃべったとき、その英語は違和感なく相手に受け入れられるでしょうか?
「素」のあなたの英語と、「ネイティブ表現丸暗記」のあなたの英語とのギャップが、相手に奇妙な感覚を与えているかもしれません。
自然な英語表現を覚えようという努力は、全く否定しません。
ただ、ネイティブらしいフレーズを頑張って暗記した結果、そういう反応になるのなら、それでも暗記し続けることが、あなたの英語学習の目的にとって最適な労力と時間の使い方かどうか、一度考えてみてほしいのです。
英会話が十分にできないうちから「ネイティブの表現」「自然な英語」にこだわる意味はありません。
片言の英語しか話せないなら、片言なりに、単語をつなげて堂々と話せばいい。 無理して背伸びをして、ネイティブらしく話そうとしなくていいんです。
ネイティブフレーズをたくさん覚えることは、英会話上達の近道では全くありません。まずは通じる英語をしっかり話せるようになることを優先しましょう。
その一方で、「自然な表現は気にしなくていいんだ」と割り切ろうとすると、今度は「失礼な英語」が気になってしまう方も多いと思います。次に、その悩みに触れます。
失礼な英語を心配しすぎていませんか?

「自然な英語」と同じくらい多くの人が気にしているのが、「この表現、失礼かも」という不安です。ここでは、読者さんの声と、私自身の体験をお伝えします。
「この表現、失礼かも」に振り回されていませんか
読者さんから、よくこのようなお悩みをお聞きします。

「○○という表現は失礼」「○○という表現は使わない方がいい」と聞くと、他にも知らないことがあるんじゃないかと、ビクビクしてしまうんです・・・
たとえば、ある本に
Sit down, please. は、いくらpleaseをつけていても失礼な表現。
正しくは、Please take your seat. と言わないといけない。
と書いてあった。
あるいは、
You’re welcome. は「当然だろ」という印象を相手に与えるので、使わない方がいい。
My name is… は古臭い言い方で、「拙者の名は◯◯でござる」みたいなイメージを与えるので、I’m…と言って名乗った方がいい。
など。
こういう、「これは失礼」「これは変」という表現が次々出てきて、どうしたらいいか分からない・・・と思ったことはありませんか?
「まだ知らないで使っている、失礼な言葉があるのでは?」とビクビクしながら話すので、ぼそぼそと小さい声になってしまっているかもしれません。
お気持ち、とってもよく分かります。私も同じでした。
私も失礼が怖くて、何も言えなくなった時期があった
私も「正しく、丁寧で相手に不快感を与えない」ように、「ネイティブには変に聞こえるこんな表現」「その英語、ネイティブに笑われてますよ」といった本をたくさん参考にしていた時期があります。
その結果、「もしかして、これも失礼なんじゃ・・・」「これもおかしいかも・・・?」とあらゆることが心配になって、何も言えなくなってしまいました。
で、今はどうかというと、気にしていません。正確に言えば、「気にしない」と決意しました。 気付かずにいろいろと失礼を働いているかもしれませんが、ネイティブじゃないのだから仕方ないと思っています。
私がネイティブらしい表現や自然な英語を気にしないと決めた経緯については、この記事に書いています。あわせてどうぞ。

勇気と諦めを持って、知っている英語を堂々と使う
ちょっと例えがよくないかもしれませんが、

他にも私が知らない失礼な表現があったらどうしよう・・・
っていう心配って、

道を歩いていて車にはねられたらどうしよう・・・

乗った電車が事故ったらどうしよう・・・
って家の外に出られなくなるようなものだと、私は思うんです。
もちろん、その可能性はゼロじゃありません。でも、車のドライバーが安全運転してくれることを信じて、電車も事故なく運行されることを信じて、私たちは外に出るわけですよね。
英語も、それと同じです。
英語を話す時も、相手が「この人はネイティブじゃないから、まだ適切な表現を知らないんだな」と好意的に受け取ってくれることを信じて、知っている英語を堂々と使ったらいいんです。
あなたが心配したようなことはほとんど起こらないし、大丈夫です。
ネイティブの本音をアメリカ人に聞いた

