翻訳者に必要な英語力はどれくらい?年収や仕事の見つけ方
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翻訳者に必要な英語力はどれくらい?年収や仕事の見つけ方

エバンス愛

※当ブログ記事には、広告が含まれます。

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私がいただくメールで最も多いのが、「将来は翻訳者になりたいんです」というメッセージです。

自宅でフリーランスとして活動できるというメリットから、特にお子さんのいる女性に人気の職業です。小説の翻訳から機械の仕様書の翻訳まで内容が多岐にわたり、専門性や興味に応じて仕事を受けることができ、自分のペースで仕事をすることができるのが魅力です。

 

翻訳(実務翻訳・産業翻訳)の特徴

難易度 ★★~★★★★  分野によって簡単なものから高い専門性が必要なものまで
求人数 ★★       企業内勤務の翻訳は地方でも時々ある。在宅勤務も可能
お給料 ★~★★★★   就業形態や専門性、個人の作業スピードによってまちまち

(★は5つが最高。私の完全な独断と偏見によるものですので、ご了承ください。)

 

<良いところ>

・一番のメリットは、何といっても「在宅勤務」という選択肢があること。
・フリーランスなら自分でスケジュールがある程度好きに立てられ、定年もない。
・専門分野を持っていれば、英語力と専門性を両方活かすことができる。
・語学のセンスの有無より、日々の努力と経験の積み重ねが実を結びやすい。

<悪いところ>

・高度な英語力・日本語力と技術が必要な専門職の割には、報酬が低め?
・多くの人が憧れる文芸・映像翻訳は、非常に狭き門。
・一人での作業が基本なので自己管理が難しく、締切に追われると苦しい。運動不足。
・翻訳支援ツール等が一般的になりつつあり、翻訳単価はどんどん低下中。

<向いている人>

・高い日本語能力があり、言語や語法に強い興味とこだわりがある人。
・高いリサーチ能力がある人。あらゆる手段で欲しい情報を得ることができる人。
・PCスキルが高い人(英語だけでなくPC技術の習得を続けないと今後は厳しい)
・誰の監視がなくても自分で自分を律することができ、締め切りを厳守できる人。

(私自身の個人的な経験と見聞に基づく指標であり、常に例外はあります。)

 

翻訳の形態・仕事の内容

翻訳の形態には、大きく分けて以下の3種類があります。

文芸翻訳(出版翻訳)

外国語で書かれた小説やノンフィクション、ミステリー、児童書などを日本語に翻訳する仕事です。また、文芸作品以外の学術書や専門書、ビジネス本、政治経済、時事、ライフスタイルに関する書籍などを含めた出版物全般の翻訳を含むこともあります。

この分野の翻訳をする人は一般的に「翻訳家」と呼ばれます。多くの人がまず翻訳と聞くと思い描く仕事であり、憧れる人も多いですが、文芸翻訳家としてコンスタントに仕事を受けて生活を成り立たせている人は非常に少ないのが現状です。

収入は主に印税から入りますが(6~8%程度と言われています)、最近は本が売れなくなっていることもあり、1冊訳したら大金が入るということは大ベストセラーでもなければ期待できないようです。(下訳の場合は印税ベースではなくページ数や文字数のカウントで支払われることもあります。)

 

書店に並ぶ書籍の翻訳家として自分の名前が公になり注目を集める分、書籍のレビューサイト等で「翻訳が悪いせいで原書が台無し」などといった批判を受けることもあります。

英語ができるのは当たり前で、それ以上に抜群の日本語能力と読者を引き込むストーリーテリングの能力が必要です。

 

映像翻訳(放送翻訳、メディア翻訳)

映画や海外ドラマ、ニュース、ドキュメンタリー番組などを翻訳する仕事です。翻訳した文字を映像にのせる字幕翻訳と、翻訳したものを台詞にする吹き替え翻訳があります。

海外ニュースなどの翻訳であれば「放送翻訳」、洋楽の歌詞やゲームの翻訳などメディア関連の翻訳は「メディア翻訳」と言うこともあります。また、新聞雑誌の記事の翻訳もメディア翻訳に含まれる場合もあります。

 

「翻訳」と言っても、スクリプトが手に入らない動画の翻訳を手掛けることもあります。その場合は自力で英語を聞き取った上で翻訳することが必要なので、TOEICリスニング満点や英検1級をはるかに超える高いリスニング能力が必須です。

