英会話のリスニングでスクリプト通りに聞き取れない現象を解説するよ!
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英会話のリスニングでスクリプト通りに聞き取れない現象を解説するよ!

エバンス愛

※当ブログ記事には、広告が含まれます。

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英語が聞き取れなくてスクリプトを確認したら、「え、絶対こんなんちゃうかったやん!こんなん100パー言うてないやん!」ってなること、ありませんか?

何度聞いても、スクリプトを見ながら英語を聞き直してみても、どうしてもそう言っているようには聞こえない・・・

いつか私はこの状態を脱出できるんだろうか?一体いつになったら、英会話が一語一句聞き取れるようになるんだろうか?

 

このページでは、スクリプト通りに英語の音が聞こえないのはなぜなのか、どうしたら英語の音がちゃんと聞き取れるようになるのかを徹底解説します。

・リスニングが伸び悩んでいる
・リスニングをどう勉強していいかわからない
・何度聞いてもどうしても聞き取れないところがある

こんな方は、きっと、「なんだ!スクリプト通りに聞こえないのはこういうことだったのか!」とスッキリすると思います。

 

英語がスクリプト通りに聞こえない原因は「音の変化」

英語を聞いてスクリプトを確認したら、どう聞いてもそう言っているようには聞こえない・・・という現象は、特に海外ドラマやネイティブの会話で起こりやすいです。その理由は、「音が変化している」からです。くだけた会話では、特に変化しやすいです。

 

TOEIC900点という高得点の学習者さんから、こんなご相談をいただいたことがあります。

You and your team fly there and you might spend all night preparing your presentation for a deal worth several billion.

スクリプトで内容は確認できますが、耳がついていけてないところは何回聞いてもすんなり入ってきません。この worth が聞き取れないんです(泣)スクリプトを確認して、耳をダンボにして待ち構えても入ってこないんです。

 

スクリプトを見ながら何回も聞いているにも関わらず、worthがどうしても聞き取れないというご相談です。「英語の文字と音が一致しない」という悩みは、この方のように英語力の高い方でも多くの人が感じたことがあると思います。

 

さて、この方のリスニング力にかかわらず、「うん、この”worth”はほぼ聞き取れないだろうな」というのは想像つきます。

worthの前がdealで、この単語の発音は【でぃーる】ではなく【でぃう】みたいな音です。その【う】とworthの【わ(こもった音)】がくっつきますので、単語の始まりははっきりしません。そして、【す(th)】は後ろのseveralの「s」の音とくっつきます。単語の終わりもはっきりしません。しかも、worthは一音節の短い単語です。従って、worthはほぼ聞き取り不能と言って差し支えありません。

英語では、こんな感じで音がくっついて変化し、本来の発音ではなくなってしまうことが本当によくあります。

 

というわけで、「何回聞いても聞き取れないんです(泣)」というお悩みへの答えは、

「はい、私もほとんど聞こえませんよ。聞こえなくて大丈夫です

ってことになります。

 

「いやいや、聞こえなかったら困るじゃん!!聞こえないのにどうやって理解するの?」と思いますよね。聞こえなくても大丈夫とどうして私が断言できるのか、そのカラクリをご説明します。

 

日本語にだって「え、そんなん100パー言うてないやん」はある!

実は、音が変化するというのはなにも英語特有の現象ではなく、日本語でも起きます。普段はそんなこと意識していないと思いますが、ちょうどよい例があるので、お話しします。

 

ある日、スラムダンクを動画で見ていた夫(アメリカ人)に「『ケンカガタイ』って何?」と聞かれました。

ケンカガタイ?
ケンカ難い?固い?

