2017年9月20日
瞬間英作文で「英語を英語のまま理解する脳」はできる?効果的なトレーニングのコツ
エバンス愛

瞬間英作文って日本語を使うけど、大丈夫なのかな?
日本語を使うから、いつまでたっても「日本語で考えてしまう癖」が抜けなくなるのでは?
という心配をしている方も少なくないと思います。
私も、よくそういったメールをいただきます。
瞬間英作文というのは、日本語の文章を読んで(聞いて)それを英語に置き換えていくトレーニング法なので、常に日本語が頭の中にグルグルすることは避けられません。
「日本語を介して英語を勉強する癖をつけると良くない」というのはいろんなところで聞きますよね。
そう考えると・・・
「日本語から口頭で英作文をする方法で、ほんとにいいのかな?いつまでたっても日本語で考える癖が抜けなくなってしまうんじゃない?」
そういう疑問も、当然わいてきます。
瞬間英作文でトレーニングしても、最終的に日本語を経由する必要はなくなる
「瞬間英作文でトレーニングしていると、いつも日本語から訳す癖がついてしまう」そう心配している人は多いですが、実は、瞬間英作文でトレーニングしても、最終的には日本語を介して英語を発する必要がなくなるんです。
むしろ、そのトレーニングを効率よく進めるために、一時的に日本語を利用していると考えてください。
ここではまず、そもそも「英語を日本語を介さず英語のままで」とはどういう状態なのかそれについてお話ししていきます。
「英語を英語のままで理解する」とはどういうこと?
「英語を英語のままで理解する」って、経験したことがない人や、経験しているのかどうか自分で分からない人は「それって具体的にどういう状態?」って困ると思います。
そんな方のために、英語のままで理解するというのがどういうことなのか、ご説明しますね。
たとえば、次の英語が聞こえてきたとします。
これを聞いて、頭の中でこの英語を「処理する(理解する)」というのは、「彼女が上手にテニスをしている様子をありありと思い浮かべている状態」です。
あまり考えたこともないかもしれませんが、「相手の言ったことを(何語であろうと)理解した」というのは、その絵(イメージ)が頭にくっきり浮かんでいる状態です。
「絵」なので、それは日本語でも英語でもありません。
さて、上の英語を「理解する」場合、二通りのやり方があります。
1.英語を聞いてまず日本語で理解し、その後にイメージを思い浮かべる
2.英語を聞いてそれを英語のまま理解し、そのイメージを思い浮かべる
英語の初心者の場合は、1.英語を聞いてまず日本語で理解し、その後にイメージを思い浮かべるの方法で理解します。
でも、言うまでもありませんが、これだと時間がかかってしまいますよね?
だから、全ての英語学習者が目指すべきなのは、2.英語を聞いてそれを英語のまま理解し、そのイメージを思い浮かべるの状態です。
じゃあ、英語を「話す」ときの頭の中はどうなる?
話す時は、上の反対になります。
あなたは「彼女が颯爽とテニスをしている様子」を頭に思い浮かべていて、彼女がテニスが上手だという事実を相手に伝えたいと思っています。
1.彼女が颯爽とテニスをしている様子を思い浮かべ、そのまま英語にする
このように処理できるのが理想的です。
でも、もちろん最初はできませんので、実際は下のようになります。
2.言いたい内容をまず日本語に言語化し、それを英語に変換する
じゃあ、瞬間英作文をする時の頭の中はどうなっている?
ここで、改めて「瞬間英作文」について考えてみます。
瞬間英作文は、日本語の文章を読んで、それを英語にして口に出す練習法です。ということは、頭の中がこんな風になっている感じを想像するかもしれません。
つまり、絵(イメージ)がない状態です。
さらには、瞬間英作文に慣れていない場合は、こんなことになっている場合も少なくないと思います。
ええっとえっとぉ~・・・
何を隠そう、わたしはこんな状態でした。(恥)
要するに、頭の中で一個ずつ単語を翻訳していたんですね。
学校の英作文の授業みたいに、とにかく全部の日本語を英語に反映させようと頑張っている感じ。そして、翻訳に必死になるあまり、日本語の意味をちゃんと考えていないこともありました。
でも、この状態から抜け出さないことには、スムーズに英語が口から出てくる状態にはなりません。
瞬間英作文でも「絵」(映像)をイメージせよ!