映像に日本語を乗せる字幕翻訳の場合は、英語が正しく理解できる能力は当然必要ですが、カットごとに入れられる字数が決まっているため、限られた字数の中でより場面にふさわしい日本語を当てることができる豊かな日本語の引き出しを持っていることが重要です。

 

産業翻訳(実務翻訳・ビジネス翻訳)

一般企業や官公庁で発生する契約書、マニュアル、仕様書、決算書、パンフレットなど産業界において必要とされるビジネス文書の翻訳です。日本で発生する翻訳の仕事の9割がこの実務翻訳であり、翻訳業界では最も需要が多く参入しやすいジャンルです。

分野は、機械、通信・ネットワーク、コンピュータ、特許・法律、金融、医療・薬学、化学など、ありとあらゆる分野で翻訳のニーズがあります。主に機械やコンピュータ関連など、技術に関する翻訳については「技術翻訳」といいます。

日本語・英語能力に加えて専門知識が不可欠なため、特定の分野での勤務経験があると仕事が得やすいです。また、英語から日本語への翻訳だけでなく、日本語から英語への翻訳も多く発生し、翻訳料は日英翻訳の方が一般的に高額です。高い英語ライティングの能力があると非常に有利です。

文芸翻訳や字幕翻訳のように翻訳者として名前が表に出ることは、産業翻訳ではほとんどありません。また、文芸、映像翻訳は正社員としての職はほぼ皆無ですが、産業翻訳であれば組織に翻訳者として所属し、その組織内で発生する文書の翻訳を一手に担うことも一般的です。

 

翻訳者になるために必要な資格、英語力は?

翻訳者として仕事をするのに、資格は必要ありません。JTFほんやく検定」や「JTA公認翻訳専門職資格試験」、その他にもたくさんの民間の検定試験はありますが、「翻訳検定○級以上でないと応募不可」などといった募集は、私は今まで見たことがありません。

そもそも一般企業ではほとんど認知されていないので、ないよりはあったら有利かもしれないけど、あれば大幅に有利ということもありません。自分の翻訳力の確認やスキルアップの指針として活用するのがいいと思います。

ちなみに、私は10年以上翻訳の仕事をしてきましたが、今まで試験を受けたことはありません。また、「翻訳検定の級を持っているか?」と就職面接の場や上司から聞かれたことも、検定を受けていなくて不利と感じたことも一度もありません。

 

翻訳者になるのに必要な英語力は、採用の可能性だけで考えるとTOEIC800点程度以上が最低レベルです。

ただし、もともと技術者だったなど、特定の分野の実務レベルの知識と経験があるような場合は、その限りではありません。TOEIC700点とかで在宅翻訳をしている人もいます。

ですが、このブログをご覧になっているのは、「英語が得意だから翻訳をやってみたい」と思っている人がほとんどだと思うので、まずはTOEIC800点を最低レベルとして目指すといいと思います。

 

とは言え、TOEIC800点程度の英語力だと、「業務にたまに簡単な翻訳が発生する」という程度の翻訳なら何とかなるでしょうが、翻訳を専業として行うには不十分です。TOEICはリスニングも含まれるので点数で示すのは難しいですが、実際に仕事をするとなると、やはり900点くらいは簡単に取れる程度じゃないと難しいと思います。

あ、でもこれは決して、TOEIC900点まではTOEIC対策の勉強をして、そこを越えたら翻訳の勉強や仕事探しを始めましょうという意味ではありません。翻訳の勉強は、TOEIC800点くらいの人はさっさと始めたらいいです。

翻訳の勉強を真剣にやって、お金がもらえるほどのスキルが身につく頃には、TOEIC900点くらい勝手に到達しているはずですから。

 

以下のページでも、翻訳者に必要な資質や英語力について書いているので、参考にしてください。

翻訳者歴12年の私が考えてみた、翻訳者になるための10の条件

 

翻訳者のお給料、収入はどれくらい?