と意味が分からなかったので、そのシーンを見せてもらうと、こういうシーンでした。

電車の中で、一人のチンピラが武勇伝を友達に自慢げに語っている。「それで、俺はそいつに言ってやったんだよ。『喧嘩はガタイじゃねぇんだよ』ってな」。

その時、ものすごいガタイの眼光鋭い高校生たち(桜木、赤木、流川)が電車に乗ってくる。チンピラたちは、さっきまでの威勢はどこへやら、そーっと逃げるように桜木たちに道をゆずる・・・

 

私は夫に「ああ、『喧嘩はガタイじゃねぇんだよ』って言ってるよ」と言いました。すると夫は「ええっ!『は』なんか全然聞こえない!」とショックを受けていました。

それで、ああ、これって英語と同じ現象じゃないか!と気づきました。

 

不良たちが言っている「喧嘩はガタイじゃねぇんだよ」は、チンピラ言葉特有のけだるい話し方です。忠実に文字にすると

けんかぁガタイじゃねぇんだよ」

という感じ。けんか「わ」とは発音していなくて、「ぁ」とかろうじて聞こえるかどうかです。夫には「ケンカガタイ」と聞こえても全く不思議はありません。

 

そうなんです。チンピラは 、明らかに「けんか『は』ガタイじゃねぇんだよ」とは言ってないんです。外国人の夫からしたら、「え、そんなんちゃうかったやん!100パー言うてないやん!」なわけです。

でも、日本語ネイティブの私たちには、ちゃんとその「は」が聞こえるんですね。というか、物理的に聞こえてはいないのだけど、心の耳でその「は」が聞こえるとでも言った方が正しいでしょうか。

 

なぜ、私たちには「は」が聞こえるのでしょう?

それは、「けんかがたいじゃねぇんだよ」とか「けんかーがたいじゃねぇんだよ」という言い方は日本語には存在しないと知っているからです。「けんかはがたい」とならなければ文法的におかしいというルールが分かっているからなんですね。

 

それを、私の夫がそのシーンを何回も何回も巻き戻して「は」が聞き取れるようになるまでトレーニングしたらどうなるでしょうか?「喧嘩は」って聞き取れるようになると思いますか?

・・・ならないですよね。だって、しつこいようですが「喧嘩は」って言ってないんだから。

 

私が何を言いたいか、もうお分かりですね。これは、英語でも全く同じなんです。全部スクリプト通りに聞こえなくていいんです。というか、聞こえないのが当たり前です。

生きた英語では、ニュースでもない限り、誰もくっきりはっきり話してなんかいません。あなたの耳が悪いから聞こえないんじゃないんです。

 

ネイティブでも物理的に聞き取れない音はある

悩む女性

 

ところで、ネイティブの人でも物理的に聞き取るのが難しい英語に「can」「can’t」の違いがあります。

「’t」という発音は、話者が強調している場合を除いて「トゥ」とはっきり聞こえることはほぼありません。特に、文章がそこで終わらずに続く場合、ほとんど聞こえません。

だから、「can」「can’t」という単語そのものを聞き比べても、音声的にはほとんど違いがないことが多いのです。

 

どうやって違いを判断するかというと、それは音ではなく「状況」です。

「できる」と言っているのか「できない」と言っているのか、話の流れ、対面なら話者の表情やジェスチャーなど(顔をしかめる、首を縦に振る、肩をすくめる、など)状況で判断でできることが多いですよね。

状況から明らかではない場合は、ネイティブでも「”can” or “can’t”?」と発言者に質問します。私の職場でもよくあった光景です。

 

あとは、「’ve」などもほぼ聞こえないです。普通にネイティブスピードで話している英語では「ヴ」とはっきり聞こえることはまずありません。

でも、「I seen him before.」と聞こえる場合、平叙文なら「I seen」は文法的にありえないので「I’ve seen」だなと分かるわけです。

で、そこに「’ve」があると知った上で聞いてみると、かすかにそこで「ヴ」と口が動きかけている「気配」が感じられるとかちょっと息が止まっているような瞬間があるのがかすかに聞こえるとか、そんなもんなのです。

 

つまり、文法の知識のおかげでそこに「’ve」が隠れているのだなと分かるだけであって、「ve」という、実際はほぼ聞こえない音が聞こえるようになるための耳のトレーニングとか特別な方法が必要なわけではないのです。

 

音の「省エネ」現象

どうして、こんな風に音が聞こえなくなってしまうんでしょうか?