「失礼な英語」や「不自然な英語」を心配しすぎて話せなくなる読者さんのために、アメリカ人の夫に、本当のところを聞いてみました。
Sit down, please は本当に失礼?アメリカ人夫に聞いてみた
「自分の使った英語が失礼で相手を不快にさせたらどうしよう」って心配している英語学習者さんが多いんだけど、日本人に「Sit down, please」って言われたら、ムッとする?
マイクそうだね。ちょっと攻撃的な表現ではあるよね。ムッとする人は確かにいると思うよ。
あなただったら?
マイク僕は全然平気だよ。日本に住んでるネイティブなら、ほぼ問題ないと思う。一般的な日本人の英語レベルがよくわかってるから、そもそも高い期待をしてないからね。
でも、日本のことを全然知らずに、日本人はみんな英語が普通に話せると勘違いして日本に来た人だと、不快に思うかもしれない。
でも、普通の日本人が外国人にそう声をかけるシチュエーションを考えると、ニコニコしながら、歓迎している雰囲気で「お疲れでしょう、どうぞどうぞ!!」という気持ちで「Sit down」って言うに決まってると思う。
私が言いたいのは、「どういう英語表現を使うか」じゃなく「どういう気持ちでそれを言うか」がずっと大事ということなんだよね。
マイク確かにそうだね。言葉そのものが少々無礼でも、表情やジェスチャーに思いやりがあれば、好意的なこと、少なくとも悪気がないことは伝わるから。
とは言え、全員に受け入れられるのは無理だし、何にでもケチをつけたがる意地悪な人は常にいるから、仕方ない。それを心配してたらキリがないよね。
マイクでも、とても流暢な英語で「Sit down, please」って言ったら、相手を不快にする可能性はあるよ。
相手が自分に対して「英語の不自由な人」という認識じゃない場合、「さっさと座って」みたいに受け取られるかもしれない。
英語が流暢ということは、そういうニュアンスや使い分けも分かって言ってると相手は思うからね。
だから、「流暢」という認識をされるレベルに自分が到達しないうちは、「この表現は失礼かも」とか気にしなくていいってことだよね。
You’re welcome や My name is はどう思う?
「You’re welcome」は「当然だろ」という意味に聞こえるから使わない方がいい
という説については、私の夫は普通に使っています。職場のネイティブも普通に使っていました。
「My name is」は古臭くて使わない
という説については、夫の感覚では古臭いというよりは子供っぽく聞こえるとのことです。ネイティブの反応は人それぞれ。一つひとつを怖がりすぎなくて大丈夫です。
全部覚えようとしなくていい、ネイティブだって完璧じゃない
私は、「自分の英語で相手を不快にさせてるかも」という心配はあまりしていません。正確には、心配しないようにしています。
だって、世の中に存在する全部の丁寧な表現をマスターするなんて無理だし、どういう気持ちで言うかの方が大事だからです。
仮に、私たちが海外旅行に行ったら、現地の人がおかしな日本語や失礼な言葉を言っても、相手から悪意を感じなければ、怒ったりしないですよね?
私も、トルコのお土産屋さんで、日本が大好きという店員さんに「持ってけドロボー!」とニコニコしながら言われたことがあります。怒るどころか、笑いしか出ないですよね。
それに、ネイティブだって必ず正しい英語を話すわけじゃないし、英語がものすごく上手なスウェーデン人やオランダ人だって間違った英語を話すことはあります。
ネイティブだって完璧ではない。全部を覚えようとしなくていい。この言葉を、ぜひ胸に留めておいてください。
自然な英語が身につくまでの正しい順番