企業内で翻訳者として働く場合

収入は、一般事務の3割増しくらいのイメージです。一般事務の時給の相場が1200円程度の地域なら、翻訳は1600円という感じです。秘書の時給が一般事務の1〜2割増しくらいなので、それよりちょっと上という感じです。(いずれも、あくまでも私の個人的な体感です)

翻訳が業務にどの程度含まれるか、またどの程度の難易度の翻訳が必要かによって、収入は大きく異なります。また、派遣で時給で働いているのか、正社員で働いているのかによっても違うでしょう。

私が前に勤めていた職場には翻訳専任(正社員)のスタッフがいましたが、普通にボーナスも昇給もあり、40歳くらいの平社員だと年収600万円程度だったようです。

 

在宅翻訳者の場合

在宅翻訳の場合は、時給や月給ではなく仕事の分量に応じて(ワード数、ページ数などで)支払われることが多いので、どのくらいの収入が得られるかは「その人次第」としか言えません。また、仕事が途切れずどんどん来る時もあれば、依頼主の事情でしばらく仕事がない時もあるので、収入は不安定になりがちです。

私が聞いた話では、実績が少ない駆け出しの在宅翻訳者の場合、土日もなくほぼ毎日フルタイムの仕事並みに働いても、月の収入が5万円といったケースがあります。一方で、医薬や特許などの分野でものすごいスピードで高品質の翻訳ができる人だと、月収100万円以上という人もいます。

最近は機械翻訳の性能が上がってきていることもあり、機械翻訳では対応できない難易度の高い文書を除いては、翻訳単価は下がる傾向にあります。

 

一般的な翻訳者の月収、年収はどうなのかというのが一番気になるところだと思いますが、「翻訳家の平均年収と年収分布(honne.biz)」によると、平均年収は500万円以上600万円未満だそうです。

でも、ひねくれた見方をすると、そもそもこういったサイトに口コミを投稿するのは、「翻訳者として(ある程度)ちゃんと生活できている」というセルフイメージの人が多いと考えられます。つまり、あまり稼げていない翻訳者を入れると、実情はもっともっと低い平均年収になると考えた方が良さそうです。

 

翻訳者の求人は?どうやったらなれる?

企業内で翻訳者として働く場合

企業の翻訳者として働く場合は、派遣で仕事を探すのが最も一般的だと思います。「一般企業に新卒で翻訳者として入りたい」という相談をよく受けますが、特別な専門知識などでもない場合はかなり難しいと思います。

私の場合、通訳翻訳者として勤めていた職場には最初は契約社員で入り、後に正社員になりました。異動も(自分が希望しない限り)ないので、通訳と翻訳だけを行う同じ部署に8年間在籍していました。

が、こういうケースは少なく、派遣で翻訳者として採用されるか、一般企業であれば翻訳とそれ以外の仕事の兼務になることが多いと思います。

 

在宅翻訳者の場合

在宅で翻訳をする場合、最初に仕事を得るには「トライアル」を受けて翻訳会社と契約し、翻訳会社を通じて企業からの依頼を受けることが一般的です。おそらく一番有名なのは、アメリアです。翻訳の仕事が未経験の人や、まだ自分の専門分野を決められない人にはお勧めです。

ランサーズなどのクラウドソーシングサービスに翻訳者として登録して、仕事の依頼を待つという方法もあります。ランサーズの場合は、トライアルは何もなく「私は翻訳者です」と宣言しさえすれば翻訳の仕事を受注できる可能性はあります。

ConyacGengoYAQSといった翻訳専門のクラウドサービスもあります。Conyacだと未経験でも受注ができますが、その代わりびっくりするくらい報酬が安いことが多いです。

 

その他、会社を退職して在宅翻訳者となり、自分が勤めていた会社から翻訳を受注するという方法で仕事を得ている人も少なくありません。会社の事情をよく知っていて英語が堪能な元社員に任せれば、依頼主の会社としても安心ですからね。

もちろん、元社員でなくても、企業と直接契約を結べるケースはあります。ただその場合は、その分野で実績を積んでいて、かつ自分で売り込みができる必要があります。

 

あるいは、知人から「ちょっとこれ翻訳して」と依頼されるというケースもよくあります。私は、ありがたいことに今まで在宅でやったものは全て知人からの依頼でした。

翻訳会社を通さず、知り合いの翻訳者(私)に直接依頼することで、翻訳会社へのマージンが発生せず単価が下がるので、依頼主にとってもメリットがあります。翻訳スキルがあることを周囲に知ってもらい、人とのつながりを大事にすることで、そういったチャンスも得られます。

 

私がこれまでどんな翻訳の仕事をどうゲットしてきたか

翻訳

私がこれまでにやったありとあらゆる翻訳の経歴について、書いてみます。

 

