ビジネスレベルの英語力ってどの程度?習得にかかる時間は?
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ビジネスレベルの英語力ってどの程度?習得にかかる時間は?

エバンス愛

※当ブログ記事には、広告が含まれます。

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よく、企業の採用条件で「ビジネスレベルの英語力」とかって書いてあったりしますよね。「ビジネス英会話を身につけたいです」っていうメールも、私はよくいただきます。

でも、よく考えてみたら、ビジネスレベルの英語力とか、ビジネス英会話とかって、具体的にどういうレベルか分かりにくいですよね?

このページでは、ビジネスレベルの英語って一体何を指すのか、考えてみたいと思います。

 

「ビジネスレベルの英語力」ってどのくらい?

 

「ビジネス英会話」「ビジネスレベルの英語」ってよく聞きますけど、TOEICみたいな数字で出る指標と違って、具体的にどういうレベルかというはっきりした定義はありません。

あえて言うとすれば、「ビジネスの場でコミュニケーションが取れ、業務上必要最低限のことが自力でできる」という感じになります。

 

「業務上必要最低限のことができる」というレベルを強引にTOEICの点数で表すとしたら、最低でもTOEIC800点以上が目安になると思います。

「1日に何時間勉強すれば英語が上達し、どのくらいのレベルになるか」という記事を書いた時に、TOEIC800点を「英語を使って仕事をしたい人の最低ライン」として挙げました。詳しくはこちらをどうぞ。

1日に何時間勉強すれば英語が上達しますか?に対する通訳翻訳者の答え

 

ただし、TOEIC800点程度では、英文メールのやりとりや簡単な会話に限られます。メールはゆっくり考えて書けば普通に書くことができ、相手からのメールも理解できるレベルです。

でも、英語で行われる会議に出席し、内容を理解し、意見を述べることができるには、TOEIC800点では足りません。(もちろん、個人差はあります。)

通訳として勤めてきた私の経験から言うと、日本人が英語会議に出席する場合、TOEIC800点レベルの出席者が意見を述べたり質問に答えたりするときに「通訳は不要」というケースはほぼありませんでした。

 

英語会議に出席して、その内容が分かり、自分の言いたいことが発言できるとなると、TOEIC900点を遥かに超えるレベルが必要です。

TOEIC900点を「遥かに超える」レベルとは、950点とか990点とかを意味するのではありません。「TOEICなんかで自分の英語力を測る時期は、とっくに過ぎた」というレベルです。

 

仕事が支障なく行えるビジネス英会話力とは?

じゃあ、

・英語会議の内容が理解でき
・発言もでき
・質疑応答も対応できる

という、「仕事で必要なことは英語でだいたい何でもできる」というレベルになるには、どのくらい習得に時間がかかるのでしょう?

 

英語が母国語の人が「ビジネス日本語会話力」を身につけるのに必要な学習時間がどのくらいか? という面白いデータがありますので、それを参考に考えてみましょう。

アメリカ国務省の外交官を養成する語学研修所(Foreign Service Institute’s School of Language Studies)によると、英語を母国語とするアメリカ人が、日本語で「Professional Working proficiency(業務に支障のない習熟度)」に達するのにかかる学習時間は、約2200時間とされています。

 

詳しくはこちらのページに書いてありますので、読んでみてください。

英会話の習得にかかる時間の目安はどのくらい?【毎日の勉強時間別で必要な年数も掲載】

 

英語が母国語のアメリカ人が「ビジネス日本語」を習得するのに必要な時間が2200時間とすれば、その逆の日本人がビジネス英語を習得するのにも2200時間かかると言っても、それほど的外れではないと思います。

 

ただし、2200時間というのは、この語学研修所の授業時間なので、それ以外の自習時間は含まれません。また、外交官になるようなエリートがきっちりしたカリキュラムに沿って勉強して2200時間なので、私たち普通の人が独学で手探りでやるとなると、もっと時間がかかると考えられます。