先ほどの「けんかはガタイじゃねぇんだよ」の「は」が物理的には聞こえない理由は、けん「か」「は」「が」たい・・・と全部ア音で仲良しなので、くっつきやすいからなんです。

前後が似たような音なのに、あえて「ワ」としっかり発音をするのが面倒くさいんです。だから、音の省エネが起こっています。

 

ほかにも、こんなのもあります。

・「置いておく」→「置いとく」
・「なにか」→「なんか」
・「そう思います」→「そーもいます」
(あえて文字にするなら)

 

英語でも、Let it goは「レットイットゴー」ではありません。Letとitの「t」をしっかり発音をするのが面倒くさい。だから、省エネで「レリゴー」になります。should haveは「シュドハブ」じゃなく「シュダ」になります。

私たちは、日常的にこの音の省エネで発音しています。アナウンサーなどきっちりした発音が求められる人でなければ、みんなこうやって省エネしているんです。

 

英語リスニングに必要なのは「推測」

夕焼け

先ほどのworthの解説に戻ります。

You and your team fly there and you might spend all night preparing your presentation for a deal worth several billion.

 

このworthは、聞き取れなくても全く問題ない単語です。聞き取れなくても、後ろに金額と想像がつく単語がありますし、dealなんていう単語もあります。だから、そのあたりが聞き取れていれば、worthが聞き取れるかどうかは関係なく、この文章の意味は理解できます

そして、かろうじて聞こえるか聞こえないかの「ゎ」が文脈からworthであると推測することだって可能です。

 

じゃあ、推測する力ってどうやったら身につくんでしょうか? どうして聞き取れないところがあるのに、ちゃんと意味がつかめるんでしょうか?

 

会議で日本語の発言が聞き取れないハプニング!

この推測の力についてわかりやすくご説明するため、私たちが日本語の聞き取れないところをどうやって推測しているか、ある日の通訳の現場での出来事を例にお話しします。

 

私は通訳としてある会議に出席していました。日本人が日本語で発言をしたのですが、テレビ会議だったので電波状況が悪く、音声が不明瞭だった上に、その男性は年配だし滑舌の悪い人なので、何を言ってるか聞き取れない部分がかなりありました。

これが外国人の発言だったら、「ああ、聞き取れない!聞き逃したところに大事な情報があったら、どうしよう?私のリスニング力はまだまだだ・・・」と焦ってパニックになっていたかもしれません。

でも、その時の私は至って落ち着いていました。全部は聞き取れないけど、言いたいことは分かったからです。英語への通訳も問題なくできました。

 

ちょっと想像してみてください。

仮に、会議の話題が東京へのオリンピック誘致だったとして、その日本人が、こう言ったとします。

「日本は不景気だし財源がなくて・・・(音声不明瞭)のに、オリンピックなんて・・・(音声不明瞭)」

この音声不明瞭のところ、想像してみてください。さてこの部長は、オリンピック誘致に賛成なのでしょうか?反対なのでしょうか?

 

・・・どう考えても反対ですよね?

「日本は不景気だし財源がなくて大変な時なのに、オリンピックなんてやっている場合ではない!」

とかなんとか、そんな感じだと想像がついたと思います。つまり、100%聞き取れなくても理解は十分成立するのです。

 

100%聞き取れていないのになぜ理解がきちんと成立するのでしょうか?それは、推測と経験で補っているからです。「推測と経験」というのは、

・文法の知識
・単語・熟語の知識
・構文の知識
・よく使われるフレーズ・会話パターンの知識
・その話題や状況についての知識(話の流れ、文化的背景など)
・話者についての知識(性格、ポジション、口癖など)

などによって成り立っています。

 

「オリンピックなんて・・・」という言葉のあとに肯定的な言葉がくるのか否定的な言葉がくるのか、普通の日本人だったら、感覚で分かります。

「~なんて」という言葉の後ろに来るのってどんな言葉ですか?「ありえない!」「もってのほかだ!」「大反対だ!」など、普通は否定的な言葉ですよね?