はじめての翻訳(在宅、フランス語⇒日本語)

最初に翻訳の仕事をしたのは、大学生の時です。実は、英語ではなくフランス語でした。

大学の教授からの依頼で、フランス語で書かれた教育関係の論文の和訳でした。きっかけは、作業を請け負っていた研究室の先輩の都合が悪くなって私に(なぜか)お声がかかったこと。当時は、フランス語検定準1級(英検の準1級と同程度)でした。

翻訳のスキルも知識も何もない大学生の私がいきなり翻訳をしたなんて、今考えると、ほんとにおそろしいです。自分がどんな翻訳をしたのか、記憶もほとんどないです。先日実家に帰って部屋を整理していたら、その原稿が見つかりましたが、怖くてとても直視できませんでした(笑)

 

論文1篇(数十ページ)で1ヶ月くらいかかったと思いますが、報酬は20万円ほどいただいたと記憶しています。当時貧しい大学生だった私は大喜びし、そして勘違いしました。「翻訳って、こんなに稼げるんだ~」と。

まあ、依頼した教授も大学の経費で支払うので、報酬も太っ腹だったのかもしれません。あとは、フランス語ができる人が少ないことも理由かなと思います。まあ、需要もほとんどないんですが・・・

 

動物図鑑の翻訳(在宅、英語⇒日本語)

これは社会人3年目くらい。TOEICは980点を取得した後です。専門知識も縁もゆかりもまるでない、動物図鑑の和訳でした。親戚に関係者がいて、翻訳できる人を探していると私に声がかかりました。

この時は、いわゆる「下訳」という正式な翻訳のたたき台を作る仕事でした。

図鑑という一般大衆向けの素材だったこともあり、英語自体はそんなに難しくなかったです。また、理系分野とはいえ、動物という身近な題材だったので、意味不明な部分は少なかったと思います。

翻訳には2ヶ月ほどかかって(とは言ってもフルタイムで作業していたわけではありませんが)、報酬は10万円くらいだった気がします。当時はまだ翻訳の仕事に慣れていなくて、参考資料の検索にもとても時間がかかったので、それを考えると割がいいとは言えないかなぁという感じでした。

 

自動車関連製造業の企業内翻訳(英語⇔日本語)

秘書兼翻訳として採用された企業で、社内で発生する文書の翻訳をやっていました。ここで、はじめて日本語から英語への翻訳を本格的にやりました。英文和訳と和文英訳の比率は、2:8くらいでした。

主なものは

・ 海外の取引先とのメールの翻訳
・ 会社のホームページ、パンフレットの英語版製作
・ 決算報告書の翻訳
・ 製品の図面の翻訳

小さい会社だったので、「翻訳」と名のつくものなら部署を問わず何でも任されました。(お葬式の案内状とか・・・)

 

翻訳の仕事はそんなに頻繁ではなく(週1〜2回くらい)、仕事が来ると嬉しくて、ウキウキしながらやっていました。会社は自動車部品関連のメーカーでしたが、あまり技術的な内容の翻訳はありませんでした。

でも翻訳の社員が私一人だったため、周囲に私の英語をチェックして直してくれる人がいませんでした。これが、かなりの重圧でした。自分が作成した翻訳が、正式なものとして発信されるなんて・・・と。

上司で「英語が分かる」人はたくさんいました。でも、「英語でビジネスができる」ということであって、「通じればOK」という意識で英語を使っている方がほとんどでした。だから、私が明らかに背景知識がなくて誤解しているとかいう場合でなければ、スルーでした。

 

医学関連業の通訳翻訳部署勤務(英語⇔日本語)

「通訳は最悪素人でもいいから、即戦力の翻訳者が欲しい」というのが私が通訳翻訳者として採用された職場の当時の事情だったらしいですが、秘書兼翻訳の業務とTHE DAILY YOMIURI(現在のThe Japan News)の翻訳コンテストで磨いた翻訳スキルを評価してもらい、職を得ることができました。

(参考)The Japan News翻訳コンテスト(週150円)で翻訳を独学

 

上司は、翻訳一筋30年(!)の女性でした。少人数の部署が、フル回転で常に翻訳作業をしていました。また、英文校正担当のネイティブ(日本語ペラペラ)もいました。

発生する業務の英文和訳と和文英訳の比率は、1:9くらいでした。つまりほぼ和文英訳。議事録、会計資料から消防訓練のお知らせなど、一般的な内容の翻訳もありましたが、専門的な内容の翻訳もありました。