とは言え、外交官が仕事で支障のないレベルにまでならなくても、仕事に必要な最低限のことができるようになれば、とりあえずはいいですよね。それに必要な勉強時間は、大まかな目安ですが、だいたい3000時間くらいかなと思います。

1日に何時間勉強すれば英語が上達しますか?に対する通訳翻訳者の答えに書いたように、TOEIC900点程度の英語力を身につけるための勉強時間の目安が2000時間なので、3000時間はその1.5倍です。

 

3000時間の勉強時間というと、これから英語学習をスタートする平均的な人が毎日3時間勉強したとして、3年かかる計算です。平日に2時間しかできなければ、6年です。平日1時間なら、12年です。

結構大変だな〜と思うかもしれませんが、これは机に向かっての勉強時間ではありません。社会人で、毎日3時間も机で勉強できる人なんて、ほとんどいませんからね。

そうではなく、通勤時間などをうまく利用して「ながら聞き」を増やすことで、達成可能です。私もそのように英語の勉強時間を工夫して確保してきました。

 

ながら聞きで勉強時間を増やす方法については、こちらの記事も参考にしてくださいね。

英語の勉強する時間がない人集合!誰でも毎日1時間確保できる方法

 

レベルごとにまとめてみると、個人差は当然ありますが、

TOEIC800点程度(学習時間目安1000時間)
→ 英文メールの読み書きは大丈夫だけど、英語会議はちょっと厳しい

TOEIC900点程度(学習時間目安2000時間)
→ 少し込み入ったメールのやりとりや、一対一の会話ならだいたい大丈夫

ビジネスレベル(学習時間目安3000時間)
→ 準備がきちんとできていれば、英語会議もなんとか大丈夫

という感じになるかと思います。

 

英語ノンネイティブのビジネス英語レベル

ビジネス英語

 

「ビジネス英語」というと、すごく特別なイメージがあったり、普通の英語とは全然違うものなんじゃないかという勘違いをしている人がいます。

また、ネイティブらしい英語表現をたくさん身につけないとダメなんじゃないかと思っている人もいます。

 

でも、「ビジネス英語」というのは日常の英語とそれほど違うわけではなく、ビジネスシーンで決まった表現などが多少はあるものの、使う文法などは普通の英語と変わりません。

日本語でも、ビジネスで使う日本語と日常日本語がどう違うか考えたら、分かりますよね。「ご査収ください」など、普段の家族や友達に対する日本語では使わない表現がありますし、「相見積もり」など業界ごとの用語もあります。でも、それ以外は普通の日本語と一緒です。

 

「普通に仕事で通じる英語」が使えることが優先なのであれば、「ネイティブ表現」や「完璧な英語」にたくさんの時間を割くのはもったいないです。

「ネイティブのように話せて初めて一人前」という妙な思い込みを持った英語学習者が多いので、そういう方々に勇気を与えるために(?)ここで私の職場にいた「ノンネイティブ英語話者」の話をしてみたいと思います。

 

中国人、韓国人、フランス人の英語スピーカーの場合

私の職場には、中国人、韓国人、フランス人など、英語のネイティブではないけれども英語を使う人がいました。自分の国で生まれ育ち、母国語で教育を受け、英語は外国語として学び、その後日本に来た人たちです。

アメリカ留学を経て日本に来た人が多かったので、英語はみんな仕事に十分なレベルには話せました。私の職場には中国語や韓国語などの通訳はいなかったので、彼らにつくのは私たち英語の通訳です。

 

英語で文書を書け、会議では発言も質疑応答もできる彼らですが、アメリカ人の英語とはかなり違う英語を話していました。発音も独特で、みんなそれぞれ強い訛りがあります。

文法の間違いも常にあります。三人称のSを忘れていることなど、しょっちゅうです。ネイティブらしいフレーズも、ほとんど使いません。

 

でも、ちゃんと英語で仕事をしているし、言いたいことをスラスラと言って意見を伝えられるし、英語のプレゼンも質疑応答も当然できるし、英語のコミュニケーションに関しては全く問題ありません。