瞬間英作文をする場合のコツとして、できるだけ、絵を思い浮かべるようにしてみてください。
そして、本に書いてある日本語を一語一句翻訳するのではなく、日本語を読んで頭に浮かんだイメージを英語に直すのだ、そういうつもりでやってみてください。
つまり、こういうことです。
「絵」から英語が出せるようになると、だんだんと日本語を介さずに英語が言えるようになってきます。
瞬間英作文で「日本語⇒イメージ⇒英語」という回路が強く太くなってきて、それに含まれた表現や単語、文法項目などが口になじんでくると、英語で話している時に、言いたいイメージがパッと「イメージ⇒英語」で直接英語に行けるようになります。
そして、なぜ瞬間英作文の練習が効果的なのかという秘密も、ここにあります。
「できるだけたくさんの種類の『絵』を思い浮かべて、それを英語に直す」
そういう訓練をするためです。
だから、瞬間英作文は、(中学・高校のような)「英作文」をするためにやってはいけません。
あくまでも、いろんなシチュエーションを頭の中でイメージするための手段として、日本語を使っているだけだと考えてください。
イメージを頭に思い浮かべてから英語に直すということに気をつければ、「いつまでも日本語を介する癖が抜けないのでは?」という不安は必要ありません。
「だったら、実際に絵を見ながらそれを英語に直せばいいじゃないか」
そういう意見もあるかと思いますが、(英検準1級の2次試験はまさにそんな感じですよね)そのやり方だと、自分の知っている表現や構文ばかり使うことになりかねません。
これはトレーニングですから、表現の幅を広げるためには、いろんなバリエーションを含んだ瞬間英作文は、とても効果的なんです。
瞬間英作文を続けていると、「私、こんな英語しゃべれたんだ!」というびっくり体験ができます。
瞬間英作文の効果を倍増するトレーニングのコツ
瞬間英作文の効果を倍増するトレーニングのコツ。
それは、先ほどお伝えした「イメージを使う」ということ、そして瞬間英作文は「正解はない」と思って取り組むことです。
お手本の英語は、何万通りもある「通じる表現」のたった一つでしかありません。だから、それと全く同じことを言う必要はありません。
現在、瞬間英作文の書籍やYouCanSpeakなどを使って瞬間英作文に取り組んでいらっしゃる方も多いと思いますが、「この英語でも同じ意味だし、ちゃんと通じるはず」とあなたが判断できる限り、お手本の英語と違っていても大丈夫です!
「この英語では通じないだろう」と自分で明らかに分かる場合、また、「これで通じるのか見当もつかない」という人だけ、お手本の英語を参考にして言い直してください。
英会話に「正解」はありません。
これを覚えておいていただけると、気持ちが楽になります。
むしろ、完璧に言おうと思ってお手本をまるごと暗記してしまうと、瞬間英作文の意味がなくなってしまいます。
暗記していいのは、熟語と慣用表現まで。
単語や熟語を組み合わせて文章を作っていく過程は、暗記に頼らないからこそ、いろんな場面で応用できるようになります。
だから、お手本と全然違う表現になっても、お手本のようなこなれた熟語や慣用表現が使えなくても、「ああ、私はまだまだだわ」なんて決して落ち込まないでくださいね。
確かに、文法的に間違いのない英語を言う方が、間違いだらけよりはいいです。
また、ネイティブらしい表現も、言えないより言えた方がいいです。
でも、「瞬間」英作文ですから、瞬間的に英語を口に出そうとするとどうしても直訳的になってしまったり、簡単な文法のミスをしてしまったりします。
そして、そこを「あーダメだった」と気にしすぎると、なかなか英語が話せるようになりません。
覚えておいてくださいね。
文法のミスが全くない、またネイティブらしい英語を目指すのはまずは英語で言いたいことがすぐに言えるようになってからです。
最初は「明らかに間違いだと分かるのに、それがつい口から出てしまう」という経験を誰でもします。それは会話に慣れていないことが原因ですから、「まだまだダメだな」と落ち込んだりする必要はありません。
私は、文法ミスやネイティブ表現へのこだわりを捨ててから、日本語と同じように英語が口から出始めました。
最初は、どうしても頭の中で英作文を文章の終わりまでやってから英語を話そうとしていました。だから、時間はかかるし、一つ一つの日本語にとらわれてしまっていました。
それが、「正解はない。相手に通じる英語なら大丈夫」と方針を変えてから、英語が出るスピードがどんどん早くなっていきました。
今は、日本語を話す時と同じように、英語を話し始めると同時にその後をどう続けていくかを考えています。
日本語だと、「何て言おうかな」と文章の終わりまで考えて話し始める人は(日本語ネイティブなら)いないと思いますが、英語でも今は全く同じになりました。
瞬間英作文を続けていって、英語を口に出すという訓練を続けていけば、心配しなくても、明らかな文法ミスなどはどんどん減ってきます。
なので、瞬間英作文をするときは
1.頭にその日本語のイメージを思い浮かべながら行う
2.英会話に正解はないと思って取り組む
この2つを頭に置いてやってみてくださいね!
瞬間英作文の具体的なやり方、使う教材についてはこちら。