医学系の職場だったのですが、医学の知識などまるでない私には、何回読んでも参考資料を調べまくっても何がなんだか全く分からず、この職場の翻訳がこれまででダントツに難しく苦しかったです。

 

でも、私のヘンな英語がちゃんとネイティブチェックされ、直されるという安心感はありました。最初は、自分が苦労して作った翻訳が真っ赤に訂正されて返ってくることもしばしばでしたが、これまでの翻訳の仕事は全てやりっぱなしで、間違いや改善すべき点が全く分かりませんでした。

それが、この部署で経験豊富な同僚に囲まれて8年間、色々と教えてもらうことができ、翻訳のスキルアップができたと思います。

 

英語圏の各種マニュアルの翻訳(在宅、英語⇒日本語)

正社員として働いていた時から、よく知人に頼まれて在宅翻訳の仕事をしました。

自分一人ではさばききれない分量の依頼をもらうこともあるので、経験が浅い翻訳者に下訳をしてもらい、私が修正して納品することもあります。

その場合、通常より時間がかかることを依頼主に承諾してもらい、その分単価を下げます。下訳者にはその低い単価から翻訳料を支払う上に、修正後の原稿にアドバイス(多くはお叱りの言葉)までつけて返却しているので、正直私にとっては全くおいしい仕事ではありません(笑)。

私にせっかく仕事を依頼してくださった人に相場より安く翻訳を提供しつつ、翻訳実績が欲しい人に経験を積んでもらう場を提供するためだけにやっています。

 

内容は、海外の最新インターネットビジネス事情を日本に取り入れている起業家からアメリカのビジネス系ニュースレターの翻訳を依頼されたこともあれば、変わったところでは、ナンパ講師をしている人からアメリカ発のナンパマニュアルの翻訳を依頼されたこともあります。

アメリカでは有名らしいナンパ師が書いたマニュアルの翻訳は、かなり面白かったです!(初対面の女の子に話しかける時は、正面からだと威圧感が出るので体を斜めにして話しかけろ、とか。)

知人のセラピストの男女関係の動画の翻訳もよくやっていました。これも、自分の役にも立つしおもしろかったです。

個人の起業家だけでなく、大手の外資系企業から依頼を受けて人事トレーニングマニュアルを翻訳していたこともあります。

 

個人的に依頼されて在宅でやる仕事については、専門知識の不要な分野の翻訳だけを引き受けています。在宅翻訳で生計を立てる意思のない私は、全部自分でやる熱意がないので、それなら経験の浅い翻訳者に仕事を回した方がいいからです。

医学分野の通訳翻訳経験が8年もあれば、その気になればこの分野で在宅翻訳者として結構稼げたかもしれません。でも、残念ながら私には医学の翻訳を極める情熱と医学センスが絶望的にありませんでした。orz

 

飲食店のホームページ翻訳(在宅、日本語⇒英語)

私がお世話になっている飲食店のメニューや理念を英語に翻訳したりしています。

日本人以外の人にも知ってもらって海外に広まればいいなと思うお店なので、自分に多少スキルがあることでお手伝いできるのは嬉しいです。

 

映画の字幕翻訳(日本語⇒英語)

自主制作のドキュメンタリー映画(日本語)を海外に広めるため、英語界の巨匠・松本道弘先生と一緒に英語字幕を作成するお仕事をさせていただきました。これがめちゃくちゃエキサイティングでした。

神道や禅の思想などの要素を含んだ映画なので、英語にならない言葉ばかりで、翻訳するのは本当に本当に難しかったです。英語力はもちろん、日本語と日本文化への深い知識が必要なことを痛感しました。

 

翻訳という仕事の将来(個人的な意見)

「翻訳って、将来は仕事がなくなるんですか?」という質問を受けますので、それについて最後に私の考えをお伝えしたいと思います。

 

確かに、今はどんどん機械翻訳の性能が上がってきていたりするので、翻訳の需要が減るのではないかという心配はもっともですよね。

今から30年前は、手書きで翻訳して、数人に一台割り当てられたタイプライターを順番待ちして清書していた時代です。私の会社員時代の50代の上司が新人の頃は、実際にそうやって翻訳していたそうです。「コピー」も「ペースト」もないので、文をちょっと入れ替えたりということができず、大変だったらしいです。^^;