彼らの英語について苦情を言ったり、笑ったりするネイティブは、一人もいません。

彼らも「自分は英語ネイティブじゃないから・・・」なんて気後れは見せないし、実際にそんな卑屈な感情を全く持っていないようでした。

 

日本人のノンネイティブ英語スピーカーの場合

また、英語がペラペラの日本人男性も二人いました。

二人とも普通に日本生まれの日本育ち、日本の大学を卒業していますが、海外で長く働いた経験があったり、また日本でも常に英語が必要な環境で働いているので、英語は全く何の苦労もなく使えるようになった人たちです。

ですが、二人とも、発音はコテコテのジャパニーズイングリッシュです。彼らも、よくよく聞いていると小さな文法の間違いは多いです。

 

でも、英語ネイティブと対等に会話ができるし、ジョークも言い合えるし、難しい交渉も、即興の英語プレゼンも、何でもできます。もちろん、訛りをバカにされたり「あなたの英語は聞き取りにくい」なんて苦情が出たりしたことは一度もないです。

英語が分からない日本人がいる会議では日本語で発言して、私たち通訳を使いますが(仕方なく)、通訳の立場としてははっきり言って通訳するのが恥ずかしいレベルでした。

しかも、通訳の英語もバッチリ聞いてチェックしているので、「そうは言ってない!」と注意されたり、通訳の英語が気に入らないと「私が言いたかったのはこういうことなんですよ」と自分で英語でペラペラ言い直して通訳のメンツは丸潰れ、なんてこともよくありました。(苦笑)

 

彼らは「ビジネス英会話」の中でもかなりハイレベルな英語を使いこなす人たちでしたが、それでも私は、彼らが「これはネイティブらしいかっこいい表現だな〜」みたいな表現を使うのをほぼ聞いたことがありません。いわゆる敬語(丁寧な英語表現)も、あまり使いません。結構直接的な表現です。

いつも、分かりやすい「日本人らしい英語」で話していました。

 

訛りがあっても大丈夫。ネイティブを目指す必要は全くない

いかがでしょうか。「ビジネスレベルの英会話力を持っている人でも、文法は普通に間違うし、訛りもあるのか」って拍子抜けしたのではないでしょうか?

そうなんです。私たちはなぜか、そんな必要は一切ないのに、「ネイティブを目指す」ように英語教育業界に動かされてきたんです。「ビジネスレベルを目指すなら、できるだけネイティブに近づかないといけない」と。

だから、「ビジネス現場での訛りは恥ずかしいから、きれいな発音を身につけなければ」とか、「ネイティブがよく使うかっこいいフレーズを自分も使えるようにならなければ」とか、仕事に使えればよかったはずが、努力がおかしな方向に向いているんです。

もちろん、発音はきれいならそれに越したことはないですが、相手に大きなストレスなく理解してもらえる英語でさえあれば、訛りなんて気にしなくていいんです。

 

たとえば、日本で有名な非ネイティブのビジネスパーソンと言えば、最近の逃亡劇でお騒がせのカルロス・ゴーンさんです。

調べてみたところ、ご両親はレバノン人、ブラジルで生まれ育ち、高校から社会人までフランスだったようですが、彼の英語を聞いてみると、訛りはアラビア語、ポルトガル語、フランス語の影響が混じっているようです。一番強く出ているのはポルトガル語のようですが、フランス語訛りもところどころ聞こえます。

いずれにせよ、英語ネイティブではありません。主張がはっきりしていて、単語もシンプルでわかりやすい英語です。

せっかくなので、ジャパニーズアクセントのホリエモンとの対談をどうぞ。

 

こんな感じで、世界が注目する大企業の社長(当時)が、メディアで堂々と訛りのある英語を披露しているわけです。

日本語訛りの英語を恥ずかしがって話したがらない日本人は多いですが、訛りのある英語は「味がある」とネイティブに思われています。場合によってはセクシーでさえあるんですよ。詳しくはこちらの記事に書きました。

英語を話すのが恥ずかしい?自信を持って話すために事前にやるべき5つのこと

 

間違っている人が多いですが、英語とは、「ネイティブと話をするための道具」ではありません。

英語を話す全世界の人とコミュニケーションを取るための道具です。

これ、忘れてませんでしたか?