「オリンピックなんて絶対やるべきだ!」とか「オリンピックなんて日本を元気にするために必要だ!」とかいう日本語は、不自然です。

 

そうやって、日本語の文法や構文の知識を私たちは知らず知らずのうちに頭の中でフル回転させて、聞こえないところを補って、きちんと理解しているんです。

聞き取れた単語から、文法や構文の知識をもとに周りの不明瞭な部分を補い、また背景知識や状況、文脈から想像し、そこから「ということは、こういうことを言ってるんだな」と文全体を推測しているにすぎないんです。

だから、英語も同じことができるようになれば、物理的に聞き取れない部分があっても、ちゃんと推測で補って理解することができるというわけです。

 

「聞こえた音 + 聞こえない部分の推測 = 理解」

ほとんどの日本人は、英語に対して「聞こえた音 = 理解」という幻想を抱いています。でも、こうじゃないんです。「聞こえた音 + 聞こえない部分の推測 = 理解」なんです。

物理的に聞き取れるかどうかよりも、正しく推測できる構文力や理解力があるかどうかが重要なんですね。

 

つまり、文法、単語・熟語の知識、構文の知識、よく使われるフレーズ・会話パターンの知識などを身に付ければ、おのずとリスニング力は上がります。全部は聞き取れない文章であっても、推測で補ってディクテーションも正しくできるようになります。

「こういう文章の流れだと次はこうなるはずだ」「文法的に正しくなるためにはここにこれが必要だ」ということを一瞬で判断できているからこそ、英語が推測でも正しく聞き取れる。

なので、聞き取れない音に対して過剰に執着しないようにしてください。

 

これからたくさんの英語に触れることで

・正しい英語(文法、構文などの知識)
・自然な英語(よく使われるフレーズ、熟語など)

の引き出しを増やしていくことによって「推測」できる領域を広げていくことです。なので、あなたが英会話のリスニングが正しくできるようになるためにやるべきことは

・単語、熟語、よく使われるネイティブ表現の習得
・文法と構文の知識を固めること
・たくさんのインプットによる英語脳内データベースの構築

です。

 

「聞こえない音をしつこく何度も何度もリピートして聞く」という苦行をしている方がたくさんいますが、10回聞いて聞こえない英語は100回聞いても聞こえません。

それより、数回で諦めてスクリプトをすぐに確認して、単語を知らないから聞き取れなかったのか、構文のせいなのか、日本人には背景知識のないジョークだったからなのか、それを分析して弱点を強化するほうがよっぽど効果があります。

英語のすべての音を「物理的に」聞き取れることを目指すのではなく(無理!)、たくさんの英語をインプットして英語らしい表現感覚を養い、聞き取れなかった部分を正しく推測する力をつけましょう。

 

英語がスクリプト通りに聞こえない現象のまとめ

いかがだったでしょうか?

「一語一句聞き取れないといけない!」
「一語一句聞き取れるまでは自分は一人前ではない!」

と自分に厳しくするのは、今日でおしまいにしてくださいね。一語一句聞き取れる必要なんてないんです。全てを一語一句聞き取ってる人なんていないんですから。

 

私たち通訳のような英語のプロであっても、ネイティブであっても、全てを100%聞き取っているなんてことはなく、推測と経験で補っているんです。

「こういう文章の流れだと次はこうなるはずだ」「文法的に正しくなるためにはここにこれが必要だ」ということを一瞬で判断できているからこそ、英語が推測でも正しく聞き取れるんですね。

なので、聞き取れない音に対して過剰に執着しないようにしてください。

 

それよりも重要なのは、

・正しい英語(文法、構文などの知識)
・自然な英語(よく使われるフレーズ、熟語など)

の引き出しを増やしていくことによって「推測」できる領域を広げていくことです。

 

というわけで、お役に立ったら幸いです。リスニングの勉強法については、このページにまとめていますので、あわせて読んでみてくださいね。

英語がぐんぐん聞き取れるようになる!リスニングのコツと練習方法

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Ai Evansエバンス愛

独学で英語を学び、国際機関で通訳者を8年経験したのち、独立。本物の英語力を身につけ、大和魂を海外に発信できる国際人を育てることが目標です。
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