それが今や、ワードで入力すればコピペも置換も簡単ですし、自動翻訳もかなり使えるレベルになってきています。翻訳メモリやツールなどもどんどん導入されています。

 

私の上司が手書きで翻訳していた30年前、部署には翻訳者が10人以上いたそうです。が、私の在籍中は6人(そのうち、私を含め3人が通訳兼務)でした。

人数は半分になったものの、手書きしてタイプライターで清書という手間が必要なくなり、また図書館に足を運んで参考資料を見たり、単語を分厚い辞書で調べるという作業がほぼパソコンでできるようになったこともあり、30年前の半分のスタッフがこなしている翻訳量は、当時の十倍以上です。

私が離職する頃には、翻訳支援ツールの導入も進めていました。10年後にまだその翻訳部署が残っているなら、もっと少ない人数でもっとたくさんの翻訳ができるようになっていることは間違いないでしょう。

 

そういう状況で、今後翻訳の仕事はどうなっていくのでしょう。

まず、企業の経費節減とワークライフバランスの促進のため、在宅勤務が増えるのではないかと思います。翻訳は現場にいないとできない仕事ではありませんから、翻訳を担当する社員に週数回のリモートワークを許可するというケースもあれば、社会保険の負担の減る在宅翻訳者に外注するケースも増えると思います。

ただ、機械翻訳の精度がどんどん上がっているので、これまでのように「何でもかんでも翻訳者に依頼して訳してもらう」ということもなくなると思います。ある程度は、社員が自動翻訳機を使って英文を読んだり書いたりするようになります。

 

そして、いくら機械化が進んでも人間の翻訳者が必要とされる翻訳というのは、

1.機械翻訳では価値が著しく下がる文芸作品などの翻訳
2.機械では処理できない難解な文書の翻訳
3.機械で行き届かない部分の修正

ということになります。

ただ、文芸作品の翻訳の仕事が今までより増えるというわけではありません。文芸翻訳は狭き門なので、「今後有望なのは文芸翻訳なのか!」と闇雲に進んでしまうと、将来どころか今も仕事にありつけない可能性があります。

少なくとも現状では、まだまだ産業翻訳は盛んです。翻訳を必要としている企業もたくさんあります。

 

英語を日本語にする(またはその逆)という作業自体は、日本語と英語という言葉がなくならない限りは続きますが、多くが機械化されて、翻訳者として生き残るためには、簡単に言うと「機械にはできないことができる人」になる必要があるというのが私の考えです。

なので、誰でもできる、機械でもできるような翻訳しかできない翻訳者にとっては残念ながら状況は厳しくなる一方、豊富な専門知識を持っていたり、機械では処理できない含みのある表現に対応することができたりする翻訳者なら、今後も安泰だと思います。

 

翻訳者の仕事まとめ

以上、翻訳者の仕事内容や収入について書いてきましたが、いかがだったでしょうか?

 

機械翻訳の精度が上がり、TRADOSなどの翻訳支援ツールが普及して翻訳納期もどんどん短くなる中で、誰でもできるような一般的な分野の翻訳では文字通り価格破壊が起きています。

専門分野を持たないまま在宅翻訳で十分な収入を得るのは、とてもじゃないけど無理です。

その一方、需要の高い専門分野(医薬、特許、化学など)の知識を持ち、高品質な翻訳がスピーディーに行えるプロの翻訳者は、依然として不足しています。

 

あなたが翻訳者として今後生計を立てていけるためには、

1.派遣社員や正社員として翻訳の仕事に携わる
2.在宅なら、需要の高い専門分野を持ち、常にスピードと質を上げる工夫をし続ける

のいずれかが必須になってくると思います。

というわけで、結構厳しい現実で締めくくりますが、翻訳者を志す方のお役に立てば幸いです!

 

このページに、私が翻訳者になったいきさつや失敗談を書いているので、こちらも合わせてぜひどうぞ。

翻訳者への道ー私が未経験から翻訳の仕事をゲットした方法と勝因

 

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Ai Evansエバンス愛

独学で英語を学び、国際機関で通訳者を8年経験したのち、独立。本物の英語力を身につけ、大和魂を海外に発信できる国際人を育てることが目標です。
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