 

英語を母国語として話す人(ネイティブスピーカー)は、世界で5億人です。そして、英語を第2言語(外国語ではない)として使っている人口が4億人です。フィリピンなど、英語で高等教育が行われているようなところですね。

それに対し、英語を「外国語として」使う人は、私たち日本人や、同僚のフランス人、中国人を含め10億人以上います。

 

いかがでしょうか?英語は、「外国語として」使っている人が圧倒的に多いのです。

私の職場にいた非ネイティブの英語スピーカーだって、仕事は問題なくこなせる高い英語力がありますが、私たちが気の利いたネイティブ表現を知らないのと同じように、彼らもネイティブの使うこなれた言い回しの意味を知らないかもしれないのです。

 

ネイティブ表現を使うことの落とし穴について、こちらに書きました。

ネイティブらしい英語表現の落とし穴!自然に使えるようになるには?

 

上の記事で、「Beats me.(さっぱり分からない)」「Break a leg.(頑張ってね)」というネイティブ表現をご紹介しました。でも、こういう表現を、世界の英語スピーカーがみんな知っていると思ったら大間違いです。

というか、私の同僚の非ネイティブ英語スピーカーはみんな英語が流暢でしたが、ほぼ確信を持って「知らないだろう」と言えます。

 

繰り返しますが、英語とは英語を話す全世界の人とコミュニケーションを取るための道具です。ネイティブのためだけの言葉ではなく、多国籍の人が共通で使える「国際語」なのです。

だから、ネイティブらしいかどうかより「分かりやすいか」「誤解なく通じるかどうか」がずっと大切です。

 

 

ビジネス英語を身につけるためにやるべきこと

ビジネス英語と言っても、日常英語と何かが大きく違うわけではありません。基本的な英語の土台は同じです。

まずはその土台をしっかり固めて、その後、自分の仕事や活躍したい分野で必要となる専門用語や、丁寧なメール表現、会議でよく使う表現などを覚えていけばいいです。

 

私自身は駆け出し通訳時代、自分の会社の会議でよく使う表現をまとめて、それを覚えたりしていました。実際に私が2009年頃に使っていた自作ビジネス英会話表現集が、以下です。

通訳用語集

 

上記は会議の表現集ですが、このエクセルファイルの別シートには、私の仕事で使う専門用語集なども入っています。

 

基本的な英語力が不足している状態でこういった表現集を使っても、丸暗記するしかないので負担が大きい割に応用がきかず、あまり好ましくありません。

なので、基本的な英語力をしっかり固めた上で、あなたの仕事に直結した用語や表現を覚えていけばいいです。また、「ビジネスシーンで使う英会話」みたいな本もたくさん出ていますので、そういった本を参考にして、ビジネス英会話表現がすらっと出てくるように訓練するのもいいでしょう。

 

まとめ

ビジネスレベルの英会話ができることと、ネイティブらしい英語が使えることは全く別です。訛りのなさやネイティブらしさの追求は、優先度はかなり低いです!

ネイティブらしい表現が使えなくとも、訛りがあっても、ビジネスマンとして英語をバリバリ使って活躍することは可能です。ビジネスで使える英語を身につけたいなら、基本的な英語の土台を身につけた上で、必要な用語や表現を覚えていきましょう。

 

以上、ビジネスレベルの英語力とはどのくらいのレベルなのか、習得にどれほどの時間がかかるのか、またビジネス英語を身につけるにはどうしたらいいのかという話をしました。参考になったら幸いです!

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Ai Evansエバンス愛

独学で英語を学び、国際機関で通訳者を8年経験したのち、独立。本物の英語力を身につけ、大和魂を海外に発信できる国際人を育てることが目標です。
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