「自然な英語」を目指すあまり、話せなくなるのはもったいないです。かといって、自然な英語を身につけたい気持ちは大切にしたいですよね。
ここでは、自然な英語が身につくまでの正しい順番を、実践しやすい形でお伝えします。
まずは通じる英語を堂々と話す
最初の一歩は、片言でも単語をつなげて、堂々と話すことです。無理に背伸びをしてネイティブらしく話そうとしなくていいのです。
英会話が十分にできないうちから「ネイティブの表現」「自然な英語」にこだわる意味はありません。必要以上にネイティブ表現を使うことに注意を向けるより、まずは通じる英語をしっかり話せるようになりましょう。
ネイティブ表現は「理解」できれば十分、使うなら現場を目撃してから
ネイティブらしい表現を「使う」ことより先に、「理解できる」ことを優先しましょう。
話し相手が “it rings a bell(思い当たる節がある)”という表現を使うかもしれないし、映画・ドラマで出てくるかもしれません。だから、こういうネイティブ表現の意味を知っておくのは大切です。
とはいえ、「聞いて(読んで)意味がわかれば十分」と気楽に考えて大丈夫。自分が使うかどうかは別にして、知っておくに越したことはない、という程度でよいのです。
使うなら、その表現が実際に使われている現場を何度も目撃することが近道です。
例えば「Beats me.」(さあね、さっぱりわからない)という表現なら、映画やドラマのシーン、あるいは “beats me” で動画検索して、どんな場面でどんな表情・イントネーションで使われるかを「シチュエーションごと」インプットしましょう。
「Break a leg.」(頑張ってね、舞台に上がる人向け)も、知識としては知っていても、実際に使われている場面に遭遇して初めて、発音のアクセントや雰囲気まで分かります。
私も海外ドラマでそのシーンを見て、ようやく「こういう場面でこういう雰囲気で使うんだな」と腹落ちしました。
ここで大事なのが、インプットとアウトプットの差です。英語は、大量のインプットをして、そのほんの一部がアウトプットとして出てくるもの。
「聞いて(読んで)理解できる」英語と「自分の中から出せる」英語には大きな隔たりがあります。
ネイティブ表現をすべて「いざという時に使えるように訓練する」のは、ものすごい時間と労力がかかります。だから、まずは「理解できれば十分」です。
失礼な表現は知ったら直せばいい
「気にしない」「割り切る」とは、「最適な言い方を学ぶ意思がない」という意味ではありません。
私の場合、こういう言い方が丁寧だとか、この言い方は変に聞こえるといった情報をどこかで知ったり、誰かに指摘されたりしたら、「今後は言わないよう気をつけよう」とは考えます。
「知らないで(忘れてて)言ってしまった」ことは、悪気がないのだから仕方ない、だから気にしなくてOKというスタンスです。
あなたが仕事で外国人を相手にするなら、仕事で使う英語はある程度決まっているはずなので、最適な表現を何度も練習して対応するのがベストです。
事前準備で避けられる無礼は、避けたほうがいいに決まっていますからね。
でも、事前準備でカバーしきれなかった「とっさの場面」で多少失礼な表現を使ってしまったら、それは仕方ない。
あなたの真心が表情や態度から伝われば大丈夫なので、その可能性を心配しすぎないでください。
ある表現が失礼に聞こえると知ったなら、今後は違う言い方にすればいいだけ。「他にも失礼な表現を私は知らずに使っているんだろうか?」という心配はやめましょう。キリがありません。
ネイティブと話したりドラマを見たりするうちに、場面・相手ごとにふさわしい表現は、そのうち自然に身につきます。
フレーズ暗記より、応用がきく勉強を
英会話フレーズをたくさん暗記しても、話せるようにはなりません。
正確に言えば、そのフレーズにどんぴしゃの状況に限って使えるだけで、応用がきかない。ひとつひとつ覚えていても、キリがないからです。
応用がいくらでもきく「瞬間英作文」の方が、ずっと労力に見合った結果が出ると私は思っています。ネイティブ表現の丸暗記は、ほとんどの英語学習者には優先順位が低く、他にやるべきことが山ほどある。
まずは通じる英語を話す土台を作り、その上で、本当に使いたい表現だけ「現場を目撃してから」身につけていく。その順番がおすすめです。
瞬間英作文のやり方やおすすめ教材については、以下の記事で詳しく書いています。

まとめ
最後に、この記事でお伝えしたことを整理します。
✅ 「自然な英語」を目指すほど話せなくなる理由は、ギャップと「失礼かも」の心配
身の丈に合わないネイティブ表現はかえって違和感になる。覚えたフレーズを使うと驚かれたりする。さらに「失礼な英語」を心配しすぎると、何も言えなくなる。
✅ どういう気持ちで言うかが、言葉の選び方より大事
ネイティブの本音(アメリカ人夫に聞いた)では、日本に住むネイティブは日本人の英語レベルをわかっている。全部覚えよう・完璧に話そうとしなくていい。勇気と諦めを持って、知っている英語を堂々と使ってよい。
✅ 自然な英語が身につくまでの順番は、通じる英語→理解→使うなら現場を目撃
まずは片言でも堂々と話す。ネイティブ表現は「理解できれば十分」でよく、使うなら実際に使われている場面を何度も見てから。失礼な表現は知ったら直せばよく、それ以外は自然に身につく。
✅ フレーズ暗記より、応用がきく勉強を優先する
瞬間英作文など、汎用性の高い練習の方が、労力に見合った結果が出る。
間違いが怖くて話せないときは、「気持ちが伝われば大丈夫」「まず通じる英語を話すことから」を思い出してみてください!
あなたの心配するような事態は、ほぼほぼ起こりませんから。


